1 / 9
0
しおりを挟む
冬枯れの空。
物言わぬ月。
見下ろすは無数の鉄の枝。
白いコートが翻り、傾いで、紅に染まる。
傾ぐ白い影と赤く染まる月。
目に見えて完全に動きを止めたかたち。
呼吸を失った、白いかたち。
人のそれ。
狩られた野ウサギの様にか細く息を吐く
絶命寸前の黒いいきもの。
人の形。
人のそれ。
ひと。
人間。
まごうかたなきひとのにんげんのかたち。
唇から零れるは臓器の損傷を示す赤黒い体液。
血液。
──────ごぼり。
口から吐き出る言葉だった筈のもの。
ことばのふりをした葉先。
ああもうそれが言の葉だったかどうかすら。
最期に見上げた空はヒビが入って割れている。
ぱき。
ぱき。
─────ぱきん。
今際の幻覚に黒いこどもは墜ちて。
暗く。
昏く。
銀のけものが。
[私の名前を呼んで]
ぎたりと嗤う。
[この名前が]
鼻先の吐息。
[あなたの力になるように]
──────────────────……………
色を喪いつつあった唇が微かに動く。
音なき声は震える。
冷たい粉雪のような波はかろうじて。
空気だけを大気のみを僅かに、そして微かに震わせて音波になる。
彼にただ、いきてほしかった。
唯一無二である筈の彼。
『生きて』さえいればと思った大切なひと。
最期に呼ぶのは彼の名前でなければならなかった筈なのに、違う名前を呼んだ。
「─────『レギンレイヴ』」
だからこれは、裏切りのおはなしだ。
物言わぬ月。
見下ろすは無数の鉄の枝。
白いコートが翻り、傾いで、紅に染まる。
傾ぐ白い影と赤く染まる月。
目に見えて完全に動きを止めたかたち。
呼吸を失った、白いかたち。
人のそれ。
狩られた野ウサギの様にか細く息を吐く
絶命寸前の黒いいきもの。
人の形。
人のそれ。
ひと。
人間。
まごうかたなきひとのにんげんのかたち。
唇から零れるは臓器の損傷を示す赤黒い体液。
血液。
──────ごぼり。
口から吐き出る言葉だった筈のもの。
ことばのふりをした葉先。
ああもうそれが言の葉だったかどうかすら。
最期に見上げた空はヒビが入って割れている。
ぱき。
ぱき。
─────ぱきん。
今際の幻覚に黒いこどもは墜ちて。
暗く。
昏く。
銀のけものが。
[私の名前を呼んで]
ぎたりと嗤う。
[この名前が]
鼻先の吐息。
[あなたの力になるように]
──────────────────……………
色を喪いつつあった唇が微かに動く。
音なき声は震える。
冷たい粉雪のような波はかろうじて。
空気だけを大気のみを僅かに、そして微かに震わせて音波になる。
彼にただ、いきてほしかった。
唯一無二である筈の彼。
『生きて』さえいればと思った大切なひと。
最期に呼ぶのは彼の名前でなければならなかった筈なのに、違う名前を呼んだ。
「─────『レギンレイヴ』」
だからこれは、裏切りのおはなしだ。
0
あなたにおすすめの小説
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
30歳の誕生日、親友にプロポーズされました。
凪
BL
同性婚が認められて10年。世間では同性愛に対する偏見は少なくなってきた。でも結婚自体、俺には関係ないけど…
缶ビール片手に心を許せる親友と一緒に過ごせればそれだけで俺は満たされる。こんな日々がずっと続いてほしい、そう思っていた。
30歳の誕生日、俺は親友のガンちゃんにプロポーズをされた。
「樹、俺と結婚してほしい」
「樹のことがずっと好きだった」
俺たちは親友だったはずだろ。結婚に興味のない俺は最初は断るがお試しで結婚生活をしてみないかと提案されて…!?
立花樹 (30) 受け 会社員
岩井充 (ガンちゃん)(30) 攻め
小説家
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役の僕 何故か愛される
いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ
王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。
悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。
そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて…
ファンタジーラブコメBL
シリアスはほとんどないです
不定期更新
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる