地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

14-カナタキリ は、呑気

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「サガリ君、今日はありがとう」
「どういたしまして」

サガリ君にチケットを用意して貰った時の約束。
困ったり割り勘で出そうとするより、可愛くお礼言われた方が何倍も嬉しいんだって。
あ、ちなみにラキちゃんのライブとかイベントは別々だよ?そこはね、絶対駄目って言ってるし、サガリ君もゲラゲラ笑いながら「分かってるよ」って言ってくれたからね、そこは違うからね!

でも、デートの時はほとんどサガリ君のエスコートだ。
だから僕も可愛い……か、どうかは分からないけど、自分の出来る精一杯の嬉しいと楽しいとサガリ君大好きの気持ちを込めてお礼を言った。

「室町時代の水墨画がね、原品で見れたのが一番嬉しかった!」
「あー、展示期間が限られてるからな。イベントとか無ぇと中々お目にかかれねぇよな」

通訳士の試験勉強をしていた時に気付いたんだけど、どうやら僕は歴史が好きで、その中でも文化史、特に絵画から当時の歴史とか生活の様子とか、文化思想を見るのが好きって事が分かった。
だからサガリ君も良く美術館とか博物館に誘ってくれるんだ。
サガリ君は僕が何かに興味を持つと、その興味をさらに広げてくれて、色々なものに対しての好きを増やしてくれる。
好きがどんどん増えるたびに、サガリ君への気持ちもどんどん大きくなる。
人を好きになるって限界が無いんだなぁって、サガリ君を好きになって初めて知ったよ。

帰りの道のりで、博物館で見た古典絵画についてアレコレ話をしていれば、いつの間にかマンションに着いていた。

「サガリ君大変。僕ずっと喋っていたね」
「ラキ以外でこんなに饒舌になるの久々に見たな。口を挟む間も無かったわ」

サガリ君がニヤニヤと意地悪そうに笑ってた。

部屋に入ると、僕が持っていた紙袋を取り上げられた。実家から持ってきた卒業アルバムだ。
入っていたのは3冊。幼稚園のアルバム、小学校のアルバム、中学校のアルバム。

「高校は?」
「無いよ。購入制だったからね」

卒業アルバムなんて別に見返さないし、どうしても欲しいものじゃなかったしね。
だからこそ、今回の卒業アルバムだって実家で捨ててもらっても構わなかったのに。
僕の中では特に大切でもなんでもないアルバムだけど、僕の応えを聞いたサガリ君は、ちょっと苦しそうな顔をしていた。

「これからさ、俺とたくさん写真撮ろうな?」

サガリ君は卒業アルバムが入った紙袋を無造作に床に置いて、僕をギューと強く抱き締めてくれた。
サガリ君の身体が温かい。
人って温かいんだなぁって事も、サガリ君が教えてくれたことだ。
僕も喜んでサガリ君に抱きついた。
スキンシップって気持ち良いよね。
大好き。
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