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魔王と歴史

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 それから3時間ほどでNOの世界から食料物資が派遣された。
 これによりシュウ達はリチャードから一応の信頼を勝ち得る事ができた。
 未だリチャードは疑っている節があるがシュウが行動で証を見せた事で警戒心はだいぶ、退いた。
 その甲斐もあってかリチャードからリリーシャに対してシュウ達に魔王の情報を早く教えるように催促があったほどだ。
 その甲斐もあって、シュウ達は王城の一室を借りて机の上で対面する形でリリーシャから魔王について知る事になった。

 魔王タダーノンとは、古くは5000年前から伝えられる存在だと言われている。
 最初の魔王はかなり高名な魔術師であり、ゴーレムの作成に長けていた。
 当時の国はゴーレムにより蹂躙されたが魔王討伐隊の働きもあり魔王は見事に討伐された。

 だが、それから50年後に魔王タダーノンを名乗る存在が再び、現れた。
 それはかつて、魔王討伐隊に参加し魔王をその手で討ち取った戦士だった。
 
 魔王は再び、ゴーレム軍団を造り上げ、世界に対して侵攻を開始した。
 当然の様に人類は魔王討伐隊を再編し魔王と相対した。
 だが、魔王は伝承にあった時よりも強くなっており以前の魔王の力と討伐した戦士の力を両方使い熟し討伐隊を圧倒した。
 だが、死闘の末多大な犠牲を払い魔王は再び討伐された。

 だが、更にそこから50年後
 魔王タダーノンを名乗る存在が現れた。
 今度は魔王を討ち取った女騎士が魔王を名乗り始め、再びゴーレムで世界侵攻を開始した。
 人類も流石に3度目を予見した事もあり軍備を十全に整え、対ゴーレム用の兵器や対ゴーレム用ゴーレムの開発、対ゴーレム戦術、対ゴーレム歩兵火器の開発などを行っておりその甲斐あって3度目以降は被害を抑える事に成功した。

 しかし、魔王のゴーレム自体の性能は単体で大きく性能が向上しており人類側のゴーレムでは侵攻を抑えるのがやっとのような状態だった。
 ただ、魔王のゴーレムよりも安易に量産可能と言う特性があった人類側のゴーレムは圧倒的な物量と言う名の人海戦術で魔王城までの活路を開き、魔王討伐隊の派遣に成功し、3度目の魔王討伐を果たした。

 しかし、その過程で判明したのは魔王は再臨する度に自己を強化し先代魔王の能力を引き継いでいると言う事実だった。
 3代目タダーノンは初代、2代目、3代目の能力を使い、討伐隊を圧倒したと言う。

 それから更に50年。
 またも討伐した騎士が魔王となった。
 魔王がやる事自体は変わらなかったが時代が立つ毎に徐々にその力の強大化しゴーレムの性能も50年の研究開発では追い付かないレベルにまで性能が向上していた。
 魔王の膨大な魔力量から造られるゴーレムは一種の高出力リアクター搭載の量産機のように厄介であり圧倒的なパワーと防御力で人類側のゴーレムを圧倒した。

 それでも魔王の裏を掻いた作戦もあり何とか魔王城まで辿り着き、魔王と対峙する事になった。


 だが、ここから魔王はチートのような能力を見せる事になる。
 この時の魔王には初代、2代目、3代目の能力を持った4代目だった。
 初代の能力はゴーレムの操る事に特化している。
 2代目は剣の才がありその一撃は城すらも斬ると言われるほどだった。
 そして、3代目は特殊な魔眼を持っておりその魔眼が魔王タダーノンを最強たら占める能力を象徴となった。
 その魔眼は“理の魔眼”と言うモノでありその女騎士が持った最強の能力であり魔王を討伐できた絶対的な能力と言える力を秘めていた。

 その能力とは、直視した対象の理全てを解析しその全てを視覚的に理解する能力だった。
 文献によるとこの能力を持った者は直視した理が魔術式のように見えたと言われている。

 女騎士が魔王に勝てたのはこの能力を使い、魔王が使う魔術や剣を解析しそれと対を為すアンチマジック等をその場で造り出し剣に乗せて放つ事ができたからなのだ。

 確かに人類側に回れば絶対的な能力と言える能力であるのは疑いようのない力だったがそれが魔王に手に回ったとなれば、最早洒落にならなかった。

 4代目は膨大な魔力量を誇る魔術師だった事も相まってそれに伴い“理の魔眼”の能力も先代以上の能力を発揮した。
 それにより魔王討伐隊は一切何もできずに討伐されてしまった。

 そして、それ以降、この4代目魔王が今も世界を蹂躙しており、人類は滅びの淵に立たされていると言うのが魔王に関する情報だ。



「これがこの世界に置ける魔王の歴史だ。何か質問はあるか?」



 リリーシャの問いかけにシュウが質問した。



「そもそも、魔王が何を目的に世界を蹂躙しているのか分かっているのですか?」

「それに関しては具体的には分かっていない。ただ、魔王が破滅願望者であり人類に憎悪していると言う話が討伐隊の記録には残されている。恐らく、人類に対する憎悪ではないか?とは言われている。」



 肝心な事は分かっていないらしい。
 魔王に何か明確な目的があるならその点をついて攻略する事もできるかも知れないとシュウは考えたがどうも話を聴く限りその手の手法が通じる相手ではなさそうな気がした。
魔王は最早、本能的に人類を滅ぼそうとしているとも思える。
 このままではいずれ、NOの世界が蹂躙されるのも時間の問題かも知れない。
 そうなれば、世界のSWNの量が増える可能性も否めない。



「なら、質問を変えます。現状、人類側には魔王に対抗する手段はあるのですか?」

「そ、それは……」



 リリーシャは口を噤んだ。
 何か言い難い事を聴いたらしい。
 リリーシャはただ、「わたしの口からは言えない」とだけ答えた。
 恐らく、よほど知られたくない内容なのだと把握した。
 リチャード3世辺りに口止めされている可能性もある。
 一応、信用を得たとはいえ、彼らにも言えない事はある。
 無理に詮索するのは関係を拗れさせるだけだと思いシュウは何も聴かなかった。

 ただ、この世界でやる事は決まった。
 少なくとも魔王タダーノンは必ず討伐しないとならない。
 その為には魔王を討伐した際に次代を魔王を生まないように対策する必要があると言う事だった。
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