レディバグの改変<W>

乱 江梨

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第一章 学園編

3.勇者一族の恥さらし3

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 目の前に佇む人物――副生徒会長と呼ばれた彼を見て、ユウタロウは思った。

 この男は明らかに、自分に対して敵意を持っていると。
 そしてそれは、先刻まで突っかかってきた新入生の様な、子供騙しの生易しい敵意ではない。その気になれば一瞬の内に殺意を向けてくるような、ドロドロとした陰湿な恨みである。


「副生徒会長?コイツが?……チサト、知ってるか?」


 彼から感じる異様な厭悪に気づきながらも、それを態度には出さないまま、ユウタロウは切り出した。


「ううん。私、ハヤテくんが生徒会長の時の生徒会しか知らないもの」
「だよなぁ」


 この学園のことに関心が無さすぎる二人は同調する。さも自分たちの感覚が正しいかのように。


「――私は。これは一体何の騒ぎか?と、聞いています」

 威圧感のある、冷たい声で副生徒会長は言い放つ。有無を言わさぬその態度は絶対零度かと思える程で、新入生は言葉を上手く紡ぐことが出来ない。


「ちょっとした模擬戦をしてたんだ。遊びだよ遊び」

 彼の代わりに答えたのはユウタロウだ。新入生を庇ったわけでは全く無い。ただ、可及的速やかにこの場から立ち去りたかっただけだ。


「遊び?あと数分で授業が始まるのですよ?」
「まぁそうカッカすんなって……副生徒会長様ぁ」

 ユウタロウの言い方には悪意があり、副生徒会長はピクリと眉を顰めた。
 そのまま目線を、顔面傷だらけ状態の新入生に移す。そんな彼と、無傷でシレっと佇むユウタロウ。二人を見比べれば、一部始終を知らない副生徒会長でも、勝敗は容易に想像出来た。


「――それで。その様子を見るに、新入生あなたが負けたのですか?」
「……えっ?」


 新入生はビクリと肩を震わせる。問いかけるその声に、咎める様なプレッシャーを感じたから。彼らには分からない。何故副生徒会長が、たかだか生徒同士の勝ち負けに固執するのか。その理由を。


「勇者一族の恥さらしに、あなたともあろう方が、負けたというのですか?」
「っ、も、申し訳ありませんっ……」


 鋭い眼光に見下ろされ、新入生は冷や汗が溢れて仕方が無い。ハシビロコウの様な冷たいその瞳を見つめ続ける根性など無く、震える唇を噛みしめながら、逃げるように俯くことしか出来ない。


「俺とコイツの勝負だ。アンタには関係ねぇだろうが。
 ……それとも何か?見下していた勇者一族の恥さらしが、見ず知らずの奴に勝ったぐれぇで穢れるほど、アンタのプライドは高潔だとでも言いたいのか?」
「……いいえ。彼の実力は噂程度に耳にしておりましたので、少々驚いてしまっただけですよ」


 作り物じみた、当たり障りのない笑みを浮かべると、彼はユウタロウの尋問をスルリと躱した。これ以上問い詰めても無駄だと悟ると、ユウタロウは厳しい眼差しを解除する。

「ならもういいよな?俺ら、これでも忙しいんだ」

 忙しいというのは真っ赤な嘘だが、さっさとこの窮屈な空間から抜け出したかったユウタロウは、息をするように口から出まかせを言った。


「えぇ。ですが、むやみやたらに今回のような騒動は起こさないように。あなたもですよ?」
「はいっ……申し訳ありませんでした」
「行くぞ。チサト」
「はぁい♡」


 新入生は深々と頭を下げた。一方のユウタロウは彼らに背を向けるのみで、礼儀も何もあったものではない。

 副生徒会長の鋭い睨みを背中に感じつつ、ユウタロウたちはその場を後にするのだった。

 ********

 チサトに腕を組まれながら、人気のない場所まで泰然と歩を進める。しばらくして、ユウタロウは校舎裏でピタリとその足を止めた。


「……クレハ。いるな?」

 有無を言わさぬ、当たり前のような彼の問いかけが空に舞う。刹那、二人の目の前に一人の男がシュタっと降り立つ。

「はっ。ここに」


 地面に跪きながら首を垂れ、ユウタロウが発言するまで僅かな挙動さえ見せないその姿は当に、主に仕える忠実な僕といった感じである。

 ユウタロウよりも高い百八十センチの背。きちんと引き締まった身体。藍色の髪は男にしては長く、頭の低い位置で束ねている。前髪はおでこが見えるようセンターで分けている。キリっとしたつり目で、青く澄んだ瞳は冷たい印象を覚える。
 影に溶け込めるような全身黒ずくめの格好は、この国において異端と呼ばれても仕方ないほど珍しいものだ。
 何故か身体中汚れていて、髪や服には葉が絡まる様にくっついていたが、それをツッコむ者はいない。

