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35 冒険者は、包まれる。
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どう返したら良いか、分からず、でも抱き着いた体は離したくなく、結果、くっ付いたまま、視線だけをウロウロとさせていたら、「ぷふっ!」と、タットさんが吹き出した。
「なーんてね!半分冗談、半分本気。気を付けてね、可愛い可愛い、俺のオオカミさん」
「うぁ……はい……」
ニコっと笑うタットさんは、いつもの雰囲気に戻っていた。
「先にお風呂入っちゃって。着替えは俺の貸そうね。洗濯物も全部出すんだよ。夜のうちに洗っちゃえば、夏だし、朝には乾くだろうから。……って下着は……新しいのあったかな?途中で買えば良かったね」
いそいそとソファを降り、部屋をあちこち行き来しながら着替えを持ってきてくれている。
「あ、俺ノーパンでも気にしないです。タットさんが気になるなら、新品じゃなくても、貸してくれたら履きますよ?」
「……は?」
「……ん?」
「パンツ……だよ?流石にそれ……」
タットさんが、宇宙人か何かと遭遇したときの様な顔をしてる。宇宙人と遭遇した事ないから、あくまで想像の範疇だが。
「俺、良く間違えて兄ちゃんとか父さんのパンツ履いちゃうんですよ。この体型になってから、サイズが一緒になってしまって、どれも同じに見えるんですよ。洗濯されてれば、俺、気にならないんで」
デブだった頃は、明らかにサイズもウエストのビロビロ具合も違っていたので、間違える事は無かったのだが、今の体型になってから区別が付かなくなってしまった。
よって、俺は良くパンツを履き間違える。父さんや兄ちゃんは、きちんと自分のパンツを履いているんだが。
アレ、不思議で堪らない。
「ゆん君て……こう……おおらかだよね?」
「良く言われます」
タットさんは、タンスを漁って「比較的新しいのだから」と言ってパンツも貸してくれた。黒の無地のボクサータイプだった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「着替え、ありがとうございます。着心地良いです。ほんのりタットさんの匂いします」
お風呂から上がって、貸してもらった服に一式着替えると、いつもと違う匂いが自分からしてきた。
「それ柔軟剤だよ」
ソファでくつろいでいたタットさんがニコニコしながら答えた。
「それでもコレはタットさんの匂いです」
ボスっと隣に勢い良く座り、寄りかかろうとしたら「俺も風呂入っちゃうね」とタットさんが立ち上がったため、俺はそのままソファにコロンと転がった。
「はーい」
寝そべったまま、ヒラヒラと手を振って見送ると、タットさんが近付いてきて「その角度も可愛い」と言いながら、キスしてきた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
タットさんが風呂に入っている間、俺はCDフィットを起動させ、簡単なストレッチメニューをこなしていた。バイトの終盤、ユネさんに色々言われて、悩んで、タットさんと会って話をして……思えば結構な急展開だったかも知れない。
無意識に緊張していたのか、身体がかなり強ばっていて、ストレッチがいつもよりも気持ちがいい。
足を可能な限り開脚し、身体を横に倒してググッと痛気持ち良い所まで筋肉を伸ばして静止する。CDフィットからはカウントの音楽が流れる。歴代のCDゲームミュージックのアレンジだからついつい聴き入ってしまう。
「はぁぁぁ~~……」
息を吐いて、どこまで身体を倒せるか、チャレンジしてると、
「うわ柔らかっ!ゆん君めっちゃ身体柔らかいね?」
と、タットさんに驚かれた。
俺は身体を起こし、CDフィットのストレッチメニューを一時停止させてから振り向く。
タットさんはTシャツ、短パンで、かなりリラックスした出で立ちだった。
「あ、気にしないで続けて。俺、横で見てるから」
と、言われたので、ストレッチメニューを再開する。タットさんはソファに座って俺のストレッチを眺めてる。見られるのは慣れてないので、少し恥ずかしいのだが、ことある事に「凄い」「そこまで曲がるの?」「柔らかいねぇ」と驚いたり、誉めてくれるので、いつもより捗ってしまった。
ストレッチメニューも終わり、使役モンスターに経験値を付与する。一通りの操作を終え、アプリを閉じると、タットさんが床に座って柔軟をしていた。
「……くっ!!……んふっ!」
全然伸びてないし、足が曲がってる。足がとても良く曲がってる。びっくり過ぎて同じこと2回思った。
「タットさん、めっちゃ身体硬いですね?」
「いやコレが普通。成人男性の普通だよ。ゆん君が柔らかいの」
そう言いながら、タットさんが広げた両腕を俺の方に向けたので、座って腕の中におさまった。
「んふっ」
と笑う吐息が、俺の耳にかかる。
背中から、ゾワゾワとする何かがせり上がってきて、ブルっと思わず震えた。
「耳、弱い?」
そうタットさんに耳元で囁かれ
「ひあっ!?」
と、思わず叫んでしまった。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
