【R18】サ終のゲームに取り残されました！ 〜最推し３種に迫られて身体がもちません〜

前日譚、そして

前日譚９．めでたしめでたし？

　やっぱり夢女の夢みたいな状況だけど。でも、いっぱい愛されて、彼らに好かれてるのはほんとだってことは、もう十分わかったわけで。

「っ…………！」

　ううううう、顔、熱いんだけど。
　あ。王さま、目があった。

「くっ、ふふ……顔が真っ赤だ、主」

　すっごく安心した、みたいな顔してさあ。
　ナマ王さまの笑顔の破壊力よ……！

「だ、だって……！」

　ううん、彼だけじゃない。
　みんなにぎゅって抱きしめられて、ますます思い知らされる。
　バグウィル３人の本気の愛。
　こんなわたしに、真っ直ぐに捧げられて、ふりほどけるはずがない。

「元の世界のことは、まだ実感できてないというか……わたし自身、よくわかってないところもあるけど……」

　でもね？　でもだよ？
　話聞いて、理解したんだ。
　元の時空に戻れないのは、わたしだけじゃないってことなんだよね。

　この世界は閉ざされた。
　召喚石を失ったっていうことは、そういうこと。
　もともと、元の世界に戻ることは限りなく不可能に近い事だったみたいだけれど、召喚石がなくなったことで、０．００００００００１％すらなくなっちゃったってことなんだ。
　ゼロ。
　マジで、もう、何もできない。

　でさ？
　そんな状況になってるのはわたしだけじゃない。
　別の時空から召喚されてきた、ウィルも、王さまもなんだもんね……。
　ウィルや王さまをこの時空に喚び込んだのは、わたしだ。
　正直、ゲームだって思ってたしさ、世界のシステムとかそういうのはわからなかったとしても、わたしばかりが被害者ヅラしてるのはちがうんじゃないかなって思う。

「一緒に、いる……」

　なんて。
　シリアスな思いをうまく言葉にできなくて、締まらないけどさ。
　でも、素直な気持ちだもん。

「元の世界に戻れないのは哀しいんだと……思う。ただちょっと、実感ないだけで。でもね？　みんなとこうして一緒に居られるのは、うれしいって言うか――、ひゃっ！？」

　なになになに！？
　どうしてみんな、ぎゅうぎゅうしてくるの？

　ちょっ。取り合いみたいに抱き込まないでっ！？
　わわ、吸い過ぎ。キスマーク、つけすぎっ。
　えええ？　同じバグウィルだから！？　みんな反応同じすぎない！？

「ちょ……そんな、いっぱい……っ」
「所有印しるしつけるだろ。そんなん聞いたらよ？」
「だな。満場一致で、嬢ちゃんは俺らのモンだ」
「ならば俺はこちらに。主、唇、貸してくれ――」
「おい！？　王サマばっかずるくね！？」

　うわわわわっ。
　せっかく小休止で休んでたのに、また身体中まさぐられてるっ。
　いや、ほんと、もたない……もうちょっとお休みしましょ！？　ね！？

「ん、んんんー！」

　あれ！？　体勢どうなってるの、わたし！？
　まって、身体持ちあげられたっ。首領の膝の上に座らされてっ……ウィル！？　っ、キス。激しっ……まっ……！？

「ん、ん、……っ、ま、って、ウィル……っ」
「ンな可愛いこと言うんだ。待てるか。ほら」

　キス。
　何度も。何度も。苦しいくらいに。

「嬢ちゃん、こっちも。ほら――」

　後ろ向かされて、首領とも。舌絡めて、唾液がぐちゅぐちゅって音をたてるくらいに激しく。

「もちろん、俺ともだ」

　王さままで。
　もうっ……みんな、そんなに張り合おうとしなくて大丈夫だからっ。
　ね？　順番。順番に、ゆっくり、お願い。

「まって、みんな！　あの。ちゃんと、愛してるから」

　だから。もう少し、ゆっくり、ね？
　そう説得しながら、わたしは笑う。
　みんなもさ。なんか、泣きそうな顔で、くしゃりって笑ってさ。
　あはは。反応同じ。やっぱりバグウィルだ。
　全員が、わたしの推しで、きっと最愛なんだと思う。

　みんなのこの顔を見たとき、わたしは改めて覚悟を決めた。
　大丈夫。
　一緒にいるよ。この世界で、生きてく。

　だからさ……、

「ゆっくり！　ゆっくりお願いします！」

　わたしはもう、どこへも行かないからさっ！

　わかってる？
　時間はいくらでもあるんだからね！？

「あ、ちょ……っ、ま…まって、落ち着いてっ！」

　なんて主張もむなしく。
　もちろんこのあとは、また３人に、意識を失うまでたっぷり愛されましたとさ。



〈おしまい〉