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実質、初夜なのでは?(4)*
しおりを挟む「っ、駄目なものかっ!!」
「ひっ!?」
思った以上に大きい声が返ってきて、私は身を縮こまらせた。彼はがばりとナイトガウンを脱ぎ、適当に投げ捨てる。すでに中がとても苦しそうなことになっている下着をも脱いでしまった。
結果、真正面から彼のいきり勃ったモノを見るに至る。
(す、ご……)
凶悪なのはわかっていたけれども、ここまで雄々しいものなのか。
先走りがてらてらと光る彼のモノは、血管が浮き上がりボコボコとしている。これを私の中に受け入れていたのかと実感すると、信じられない気持ちになってしまった。
でも、その存在感からか、どうしても目が離せない。
気がつけば、好奇心の赴くまま私は無意識に手を伸ばし、膝立ちしたままでいる彼の屹立に触れていた。
「っ、ライラ!?」
アーシュの声が裏返っているけれど、耳には入ってこない。
(えっと、殿方のここを喜ばせるためには……)
持っている知識を総動員して、両手を使って彼のモノを握り込んでみる。
これを扱いてあげたらいいとはわかっているのだけれども、当然はじめてのことで、恐る恐るになってしまう。
(でも、あんまり優しくしすぎても擽ったいだけ、よね)
恥ずかしすぎてアーシュの顔が見られない。頭上から呻くような声が聞こえてくるけれど、一切顔を上げることなく、私は彼の屹立とだけ向き合うことにした。
少し力を込め、親指で裏筋を伸ばすように何度も上下に擦る。
彼のモノは熱く、しっとりとした弾力を持っている。しっかりと芯が硬くて、擦るたびに私自身も変な気持ちになるっていうか。心臓が暴れすぎてもう何も考えられないというか。
どうにでもなれ!とばかりに、いよいよその鋒に唇を押しあてた瞬間――。
「っ!」
びゅるるるるっ、と、目の前が白く染まった。抽象表現ではない。物理的に。
つまり、彼の鋒から白濁が吐き出され、私の顔を汚したわけである。
まさかこのタイミングで彼が射精するとは思わず、私は固まった。
おそらく、アーシュも。
「…………」
この状態からどうすればいいのだろうか。驚きすぎて動けなくなってしまっているのだけれども、いやいやアーシュも何か反応してほしい。
「アーシュ?」
恐る恐る彼の顔を見上げると――。
「………………!」
両手で顔面を覆い、天井を向いたまま微動だにしないアーシュがいる。
……なんだろう。
怒っているわけではないと思うけれどもだ。もう、彼の考えていることがさっぱりわからない。
「あの、アーシュ……?」
自分の顔を拭う余裕もなく、彼に呼びかけてみる。すると、彼が弾かれるようにこちらを向き、私の姿を見て――、
「っ!!」
ぎゅんっ、と。
精を吐き出し力を失っていたはずの彼のモノが、再び力を取り戻していた。
「え? え?? え???」
あまりの事態に頭がついていかない。
ただ、そうだった――確か、彼は絶倫だった。それを物理的に実感してしまい、息を呑む。
「…………反則だ…………」
「え?」
ぼそりと告げられた言葉に何ぞ、と思うも、彼はぶつぶつと小声で何かをつぶやき続けている。
「あのライラが――憧れてやまなかった赤の神子姫が俺の精液を顔に? これは夢か? 夢ではないのか? いや、しかしこの麗しすぎる尊顔は彼女本人でしかあり得な――――っ!? いや、すまない! 少し意識が飛んでいた!」
「は!? え!?」
何の話!?と思うも、一気に正気に戻ったらしいアーシュが、投げ出してあったナイトガウンを手に取る。そのガウンが汚れることも厭わず、私の顔を丁寧に拭き取り、ほう、と息を吐いた。
「……すまない、少し、夢と現実を混同してしまい……」
「はあ……?」
「麗しい君の顔に、こんな汚いものを。――その。俺をよくしようとしてくれたことは嬉しいが、無理はしなくていい。君はただ、受け入れてくれるだけで。俺がいくらでも奉仕するから」
「え? あ……? はえ?」
何かをとてもうっとりしながら囁かれているけれど、わかった。
何もわからないということが、わかった。考えるな。感じろ。ただただ流されていたらよさそうだ。
正真正銘敵国の王子様に「奉仕する」なんて言われ、そうですか、と受け入れるのは難易度が高い。
私じゃなかったらもっと戸惑っていたかもしれないけれども、あいにく、私は流されるのが得意なのだ。
すごく丁寧に顔を拭われ、くすぐったさで目を閉じる。
ようやく彼の手が止まり、私がゆっくり瞼を持ち上げると、彼の黒玉と目が合った。
「……奇跡みたいだ」
「え?」
「君が、こうして俺に――君から、動いて――」
「んんっ!?」
もう一度唇を重ねられ、今度こそ彼に押し倒される。
前戯もそこそこに、彼は私の太腿を持ち上げると、私の中心にその鋒を押し当てた。
「あ、ああ……っ!」
ぐっと力が込められ、彼のモノが挿入ってくる。隘路を押しひらき挿入りこんでくる彼の屹立は、焼けるほどに熱く感じられた。
「くっ……ライラ……!」
彼自身も苦しそうに息を吐きながらも、力を緩めることはない。あっという間に奥の奥まで到達した。
(苦しい。でも――きもち、い――)
初めて身体を重ねた夜、これでもかと言うほど彼の形を覚えさせられた。
久しぶりに感じる彼の存在に、私の全身が歓喜しているのがわかる。無意識のうちに、私自身も彼を欲していたらしい。
そうして彼が抽送をはじめると、教え込まれた快楽を呼び覚まされた。
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