食べたい2人の気散事

黒川

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36 食べたい2人は……?

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耳を押さえてタットさんを見ると、とても良い笑顔だった。

「タットさん、面白がってますよね?」

恨めしそうに睨むと、また唇にチュッとキスをされる。さっきから、俺は何回この人とキスをしてるのだろう?と、ぼんやりと考えてしまう。

「ごめん、嬉しくて……」

そう言われると、何も言えない。
俺がジッとしていると、タットさんは両手両足を使って抱き込む様に拘束をしてきた。
俺も、されるがまま、動かずにいる。

「あのさ、こう……かしこまったやり取り、なかったけど、ゆん君と俺って、恋人の関係で良いんだよね?」

スリスリと頬を擦り付けながら聞いてくる。確かに、俺は告白はしたが、いわゆる典型的な『お付き合いしてください』『はい』の、やり取りをしていない。

「俺はそのつもりです。タットさんは、どうなんですか?」

と、聞くと、とても嬉しそうな声で

「恋人!ゆん君と俺は恋人同士です!……改めて口にするとニヤニヤしちゃうね」

と、答えてくれた。
その声音と表情が可愛くて、俺も顔を寄せてタットさんの唇にキスをする。「んんっ!!」と、タットさんから声が漏れた。けど、その後に小声で「あ……もう……我慢しなくていいんだ……」と呟いていた。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

タットさんは、明日も普通に仕事だし、俺も開店からバイトに入っている。
そろそろ就寝しようと言う話になって、少し揉めた。

一緒にベッドで寝たい俺VSソファで寝ると言い張るタットさん

ファイ!
……そして、その結果、今に至る。

「狭いでしょ?ゆん君……」
「それがいいんです」

寝室は、ベッドの上。サイズはシングル。
どちらも、小柄では無いサイズの成人男性2人、ぴっとりと引っ付いている。
俺の勝利だった。
タットさんも、ベッドに潜ってしまえば、遠慮がちな言葉を発しつつも、俺の事をしっかりと抱き締めてくれている。この拘束感が嬉しくて、余計に身体を擦り付けてしまう。

「ゆん君て体温高いね……」

「代謝が良いので。嫌ですか?」

「んーん?知らなかった事が知れて、嬉しいなって思っただけ」

エアコン設定はだいぶ低め、くっついていなければ、肌寒い室温。お互いの熱を分けてちょうど良いくらい。

「俺も、今日でたくさんの事を知りました」

電気は既に消しており、暗がりの中の会話。引っ付いているので顔は見えない。

「そう?」

「ずっとタットさんに甘えていた、タットさんの気持ちをないがしろにしてた、自分の事しか考えてなかった、そのくせヤキモチやくし、タットさんがほかのひとを好きになったらって考えるとみぞおちがキュってなった、タットさんの事が好き、タットさんとキスすると……ドキドキする……」

「うん……俺の事ばかりだ……」

頭にキスをされてる感触がした。愛おしいのだと……言っているみたいに。

「でも、まだ知らない事もあります」

暗順応した目で、タットさんの唇を探す。そのまま、触れるだけのキス、直ぐに離して、

「お子さまじゃないキス、知りたいです」

ジッと暗がりの中の、タットさんの目を見つめた。
多分、タットさんも目は慣れてるはず。真っ直ぐに俺の目を見つめていた。表情は読めなかった。笑うでも無く、困ってるでも無く、ただ、俺を見つめてるだけ。

「お兄さんには……内緒にしないとね……」

そう呟くと、タットさんの唇が近付いてきた。

♡.*・゚┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈゚・*.♡

触れ合っている唇から、チュッチュと音が聞こえるくらい、吸われている。時折、ヌルっとした感触があるのは、タットさんに唇を舐められているから。

「嫌じゃない?」

と聞かれるが、嫌になる要素が分からない。もっと、と言葉にはせず、自分からも擦り付けて態度で示すと、「ふっ……」と笑われたような気がした。

「怖いって思ったり、もう止めたいって思ったら、我慢しないで言ってね。じゃないと俺、気づけないかも知れないから」

コクッと頷くと、頬を撫でられ、その手が耳に移動し、やわやわと耳たぶを優しく揉まれた。温かい手が気持ち良い。

「仰向けになって……」

お互い、向かい合ってチュッチュしていたのだが、仰向けに体位を変えると、タットさんが俺の上に乗り上げてきた。

「あ……」

本能的に身体が竦む。

「大好きだよ……だいすき……」

俺の反応に気付いたのか、タットさんはふんわりと優しく包むように抱きしめて、そう呟いた。
身体の力を抜いて、されるがままになっていると、唇を触られて、

「開けて……」

と、口を開かされた。パクッと食べられる様に口を塞がれ、中にヌルッとしたモノが入ってくる。

あ、これディープキスだ。と、気付いたのもつかの間。舌を擦り合わせる様に絡み取られた。そのままヂュッと吸われると、舌の根元がビリッと痺れた。
「んんっ……」
と、くぐもった声が漏れると、タットさんは直ぐに離れて「嫌だった?」と聞いてくれる。
俺が首を横に振ると、また嬉しそうに近付いてきてくれた。

「呼吸、鼻でしていいんだからね」

と、言いながら俺の口を塞ぎ、また舌が入ってくる。歯列をなぞられたり、上顎をくすぐられたり、気がつけば口の周りはベトベトになっていた。
気持ち良いか?と聞かれると、良く分からない。でも、暗闇の中でも分かるくらい、タットさんが、今までに見たことの無いくらいの幸せそうな顔をしてるのを見てると、俺も幸せな気分になった。「かわいい……かわいい……だいすき……」そう、キスの合間に呟かれては、口の中に入ってくるタットさんの舌。俺も、タットさんの舌に絡ませてみたり、タットさんの口の中に入れてみたりすると、さらに嬉しそうにしていた。

気持ちいいか分からないクセに、俺の身体の中心は、少しずつ反応し始めていた。
タットさんはどうなんだろう?と思って、手を中心に伸ばすと……俺以上にガッチガチになっていた。

チュポッと言う少し間抜けな音と同時にタットさんの焦る声。
「ゆん君っ!?」
ガシッと手を掴まれたが、
「俺も勃ちました」
と、申告すれば、「ふぅ~……」と息を長く吐く音が聞こえ、掴まれた手が、再びタットさんの中心にあてがわれた。

「触るの、平気?」

と聞かれたので、コクっと縦に頷いた。
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