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わたしが4代目、魔王となるまで
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情報収集はどんな時でも必ず必要だ。
シュウと言う男がNOの世界でここまでのし上がったのは情報資源を入手しそれを情報と言う使える媒体に還元してきた成果とも言える。
リリーシャからの情報は有益なモノではあったがそれだけで全てを判断するつもりはない。
リリーシャの許可を貰ってシュウはこの城の書物庫に入り魔王タダーノンに関して調べた。
一方で謎のゴーレムらしき存在に関してはマナ達に一任してシュウは自分ができる仕事に注力した。
その結果、リリーシャが語らなかったいくつかの事実が分かった。
まず、3代目魔王に関してだ。
3代目と討伐されたと聴いたが基本的に今苦戦している4代目と3代目は力の差はあれば、能力はほぼ同じだ。
なので、脅威度と言う指標をつけるなら両者にさほどの差は存在しないはずだ。
なら、どのようにして3代目は倒されたのか?
そこには“反理の魔眼”と言う魔眼が関係していた。
この魔眼はアンチ“理の魔眼”のような能力を有しており直視した理とは真逆の理を全自動的に発動する能力のようだ。
能力だけを見れば、“理の魔眼”の上位互換のように見えなくもない。
何せ、わざわざ解析してアンチマジックを放つ手間が要らないのだから、こちらの魔眼の方が速攻性が高い。
ただ、この魔眼に関しては能動的に使える“理の魔眼”とは違い、受動的にしか使えず使用者本人が制御できないという決定があり、うっかり直視すると相手の生命活動と言う理すら止めてしまう厄介な性質を持っていた。
なので、この魔眼の持ち主は常にグラサンのような魔眼を抑止するメガネをかけていたとされている。
そして、その魔眼保持者が4代目の魔王となった魔術師の事だ。
そこから推移すると今の4代目はゴーレムが造れ、剣の腕が立ち、理の魔眼所持者でありしかも、反理の魔眼の所持者である。
それと戦うとなれば、どうなるだろうか?
魔王に直視された瞬間、“反理の魔眼”が作動し生命活動の理を停止させられる。
仮にそれを掻い潜る魔術を行使したとしても“理の魔眼”で魔術を解析され、その魔術に対応したアンチマジックを即座に構築される。
そして、魔術が通じないとなれば接近戦になるかも知れないが相手が剣の達人なら接近戦も容易ではない。
「これ……無理ゲーじゃないですか?」
シュウはぽつりと呟いた。
少なくとも魔王の視界に入った時点で完全にアウトだ。
もしかすると光学迷彩とかをして接近すればワンちゃんあるかも知れないが“理の魔眼”で防がれる可能性がある。
実際、文献の中にも魔眼対策として“姿を消す魔術”を使ったと言う表記があり結果、失敗している。
どのように消したのか気になるが恐らく、光学迷彩でもダメな可能性が高い。
真っ当な手では攻略は難しいだろう。
だが、リリーシャの反応を見る限り、人類側には何か攻略法があるように思える。
“理の魔眼”と“反理の魔眼”を完封する別の魔眼持ちがいるのかも知れない。
もし、そんな存在がいるならある種の決戦兵器と言えるだろう。
その2つの魔眼を封じるだけでも強力無比であり国家バランスを崩しかねないバランスブレイカーだ。
仮に味方であってもギデオンクラスターには明かさない。
シュウとてそう言った秘密を軽々に教えようとは思わない。
「とは言え、その魔眼だけが通じるとは限りませんね」
シュウは書庫を歩みながら借りた本を本棚に戻していた。
仮に人類側にシュウの仮説通りに魔眼があるとしても魔王もその事を想定している可能性がある。
自分の強みをよく知り自分の弱みが何かしっかり把握したプレイヤーが上位のプレイヤーになるとシュウ自身考えており、特に4代目は幾度も討伐隊を派遣したにも関わらずその全てを返り討ちにしている事から上位プレイヤー気質なプレイヤーだとシュウは思っていた。
とは言え、シュウ自身も攻略法が見つけられず行き詰まりを感じていた。
「よっこいしょっと」
背筋を伸ばして本を元の場所に戻していく。
本はシュウの背丈よりも少し高いところにあったので倒さないように慎重に戻していた。
この本棚フラグでも立てないのか固定されておらず据え置きなのだ。
ボトッ
何かが落ちる音がしてシュウは咄嗟にそちらを向いた。
本棚が倒れるのか!と思い咄嗟に距離を取ったがそんな事もなかった。
ただ、その方向の床には一冊の本が落ちていた。
恐らく、本を元に戻す際に揺らした反動で落ちたのだろう。
シュウはその本を拾い上げた。
長い間、誰も開かなかったのか埃が被っており表紙のタイトルも分からなかった。
シュウは徐に埃を払い、タイトルを確認するとそのタイトルに瞠目した。
そこにはこう記されていた。
わたしが4代目、魔王となるまで
そのタイトルが気になりパラパラと捲って見た。
どうやら、これは4代目魔王が魔王になる前の日記らしい。
そして、タイトルからして魔王になるまでの一連の過程が記録されていると思われた。
「興味深いですね」
シュウはこの本を手に取りデスクに戻った。
そして、4代目となった魔術師の半生を日記の中で垣間見る事になる。
シュウと言う男がNOの世界でここまでのし上がったのは情報資源を入手しそれを情報と言う使える媒体に還元してきた成果とも言える。
リリーシャからの情報は有益なモノではあったがそれだけで全てを判断するつもりはない。
リリーシャの許可を貰ってシュウはこの城の書物庫に入り魔王タダーノンに関して調べた。
一方で謎のゴーレムらしき存在に関してはマナ達に一任してシュウは自分ができる仕事に注力した。
その結果、リリーシャが語らなかったいくつかの事実が分かった。
まず、3代目魔王に関してだ。
3代目と討伐されたと聴いたが基本的に今苦戦している4代目と3代目は力の差はあれば、能力はほぼ同じだ。
なので、脅威度と言う指標をつけるなら両者にさほどの差は存在しないはずだ。
なら、どのようにして3代目は倒されたのか?
