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14 冒険者は、……?
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気づけば日が暮れていた。完全に、と言うより夕焼け小焼けのオレンジ色の空だ。
ゲームは結構白熱した戦いだったと思う。
今回選んだゲームソフトは、ファミリー向けのカートゲームだ。コミカルな動きと、見た目は可愛いが、エグい攻撃を仕掛けるアイテムで相手を邪魔等をさせる事も出来るゲームソフト。俺たちは互いに小細工を仕掛けつつ、逃れつつ、嵌りつつ、ゲラゲラ笑いながら何度もプレイした。
勝敗は、五分五分と言いたいところだけど、僅差でタットさんの勝ち。
ちょっと悔しかったが、全く歯が立たなかったワケでは無いので次勝負する時まで、もう少しやり込んでおこうと思ってる。
「ゆん君もやり込んでるねー!こんなにドキドキした勝負は久しぶりだったよ」
「……完敗……ではないですが、結構自信があったソフトだったので悔しいです。もっとやり込んでくるので、また勝負してください」
「いーよー。てかネット繋いでるならオンライン対戦も出来るし、今度そっちで勝負する?」
確かにオンライン対戦も、お互いのパスコードを入力すれば特定の相手とだけ対戦できるシステムはある。けど、出来れば俺はタットさんとは、リアルで会って勝負したい気持ちの方が勝った。
「……うーん……タットさんとは会って勝負したいです。今度はうちに来るのでも良いですし」
俺がそう言うと、タットさんは口をポカンと開けて目をパチパチさせた。ん?と、首を傾げると、今度はギュッと目をつむり、唇を噛んで何かに耐えてる。
「ゆん君のお家にお呼ばれ嬉しいし首をかしげるゆん君可愛いし……」
どうも俺の様に悶えてるらしい。結構な早口で言われたけど、こっちも結構なオタク歴があるから、早口の聞き取りは得意だったりする。どっかのラノベなラブコメディだったら、聴き逃しそうな早口も小声も、俺は聞き逃さない強い意志を持ってる。
「ふはっ……」
タットさんのコロコロと変わる態度に思わず吹き出すと、今度は困った様に眉を下げた。本当にこの人は表情豊かだな。俺が感心して見ていると、そっと頬に手を添えられた。嫌悪感は無いので、スリっと俺も頬を押し付ける。
「本当はね、もう少しゆっくり仲良くなれたらいいな、嬉しいなって思ってたんだよ……でもね、ゆん君があまりにも可愛いからさ……」
スリスリと頬を撫でられていた手は耳に移動し、今度は耳を優しく撫でられた。これ、気持ちいいな……頬を撫でられた時と同じように、タットさんの手に耳を押し付ける。
目を閉じて撫でられる感触を堪能してると、後頭部にタットさんの手が周り、そのまま抱き寄せられた。少し骨張った肩に頬を当て、スンスンと匂いを嗅ぐ。公園で筋トレをした後に貸した汗ふきシートの残り香と、おそらくタットさん自身の匂いが混ざって、なんとも言えないドキドキする良い香りがした。
「タットさん、なんかいい匂いします……」
「そ?汗臭くない?」
「ないです」
「なら良かった……」
ただ、頭を抱き寄せられているだけなので体勢がキツイ。俺は身体をずらして全体的にタットさんに寄りかかるように体重を預けた。
「わぁ……」
タットさんは感嘆の声をあげながら、俺の身体全体を包み込むように両腕で抱え込んでくれた。これ、物凄く安心感がある。
これは……アレの安心感だ……ほら……アレアレ
「兄ちゃん……」
タットさんにスリスリと頬を擦り付けながら呟いた。
「まさかのお兄さんかーい!」
しっかりと抱き締められたまま、恐らく擬音を付けるなら「ズコー!」って聞こえて来そうな突っ込みだった。
「タットさん、匂いはドキドキするんですけど、抱き締められてると兄ちゃん味があって凄く安心感あります。身長も同じくらいだし、年上だからですかね?」
もう遠慮せずに体全体を擦り付けて密着感増し増しにする。180センチある成人男性に、170センチそこそこのギリギリ未成年が引っ付くのも、絵柄上どうかと思うが、兄ちゃんとのスキンシップもこれくらいなので俺の中では許容範囲内。
「思ってたんと違う……けど離せない……」
タットさんは、そう呟きながら俺が満足するまで抱き締めてくれていた。
結局、タットさんとの触れ合いはハグだけ。所々で頬を擦り付けたりもしたけど、俺の中では家族のスキンシップレベル。
終始タットさんは「解せない……解せないけど離せない……!」とブツブツ言いつつも俺を離すことは無かった。恐らく、俺の事が好きなんだろう。