 既に彼――クレハの存在に薄々勘付いていたチサトは、呆れたような眼差しを向ける。


「クレハくんやっぱりいたぁ。ユウちゃんにストーカーするのやめてって言ってるのにぃ」
「黙れビッチ」
「はぁ!?今なんて言った!?」
「某は主君をお守りするため、いつ何時でもお傍に仕える必要があるのだ。己が欲求の為にベタベタと主君にこびりつく貴様とは違うのだ」
「言ってくれるじゃない……私知ってるのよ?クレハ君がそうやって、こっそりユウちゃんの写真隠し撮りして、部屋にコレクションしていること!」
「なっ……何故それをっ……」


 チサトによる反撃で漸く顔を上げたクレハは、焦りと困惑で目を泳がせている。チサトが暴露した彼の秘密は、ユウタロウもとっくの昔から気づいているのだが、本人は隠し通せていると思っていたらしい。

 クレハに一泡吹かせることに成功したチサトは、得意気な表情を見せる。


「女の観察眼なめんじゃないわよ」
「……おい。そろそろ本題に入ってもいいか?」
「はっ……!し、失礼した主君!このクレハに何なりとお申し付けを」


 二人のくだらない口論を死んだ魚の様な目で傍観していたユウタロウだが、耐えられなくなったように割って入った。当初、ユウタロウに呼び出されたことをすっかり忘れていたクレハは、慌てた様子で陳謝する。


「あの副生徒会長とやらを調べておけ。妙にきな臭いからな」
「はっ。承知した」

 影から一部始終を見ていたクレハが、与えられた任務に疑問を持つことは無かった。彼自身、副生徒会長のユウタロウに対する敵意には違和感を覚えていたのだろう。


「あぁ、あと……俺をストーキングするのは良いが、偶にはロクヤの様子も見てやれよ?アイツ、俺らがいない時はあの家にずっと一人だからな」
「もちろんだ……だが……主君まで某をストーカー扱いするのはやめてくれぬか!?」
「ちょっとぉ。往生際が悪いわよ、クレハくん」
「ビッチは黙っていろ」
「……お前ら仲良いな」
「「どこが!?」」

 聞き捨てならないと言わんばかりの、二人の逼迫した声がピッタリ重なった。思わずユウタロウは吹き出し「あハハッ!」と豪快に破顔一笑する。
 精悍なその笑顔を目の当たりにした二人は、気まずそうに目配せする。そして、下らない口論をしていたことが馬鹿馬鹿しくなったのか、深いため息をつくのだった。

 ********

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


 一人の男は逃げていた。自身を追い回す、正体不明の存在から。

 その日の夕刻。人気も少なくなり、足元が覚束ない暗然とした街。彼は仕事の帰り、顔を面で隠した、得体の知れない何かから必死に逃げ惑っていたのだ。

 このままでは殺される。男は本能的にそう感じた。

 住み慣れた街なのに、何かに追われている今だけは、全く知らない異界の地に足を踏み入れた気分になる。
 恐怖のあまり、足を走らせることしか頭になく、どの道を進み、どのように逃げるか考える余裕が無いせいだろう。

(何なんだよアイツらっ……)

 追ってくる存在との距離を確認するため、男は走りながら後ろを振り返る。視界に映るのは、気味の悪い面が三つ。

 赤い瞳が泣いている様な。そんな面だった。

 全く同じ面を被った人間が三人、男を追い回している。少しでも走る速度を落としてしまえば、一瞬で追いつかれそうな距離に絶望し、男は振り向くのをやめて全力疾走を続ける。

 だが――。
 

「っ……い、行き止まり…………ひっ……」


 遂には逃げ場を無くしてしまい、迫りくる恐怖に男は腰を抜かす。ガタガタと震えながら、ゆっくりと迫りくる存在を、怯えきった瞳で見上げることしか出来ない。

 抵抗する術を持たない彼は、最悪の結末を想定しぎゅっと目を瞑る。だが、彼が予期していたが起こることは無かった。

 誰かが自身の目の前に佇む気配を感じた男は、徐に瞼を開く。

 すると――。

「っ……!?」


 自身を守る様に背を向ける、一人の少女がそこにはいた。

 百五十センチの低い背丈に、細い身体。見た目は十代前半から半ばに見える。茶髪のショートカットだが、髪の一部を編み込んでいて女の子らしい。エメラルドの瞳はどこか機械めいていて、吸い込まれそうな魅力がある。