ストック切れました……
不定期になりますが、これからもよろしくお願いします。
完結は、必ずさせます。
「なーんてね!半分冗談、半分本気。気を付けてね、可愛い可愛い、俺のオオカミさん」
「うぁ……はい……」
ニコっと笑うタットさんは、いつもの雰囲気に戻っていた。
「先にお風呂入っちゃって。着替えは俺の貸そうね。洗濯物も全部出すんだよ。夜のうちに洗っちゃえば、夏だし、朝には乾くだろうから。……って下着は……新しいのあったかな?途中で買えば良かったね」
いそいそとソファを降り、部屋をあちこち行き来しながら着替えを持ってきてくれている。
「あ、俺ノーパンでも気にしないです。タットさんが気になるなら、新品じゃなくても、貸してくれたら履きますよ?」
「……は?」
「……ん?」
「パンツ……だよ?流石にそれ……」
タットさんが、宇宙人か何かと遭遇したときの様な顔をしてる。宇宙人と遭遇した事ないから、あくまで想像の範疇だが。
「俺、良く間違えて兄ちゃんとか父さんのパンツ履いちゃうんですよ。この体型になってから、サイズが一緒になってしまって、どれも同じに見えるんですよ。洗濯されてれば、俺、気にならないんで」
デブだった頃は、明らかにサイズもウエストのビロビロ具合も違っていたので、間違える事は無かったのだが、今の体型になってから区別が付かなくなってしまった。
よって、俺は良くパンツを履き間違える。父さんや兄ちゃんは、きちんと自分のパンツを履いているんだが。
アレ、不思議で堪らない。
「ゆん君て……こう……おおらかだよね?」
「良く言われます」
タットさんは、タンスを漁って「比較的新しいのだから」と言ってパンツも貸してくれた。黒の無地のボクサータイプだった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「着替え、ありがとうございます。着心地良いです。ほんのりタットさんの匂いします」
お風呂から上がって、貸してもらった服に一式着替えると、いつもと違う匂いが自分からしてきた。
「それ柔軟剤だよ」
ソファでくつろいでいたタットさんがニコニコしながら答えた。
「それでもコレはタットさんの匂いです」
ボスっと隣に勢い良く座り、寄りかかろうとしたら「俺も風呂入っちゃうね」とタットさんが立ち上がったため、俺はそのままソファにコロンと転がった。
「はーい」
寝そべったまま、ヒラヒラと手を振って見送ると、タットさんが近付いてきて「その角度も可愛い」と言いながら、キスしてきた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
タットさんが風呂に入っている間、俺はCDフィットを起動させ、簡単なストレッチメニューをこなしていた。バイトの終盤、ユネさんに色々言われて、悩んで、タットさんと会って話をして……思えば結構な急展開だったかも知れない。
無意識に緊張していたのか、身体がかなり強ばっていて、ストレッチがいつもよりも気持ちがいい。
足を可能な限り開脚し、身体を横に倒してググッと痛気持ち良い所まで筋肉を伸ばして静止する。CDフィットからはカウントの音楽が流れる。歴代のCDゲームミュージックのアレンジだからついつい聴き入ってしまう。
「はぁぁぁ~~……」
息を吐いて、どこまで身体を倒せるか、チャレンジしてると、
「うわ柔らかっ!ゆん君めっちゃ身体柔らかいね?」
と、タットさんに驚かれた。
俺は身体を起こし、CDフィットのストレッチメニューを一時停止させてから振り向く。
タットさんはTシャツ、短パンで、かなりリラックスした出で立ちだった。
「あ、気にしないで続けて。俺、横で見てるから」
と、言われたので、ストレッチメニューを再開する。タットさんはソファに座って俺のストレッチを眺めてる。見られるのは慣れてないので、少し恥ずかしいのだが、ことある事に「凄い」「そこまで曲がるの?」「柔らかいねぇ」と驚いたり、誉めてくれるので、いつもより捗ってしまった。
ストレッチメニューも終わり、使役モンスターに経験値を付与する。一通りの操作を終え、アプリを閉じると、タットさんが床に座って柔軟をしていた。
「……くっ!!……んふっ!」
全然伸びてないし、足が曲がってる。足がとても良く曲がってる。びっくり過ぎて同じこと2回思った。
「タットさん、めっちゃ身体硬いですね?」
「いやコレが普通。成人男性の普通だよ。ゆん君が柔らかいの」
そう言いながら、タットさんが広げた両腕を俺の方に向けたので、座って腕の中におさまった。
「んふっ」
と笑う吐息が、俺の耳にかかる。
背中から、ゾワゾワとする何かがせり上がってきて、ブルっと思わず震えた。
「耳、弱い?」
そうタットさんに耳元で囁かれ
「ひあっ!?」
と、思わず叫んでしまった。
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ストック切れました……
不定期になりますが、これからもよろしくお願いします。
完結は、必ずさせます。
応援ありがとうございます!
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