帰り際にも「俺ね、ゆん君の事、好きなんだよ。兄弟的なのじゃなくてね!ラブ的な意味でね!」って必死に言われたので、まぁ、恐らくじゃないな。
決定的だコレ。
ゲームは結構白熱した戦いだったと思う。
今回選んだゲームソフトは、ファミリー向けのカートゲームだ。コミカルな動きと、見た目は可愛いが、エグい攻撃を仕掛けるアイテムで相手を邪魔等をさせる事も出来るゲームソフト。俺たちは互いに小細工を仕掛けつつ、逃れつつ、嵌りつつ、ゲラゲラ笑いながら何度もプレイした。
勝敗は、五分五分と言いたいところだけど、僅差でタットさんの勝ち。
ちょっと悔しかったが、全く歯が立たなかったワケでは無いので次勝負する時まで、もう少しやり込んでおこうと思ってる。
「ゆん君もやり込んでるねー!こんなにドキドキした勝負は久しぶりだったよ」
「……完敗……ではないですが、結構自信があったソフトだったので悔しいです。もっとやり込んでくるので、また勝負してください」
「いーよー。てかネット繋いでるならオンライン対戦も出来るし、今度そっちで勝負する?」
確かにオンライン対戦も、お互いのパスコードを入力すれば特定の相手とだけ対戦できるシステムはある。けど、出来れば俺はタットさんとは、リアルで会って勝負したい気持ちの方が勝った。
「……うーん……タットさんとは会って勝負したいです。今度はうちに来るのでも良いですし」
俺がそう言うと、タットさんは口をポカンと開けて目をパチパチさせた。ん?と、首を傾げると、今度はギュッと目をつむり、唇を噛んで何かに耐えてる。
「ゆん君のお家にお呼ばれ嬉しいし首をかしげるゆん君可愛いし……」
どうも俺の様に悶えてるらしい。結構な早口で言われたけど、こっちも結構なオタク歴があるから、早口の聞き取りは得意だったりする。どっかのラノベなラブコメディだったら、聴き逃しそうな早口も小声も、俺は聞き逃さない強い意志を持ってる。
「ふはっ……」
タットさんのコロコロと変わる態度に思わず吹き出すと、今度は困った様に眉を下げた。本当にこの人は表情豊かだな。俺が感心して見ていると、そっと頬に手を添えられた。嫌悪感は無いので、スリっと俺も頬を押し付ける。
「本当はね、もう少しゆっくり仲良くなれたらいいな、嬉しいなって思ってたんだよ……でもね、ゆん君があまりにも可愛いからさ……」
スリスリと頬を撫でられていた手は耳に移動し、今度は耳を優しく撫でられた。これ、気持ちいいな……頬を撫でられた時と同じように、タットさんの手に耳を押し付ける。
目を閉じて撫でられる感触を堪能してると、後頭部にタットさんの手が周り、そのまま抱き寄せられた。少し骨張った肩に頬を当て、スンスンと匂いを嗅ぐ。公園で筋トレをした後に貸した汗ふきシートの残り香と、おそらくタットさん自身の匂いが混ざって、なんとも言えないドキドキする良い香りがした。
「タットさん、なんかいい匂いします……」
「そ?汗臭くない?」
「ないです」
「なら良かった……」
ただ、頭を抱き寄せられているだけなので体勢がキツイ。俺は身体をずらして全体的にタットさんに寄りかかるように体重を預けた。
「わぁ……」
タットさんは感嘆の声をあげながら、俺の身体全体を包み込むように両腕で抱え込んでくれた。これ、物凄く安心感がある。
これは……アレの安心感だ……ほら……アレアレ
「兄ちゃん……」
タットさんにスリスリと頬を擦り付けながら呟いた。
「まさかのお兄さんかーい!」
しっかりと抱き締められたまま、恐らく擬音を付けるなら「ズコー!」って聞こえて来そうな突っ込みだった。
「タットさん、匂いはドキドキするんですけど、抱き締められてると兄ちゃん味があって凄く安心感あります。身長も同じくらいだし、年上だからですかね?」
もう遠慮せずに体全体を擦り付けて密着感増し増しにする。180センチある成人男性に、170センチそこそこのギリギリ未成年が引っ付くのも、絵柄上どうかと思うが、兄ちゃんとのスキンシップもこれくらいなので俺の中では許容範囲内。
「思ってたんと違う……けど離せない……」
タットさんは、そう呟きながら俺が満足するまで抱き締めてくれていた。
結局、タットさんとの触れ合いはハグだけ。所々で頬を擦り付けたりもしたけど、俺の中では家族のスキンシップレベル。
終始タットさんは「解せない……解せないけど離せない……!」とブツブツ言いつつも俺を離すことは無かった。恐らく、俺の事が好きなんだろう。
帰り際にも「俺ね、ゆん君の事、好きなんだよ。兄弟的なのじゃなくてね!ラブ的な意味でね!」って必死に言われたので、まぁ、恐らくじゃないな。
決定的だコレ。
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