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18 誘いを、かわす、俺。
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そして、やってきました木曜日。
取得必須科目の都合上、木曜日はフルで授業を入れてるため、大学を出る時間がいつもより遅い。「遅くてもいいから」と言われてバイトに入る事もあるが、バイトを入れない事の方が多い。
いつも通りにタタンと教科書と筆記用具をまとめてカバンに入れる。
今日は、これからタットさんと会えると思うと足取りも少しばかり軽くなる。これから大学を出る旨を連絡しようとスマホのメッセージアプリを起動させようとしたら、後ろから誰かに抱きつかれた。
「ゆっゆん!今日バイト無いだろ?これから飲み会あるんだけど行こうぜ!」
抱きついてきたのは、高校から一緒の斎藤だった。
「やだ。ぼく用事ある。帰る」
抱きつかれた腕を振りほどくと、斎藤は信じられないモノを見るような目をしていた。
「裕也が俺を女子扱いしてる……」
恐らく、言葉遣いの事を言ってるのだと思うけどのだが、女子扱いしたつもりは無い。とっさに出た拒否が、いつもの使い慣れてるセリフだっただけだ。
「そっかー。用事があるならしゃーねーな。裕也いっつもバイトだからさー、たまには俺とも遊んでよな?」
斎藤は俺の肩をポンと叩いて、恐らくこれから飲みに行くのであろう友人達の方へ合流していった。「裕也誘ったけどフラレター!」と奴が言うと、友人達は「でしょうね!」とゲラゲラ笑ってた。まぁ、確かに最初誘われて以降全て断ってるもんな。正直、斎藤とは高校からの友達だし何かと気が合うのは知ってるが、斎藤を取り巻くあの輪に入りに行こうとは思えない。1度だけ斎藤に誘われて行った時、大抵誰とヤッたとかヤリたいとか、そんな下の話しか出てこなく、童貞の俺には非常に肩身の狭い時間でしか無かった。あと当時未成年だったはずなのに当たり前のように酒飲んでタバコ吸ってるのも信じられなかったので、それ以降は適当に理由を付けて断ってる。
再度、俺はメッセージアプリを開いてタットさんに連絡を入れた。
『今から大学を出ます。今どこにいますか?』
すぐに既読がついて返信が来た。
『遅くまで講義おつかれ!俺がそっちに行くから門を出た所で待ってて。大学って出口ひとつだよね?』
『うちは正門しかないので大丈夫です。待ってます』
直ぐにメッセージを返して正門に向かう。最後の講義は正門から少し離れた棟で行われていたので、気持ち小走りだ。行く先々で面識のない女子に話しかけられそうになるのをかわすのも慣れたものだ。最初、本当に何か用事があって話しかけられたのだと思って立ち止まったら、要領を得ない話が延々と続いたのを経験してから全て避けてる。俺の処世術。
無事に正門を出た所でキョロキョロすると、ストン……とした出で立ちでタットさんが待っててくれた。目が合えば、直ぐにニコっと笑ってくれる。……あぁ、いいなぁ、この空気。俺も自然と笑みがこぼれた。
「お待たせしました」
「待ってないよ。俺も来た所」
このやり取り、デートっぽいな。した事ないから知らないけど。
そんな事を思ってたら、タットさんが「デートっぽい」って呟いて、フフっと笑ってた。
やっぱりデートっぽかったのか。
「さて、これから俺的遅ればせながらのハタチのお祝いをしたいんだけど、今日は全面的に俺がエスコートしちゃってもいいかな?」
「誘ったの俺からですけど、お任せします」
約束した時から、誕生日を祝いたいと言ってくれていたので、今回は素直に甘えておく。タットさんは、ニコっと笑って「じゃぁこっちね」と、駅とは逆の方向に歩き始めた。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
飲酒、喫煙は法的に認められた年齢になるまではお控えくださいませ。
取得必須科目の都合上、木曜日はフルで授業を入れてるため、大学を出る時間がいつもより遅い。「遅くてもいいから」と言われてバイトに入る事もあるが、バイトを入れない事の方が多い。
いつも通りにタタンと教科書と筆記用具をまとめてカバンに入れる。
今日は、これからタットさんと会えると思うと足取りも少しばかり軽くなる。これから大学を出る旨を連絡しようとスマホのメッセージアプリを起動させようとしたら、後ろから誰かに抱きつかれた。
「ゆっゆん!今日バイト無いだろ?これから飲み会あるんだけど行こうぜ!」
抱きついてきたのは、高校から一緒の斎藤だった。
「やだ。ぼく用事ある。帰る」
抱きつかれた腕を振りほどくと、斎藤は信じられないモノを見るような目をしていた。
「裕也が俺を女子扱いしてる……」
恐らく、言葉遣いの事を言ってるのだと思うけどのだが、女子扱いしたつもりは無い。とっさに出た拒否が、いつもの使い慣れてるセリフだっただけだ。
「そっかー。用事があるならしゃーねーな。裕也いっつもバイトだからさー、たまには俺とも遊んでよな?」
斎藤は俺の肩をポンと叩いて、恐らくこれから飲みに行くのであろう友人達の方へ合流していった。「裕也誘ったけどフラレター!」と奴が言うと、友人達は「でしょうね!」とゲラゲラ笑ってた。まぁ、確かに最初誘われて以降全て断ってるもんな。正直、斎藤とは高校からの友達だし何かと気が合うのは知ってるが、斎藤を取り巻くあの輪に入りに行こうとは思えない。1度だけ斎藤に誘われて行った時、大抵誰とヤッたとかヤリたいとか、そんな下の話しか出てこなく、童貞の俺には非常に肩身の狭い時間でしか無かった。あと当時未成年だったはずなのに当たり前のように酒飲んでタバコ吸ってるのも信じられなかったので、それ以降は適当に理由を付けて断ってる。
再度、俺はメッセージアプリを開いてタットさんに連絡を入れた。
『今から大学を出ます。今どこにいますか?』
すぐに既読がついて返信が来た。
『遅くまで講義おつかれ!俺がそっちに行くから門を出た所で待ってて。大学って出口ひとつだよね?』
『うちは正門しかないので大丈夫です。待ってます』
直ぐにメッセージを返して正門に向かう。最後の講義は正門から少し離れた棟で行われていたので、気持ち小走りだ。行く先々で面識のない女子に話しかけられそうになるのをかわすのも慣れたものだ。最初、本当に何か用事があって話しかけられたのだと思って立ち止まったら、要領を得ない話が延々と続いたのを経験してから全て避けてる。俺の処世術。
無事に正門を出た所でキョロキョロすると、ストン……とした出で立ちでタットさんが待っててくれた。目が合えば、直ぐにニコっと笑ってくれる。……あぁ、いいなぁ、この空気。俺も自然と笑みがこぼれた。
「お待たせしました」
「待ってないよ。俺も来た所」
このやり取り、デートっぽいな。した事ないから知らないけど。
そんな事を思ってたら、タットさんが「デートっぽい」って呟いて、フフっと笑ってた。
やっぱりデートっぽかったのか。
「さて、これから俺的遅ればせながらのハタチのお祝いをしたいんだけど、今日は全面的に俺がエスコートしちゃってもいいかな?」
「誘ったの俺からですけど、お任せします」
約束した時から、誕生日を祝いたいと言ってくれていたので、今回は素直に甘えておく。タットさんは、ニコっと笑って「じゃぁこっちね」と、駅とは逆の方向に歩き始めた。
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飲酒、喫煙は法的に認められた年齢になるまではお控えくださいませ。
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