ぐみたんは覚えていない

ratio

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「無駄弾を撃たず回避に徹して機を窺い左目から脳をブチ抜ける出力で頼む。調整任せた」
《了解、目標『左目』。動向予測精密演算開始。目標に対しての出力は70%で調整》
左眼を狙う方針で任せればギンレイは尽力してくれるだろうと算じた。俺が生きてこの場を切り抜けさえすりゃギンレイの利害と一致する。最終的に俺さえ生きてればギンレイも俺も勝ち。生きてこそすれ、生きてさえいれば、だ。それは互いの利益になる。故にレギンレイヴを駆る今現在の俺はまずこの飛魚を落とさねばならない。こいつは殺す。確実に。進まなければ。『前』に進む為に。
《左眼補足。視覚拡張》
だからこそ俺もギンレイの『感覚』に倣う事にした。
「(ん?)」
そう決めたせいかはわからない。『感覚』が『視野』が広くなってトビウオの動きが遅く見えた。それとも単に動きが鈍ったのか──────ともあれ。
「そこだ!」
剥き出しの左眼の網膜に一点集中のレーザーを叩き込む。
「っしゃ!命中!」
直ぐ様隙を見てトビウオの頭の上を最速で擦り抜けると、後方で爆発音がした。
「トビウオって爆発すんの!?」
逃げて良かった~~~~~!
「う?」
刹那、トビウオの物だったであろう大きな魔力が身体に吸い込まれた感覚があると同時に、横からばちん、と何かに弾かれた。そして下を見ると広がっていたのは海ではなく、谷を挟んだ黒い森だった。空はまだ暗く。
「……あれ?もしかして追い出された……?」
結界とやらの外に弾き出されたと理解した。
《バランサー損失。一時武装解除します》
「えっ」
ぱきん。
そんな音を聴いて。
俺は空中に放り出されていた。
「えええええ!?」
一瞬の浮遊感から一気に落下する。
暗く。
昏く。
黒い森に墜ちてゆく。
「(あっ、死んだ)」
そうして俺は気を失った。
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