食べたい2人の気散事

黒川

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13 冒険者は、勝負する。

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「さっきのプロテインだけどさ……」

はい、タットさんが食いついた。
ワークアウトもゲームアプリ操作も終わったので、荷物の整理をしていたらモジモジと『すっきりイチゴ味』のプロテインの事を聞いてきた。
『特別美味いわけじゃない』って言って飲んでなかった人が、この変わりよう。ちょっと面白い。

「ネット通販専門なので、後でサイト教えます。……それか、一緒に買いますか?まとめ買いすると少し安く買えるんですけど、俺そこまで頻繁に飲むわけではないので、いつも単品で買ってるんです」

「そうなんだ?じゃぁ一緒にお願いしようかな?他にも味はあるの?」

「ありますよ。ホエイプロテインだと、イチゴ、チョコ、バナナ。ソイプロテインは、カフェラテ、杏仁、黒ゴマきな粉ですね」

「あー、そしたらホエイのイチゴかなぁ?さっきの凄く美味しかったもん。ゆん君が今度買う時教えてくれる?一緒に買いたいな。……なんか……さっきまでプロテイン飲まない、ドヤッて顔してたのに恥ずかしいんだけど……」

少しはにかみながら小首を傾けるタットさんが可愛い。俺も釣られてニコッと笑った。

「そしたら声かけますね。てか、今までそこまで美味しいプロテイン飲料に出会ってなければ仕方が無いですよ。もともと飲まなくちゃいけないものでもないですし」

2人見つめ合って「ふふっ」と笑った。
こう言う空気感、いいな。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

「はいっ!つぎは俺のターン!!」

荷物もまとめきると、ウキウキを隠しきれないって感じのタットさんがピョンピョンと跳ねてきた。いや、だからなに?この可愛い生き物?

行きと同じように、CDフィットを起動させたまま、タットさんの家へと向かった。念の為と前置きされ、路線バスに乗った方が早いと言われたが、俺は歩き一択で希望した。タットさんもニコニコ笑いながら「ゆん君ならそう言うと思ったんだけどね、念の為」と歩みを進めた。

程なくして着いた場所は、車通りに面した平屋の一軒家だった。勝手にアパートとかマンションをイメージしていたので意外だった。
そこまで大きくない、こじんまりとした家。黒塗りされた金属製の囲いで仕切られていて、ちょっとした庭もある。雑草が若干伸び伸びしてるけど、荒れてる感じはしない。これ、手入れしたら家庭菜園もできるんじゃないか?

「ようこそ我がお城へ!とりあえず入って入ってー」

案内されるまま、お邪魔する。

「ふぁ……」

通された場所は、多分リビング。
ソファとテーブル、テレビ。いかにもなリビングなんだけど、入って右側奥には、まぁまぁ大きなデスクとその上にPCモニタが2つ。スマホやらノート型PCもいくつか散乱している。そして椅子がごつい。ごつい(2回言う)俺、見たことある。プロゲーマーが座ってる様な椅子だ。

「居間兼仕事場なんだ、この部屋。あっちのパソコン周辺は、ちょっと散らかってるから見ないでー。くつろぎスペース片付けるので精一杯だったんだ」

そう言いながら俺の背中をグイグイ押しながらソファに座らせてくれた。

「飲み物どうしようか?ペットボトルのお茶とインスタントコーヒーくらいしか無いんだけど」

「そしたらお茶が良いです」

「オッケー」

タットさんが用意してくれてる間、俺はずっと部屋をキョロキョロ眺めていた。リビングは、かなりシンプルにまとまっている。ゴチャゴチャした感じはしない。仕事場以外は。
見ないで、と言われると見たくなるのが人間の性というもので。ついついパソコン周辺を見てしまう。机の下には本も数冊積んであった。タイトルまでは見えない。

「んもーぉ。あっちは散らかってるから恥ずかしいんだよ」

カタンとテーブルにコップが置かれた。

「視界に入るんです。仕方ないじゃないですか」

「まぁ……視界に入るね……初めて見たなら気になるゾーンだね」

タットさんもPCの一角を見て納得してるみたいだった。
出されたお茶をチビチビ飲んでると、タットさんはテレビの方を指さした。

「あれ、ハード機ね」

1つはCrystal Dungeonと同じ会社が出してるハード機。もう片方は世間的に1番メジャーなハード機、どちらも最新式が綺麗にまとまって置いてあった。
俺は、自分でも持ってるCrystal Dungeonと同じ会社から出てるハード機を選んで、やり込んでる某カートゲームのソフトを選んだ。
タットさんもやり込んでるらしく、オンライン対戦に繋げては、上位にくい込んでるらしい。
電源を入れて難易度を選ぶ。
もちろんハードモードだ。
お互い、使い慣れたキャラクターを選び

「「いざ!勝負!!」」
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