 建物の屋根から飛び降りて突如現れたその少女に、三人組は警戒心を露わにした。


「……何者ですか?」
「……ヒメ」
「姫?」


 とても高い、特徴のある声だった。発せられた単語に、三人組の内一人――リーダーと思われる女は疑問を呈した。


「ヒメはヒメ……ヒメはの物。ヒメは……レディバグの物」
「レディバグ……その名、聞き覚えがありますね。巷で噂の組織ですか」


 レディバグ。その組織の名を、彼女は知っていた。故に、抱いていた警戒心を更に高める。
 目的不明で全貌を知る者はおらず、謎めいた組織でありながら、構成員はどれをとっても強者揃い。そんな噂の絶えない組織こそが、彼女らの言う〝レディバグ〟である。


「そう…………そこの人、早く逃げるの。ヒメたちレディバグに任せるの」
「あ、ありがとうございますっ……」


 ヒメに促され、男はへっぴり腰のままその場から逃げ出す。


「ふん。余計な邪魔を……あの者を追いかけなさい」


 リーダーの女が両隣の二人に命じた。だが、そんな二人の行く手を阻む者が颯爽と現れた。


「あら。そんなことさせるはず無いじゃない」


 現れたのは、ヒメの仲間と思われる男女二人。これで三対三の互角となった。思わず、敵の三人は悔し気に歯噛みする。

 加勢にやって来たヒメの仲間の一人は、二十代前半の女性。もう一人は十代半ばの青年である。


「っ……あなた方も、レディバグという奴ですか?」
「えぇ。先に自己紹介といきましょうか?
 私はディアン。尊い我らが主に仕える、レディバグ構成員、序列62位――ディアン」


 百七十センチのスラリとした体型。肘まで伸びた桜色の髪を、右サイドで一つにまとめている。薄い緋色の瞳はパッチリ大きく、非常に整った顔立ちである。

 柔和な表情で名乗った女――ディアンの発言に、三人組は首を傾げた。


(序列……?組織内の階級のことか?レディバグという組織に、どれだけの構成員が属しているのか分からない以上、この者たちの実力を判断しかねるな……)


「同じくレディバグ構成員、序列63位――ソン皓然ハオランです。どうぞよろしく」

 青みの強い紺色の髪と瞳。成長期真っ只中なのか、彼の背は隣に並ぶディランと大差ない。アオノクニの人間とは比べ物にならない程真っ白な肌は、彼がこの国出身では無いことを物語っている。そしてそれは、彼の名前をとっても同じことだ。
 
 何故か友好的な挨拶をした男――皓然ハオランは丁寧な口調で言った。


「同じくレディバグ構成員、序列対象外――ヒメ……なの」
「対象外?」

 改めて名乗ったヒメに、リーダーの女は思わず首を傾げる。


「対象外は対象外なの。多分……言っても、理解できないの」
「……まぁ、私たちには関係の無いことです。興味もありません」

「それにしてもヒメちゃん……速すぎるわよ。私たちを置いて行かないで?」
「無理。皆のペースに合わせていたら、さっきの人死んでいたの。ヒメのお手柄なの。だからディアンと皓然は、後でヒメにオレンジジュースを奢るの」
「はいはい。いくらでも飲ませてあげるから」


 敵であるはずの三人を挟みながら、呑気な会話を始めたヒメとディアン。そんな二人の様子を、皓然は微笑ましそうに眺めている。
 殺伐したこの場には似つかわしくない程、リラックスしている様なやり取りを交わす彼らを、三人組は怪訝に思う。


「――それで……あなたたちは何者、なの?……どうしてこの国の人、襲うの?」


 先の男を襲おうとしていた理由を、ヒメは単刀直入に尋ねた。機械めいたその瞳が色を変えることは無いが、射抜かれてしまいそうな鋭さを彼女らは感じる。


「……そうですね。我々は……この世界を救う者です」
「?意味、分からないの。世界救う者なのに、人、殺すの?……矛盾なの」


 ヒメは知っている。この奇妙な面をつけた者たちが、近頃多くの人々を無作為に殺していることを。だからこそ、自らを世界の救世主などと宣う彼女に、どうしようもない憤りを感じた。


「大いなる目的の為には、多少の犠牲も必要なのです。あなたのような子供には分からないでしょうが」
「それは、違うの……」


 嘲るような彼女の声とは対照的な。ヒメの静かな、それでいて、芯のある力強い声が鳴る。


「?何が違うと言うのですか」
「あなたたちは、大いなる目的を達成するだけの、その力を持っていないだけなの。ヒメの慕うマスターは、全部全部守りながら、その信念を貫ける人なの。
 でも、あなたたちは違うの。信念を貫く努力もせず、力を蓄えることもせず、最初から諦めて、犠牲はしょうがないって、子供の言い訳をして。自分たちの力不足を誤魔化しているだけなの」
「っ……」


 ヒメは、面をつけた彼女らの正体を一切知らない。にも拘らず、全てを見透かしているかのように、重みのある言葉を紡ぎ出した。
 その姿が誇らしく、思わずディランと皓然は満足気に破顔した。

 一方、リーダー格の女は悔し気に歯噛みし、憤りのあまり身体を震わせるのだった。


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