そこには“反理の魔眼”と言う魔眼が関係していた。
この魔眼はアンチ“理の魔眼”のような能力を有しており直視した理とは真逆の理を全自動的に発動する能力のようだ。
能力だけを見れば、“理の魔眼”の上位互換のように見えなくもない。
何せ、わざわざ解析してアンチマジックを放つ手間が要らないのだから、こちらの魔眼の方が速攻性が高い。
ただ、この魔眼に関しては能動的に使える“理の魔眼”とは違い、受動的にしか使えず使用者本人が制御できないという決定があり、うっかり直視すると相手の生命活動と言う理すら止めてしまう厄介な性質を持っていた。
なので、この魔眼の持ち主は常にグラサンのような魔眼を抑止するメガネをかけていたとされている。
そして、その魔眼保持者が4代目の魔王となった魔術師の事だ。
そこから推移すると今の4代目はゴーレムが造れ、剣の腕が立ち、理の魔眼所持者でありしかも、反理の魔眼の所持者である。
それと戦うとなれば、どうなるだろうか?
魔王に直視された瞬間、“反理の魔眼”が作動し生命活動の理を停止させられる。
仮にそれを掻い潜る魔術を行使したとしても“理の魔眼”で魔術を解析され、その魔術に対応したアンチマジックを即座に構築される。
そして、魔術が通じないとなれば接近戦になるかも知れないが相手が剣の達人なら接近戦も容易ではない。
「これ……無理ゲーじゃないですか?」
シュウはぽつりと呟いた。
少なくとも魔王の視界に入った時点で完全にアウトだ。
もしかすると光学迷彩とかをして接近すればワンちゃんあるかも知れないが“理の魔眼”で防がれる可能性がある。
実際、文献の中にも魔眼対策として“姿を消す魔術”を使ったと言う表記があり結果、失敗している。
どのように消したのか気になるが恐らく、光学迷彩でもダメな可能性が高い。
真っ当な手では攻略は難しいだろう。
だが、リリーシャの反応を見る限り、人類側には何か攻略法があるように思える。
“理の魔眼”と“反理の魔眼”を完封する別の魔眼持ちがいるのかも知れない。
もし、そんな存在がいるならある種の決戦兵器と言えるだろう。
その2つの魔眼を封じるだけでも強力無比であり国家バランスを崩しかねないバランスブレイカーだ。
仮に味方であってもギデオンクラスターには明かさない。
シュウとてそう言った秘密を軽々に教えようとは思わない。
「とは言え、その魔眼だけが通じるとは限りませんね」
シュウは書庫を歩みながら借りた本を本棚に戻していた。
仮に人類側にシュウの仮説通りに魔眼があるとしても魔王もその事を想定している可能性がある。
自分の強みをよく知り自分の弱みが何かしっかり把握したプレイヤーが上位のプレイヤーになるとシュウ自身考えており、特に4代目は幾度も討伐隊を派遣したにも関わらずその全てを返り討ちにしている事から上位プレイヤー気質なプレイヤーだとシュウは思っていた。
とは言え、シュウ自身も攻略法が見つけられず行き詰まりを感じていた。
「よっこいしょっと」
背筋を伸ばして本を元の場所に戻していく。
本はシュウの背丈よりも少し高いところにあったので倒さないように慎重に戻していた。
この本棚フラグでも立てないのか固定されておらず据え置きなのだ。
ボトッ
何かが落ちる音がしてシュウは咄嗟にそちらを向いた。
本棚が倒れるのか!と思い咄嗟に距離を取ったがそんな事もなかった。
ただ、その方向の床には一冊の本が落ちていた。
恐らく、本を元に戻す際に揺らした反動で落ちたのだろう。
シュウはその本を拾い上げた。
長い間、誰も開かなかったのか埃が被っており表紙のタイトルも分からなかった。
シュウは徐に埃を払い、タイトルを確認するとそのタイトルに瞠目した。
そこにはこう記されていた。
わたしが4代目、魔王となるまで
そのタイトルが気になりパラパラと捲って見た。
どうやら、これは4代目魔王が魔王になる前の日記らしい。
そして、タイトルからして魔王になるまでの一連の過程が記録されていると思われた。
「興味深いですね」
シュウはこの本を手に取りデスクに戻った。
そして、4代目となった魔術師の半生を日記の中で垣間見る事になる。
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