食べたい2人の気散事

黒川

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【人は語る】斉藤くんと佐々木さん

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語る人: 斉藤君

「まぁ、イケメンリア充。パッと見はな。でも実際の所は女性不信のゲーオタ。だなぁ。俺?裕也とは高校からの友だち。あいつはどう思ってるか知らないけど(笑)だからあの変身っぷりには本当に驚いてる。高1の時一緒のクラスになって、まんまるぅwwってのが第一印象。でも話をしてみたら結構面白くてさ、何だかんだ付き合いが続いてる。志望大学と学部が一緒って分かった時は小躍りする位には嬉しかったぜ?
あぁ、あの女子への態度だろ?俺もビックリした。『ぼく』ってなんだよ、『もん』ってなんだよって突っ込んだよな。そしたら、最初の失敗を反省した結果の対策だとか言いやがるのウケる。
姉ちゃんが居るって言ってたし、バイトは接客だろ?そこら辺で免疫付けてると思ってたんだけど、違ってたみたい。
今じゃあんな外見してるからさ、大学の入学式では目立ってたんだよ。で、部活同好会コンパの勧誘挙句の果てには逆ナンだろ?オロオロしてんの見てて可哀想だったわ。大学1年の最初の講義でさ、あからさまに相原狙いの女子が隣の席に座って来て講義中にも関わらずベラベラ話しかけてんの、俺もドン引いてたけど相原の空気感がめっちゃ怖かった。イライラしてるのがこっちにも伝わってきててさ。あ、俺はその女子とは反対隣に座ってたのな?そしたらさ、まぁまぁデケー声で、何なら講義室に響き渡る声量でさ『講義中なんだから私語慎めよ!』って……高校時代だってそんな声荒らげた事無かったから、相当イラついてたんだろうな。言われた女子は泣き出すかと思ったんだが、鋼のメンタルだったらしく『ごめぇーん(テヘペロ)』で大人しくなった。や、その女子もすげーなって思ったよ。佐々木さんって言う人なんだけど」


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


語る人: 佐々木さん

「大学の周りの友だちとか知り合いはね、良く言うの『私、イケメン過ぎるとちょっと苦手~』って。相原君をチラチラ見ながら。そんな遠回しなアプローチじゃ相原君はこっちを認識してくれないし余計嫌われると思う。だったら正々堂々アプローチした方が良いと思うのよね。まぁ……私は初手を間違えたけど。大学1年生の時、講義中に話しかけすぎて怒られたんだよね。当然の事だわ。だからあの後キチンと謝ったし、相原君も許してくれた。許してくれたけど、受け入れてはくれてないの笑っちゃう笑えないけど。アレ以来、私みたいな話しかけてくる人避けなのか、相原君は講義では1番前のど真ん中の席に座ってる。キチンとお勉強したいんだよね。後ろの席から見てると本当に真面目に受講してるんだもの。これを邪魔するのはダメだと思うの。私も深く反省した。だからせめてものお詫びとして、講義前に相原君にこっぴどく振られる役を買って出る事にしたの。あのやり取り見させられたら話しかけようなんて思わないし、他の女子だって無駄に傷つきたくないでしょ?


『「相原くーん。お隣座っていい?」』

『「良くなーい!ぼく、勉強しにきてるの!」』


……かわいいよね。イケメン然とした男子がさ、ぼく!とか〇〇なの!とかさ。後で聞いたんだけど、言い方を柔らかくしようとしてこの言葉遣いになったんだって。普段は普通の男子の喋り方なのに、女子を拒否る時は何故かこの口調ギャップ萌え。私と相原君でこのやり取りをすると、他の子たちは話しかけて来なくなる。流石に大学2年目になると風物詩化されてるけど。でも油断は出来ないよね。私たちが2年って事は何も知らない後輩が入ってくるって事。なので今日も今日とて私は相原君の穏やかな大学生活を勝手に守ってる。


え?彼が好き?恋愛感情?


違う違う(笑)確かに最初はそうだったけど、今は……純粋な……観賞男子……?」
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