地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました?

黒川

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第二章:本編

35-マチナカサガリ は、はなす

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弟、妹、母親、と来たら次は父親か?
と身構えていたのだが、今のところ父親からの接触は無い。
聞けばキリの父親は、母親弟妹に比べるとあまり関わって来ないとの事だった。
無関心か。
それもそれでクソだがな。

キリは母親にかなり最低な言葉をぶつけられていたが、弟妹の時よりダメージは少なく、どちらかと言うと表情は明るかった。

「もともと連絡取ってなかったからね。元の生活に戻った感じかなぁ?」

と、ケロっとしている。
変に落ち込まれるより良い。
妹とやり合った時の落ち込みは胸が少し痛んだ。

俺も俺で、向こうがそんな態度を取るのならと少々気持ち的に喧嘩腰になり、キリに分籍の手続き勧めた。

「支援措置にはならないけど、これで正当な理由無くお前の家族が容易に戸籍謄本を取得する事は出来なくなる。まぁ、あの家族がそこまでやる知恵があるかって言うと無さそうだがな」

簡単にメリットデメリットを説明すると、キリも分かっているのか否か、若干怪しい所もあったが素直に俺の提案を受け入れてくれた。

キリの仕事休みの日、2人で役所に行って手続きを済ます。

「分籍しとけば、俺とキリが結婚しても親の戸籍には載らないんだよ。まぁ……結婚は法の関係もあるけどさ、現実的な話、養子縁組だって可能性はゼロじゃないだろ?それをキリの親に容易に見られるのも癪だからな」

アイツ等には絶対知らせてやらねぇ。
ザマーミロだ。

「そうなんだ?」

もう分籍は終わっていると言うのに、キリは相変わらず良く分かってない表情で相槌を打ってくる。

「まぁ、キリは難しい事は考えなくていいよ。ずっと俺の側に居てくれれば十分だ」

「うん。ずっと一緒に居ようね」

この言葉には、しっかりと意思表示をしてくれる。
キリは俺の手を強く握って、自分の胸に抱え込んだ。
そして、何か祈っているような、そんな仕草で、ゆっくりと、俺の手の甲にキスを落としてきた。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


キリが分籍の手続きをした事は、簡単に両親と弟にも伝えた。
親は、詳しく聞いてこなかったがタケルが少々気にしていた。
タケルは俺のマンションに遊びに来ると、キリと2人きりで過ごす時間もある。
もしかしたら、キリの家族仲の事を何か聞いているのかも知れない。

「あまり関係が良くないんだよ、キリの家族って」

「滅多に帰らないってキリ君も言ってたもんね。うちじゃ考えられないよ」

キリとは真逆の家族だからな。
それを当たり前として過ごしてるタケルには、目の当たりにしてみないと想像は難しいかも知れない。

「家族仲を改善させる、って事は出来ないの?」

自分の家族の仲が良いせいか、タケルはそんな事を言い始めた。

「あぁー……キリがそれを心から望むなら、手伝ってもいいが……キリ自身は特にそう言う事は望んでないな」

「ホントに?」

信じられないと言わんばかりに、俺を見てくる。

「少なくとも、俺はそう見えた。信じられないなら今度お前が直に聞いてみればいい」

答えは変わらない筈だ。

「うーん……兄さんがそこまで言うなら、キリ君が嘘を吐いてたり痩せ我慢してるワケでは無さそうだね。キリ君、誤魔化すの下手くそだし」

弟も、なかなか酷い扱いをしている。
けどタケルの言うことは最もだ。

「まぁ、世の中には色々な家族が居るって事だよ」

「そうだよね。俺、ここの家の子どもでホント良かったよ。うちは凄く仲良いじゃん?父さん母さんの子どもで良かったって思ってるし、兄さんの弟で良かったって思ってる。きっとこれからもずっとそう思ってるよ」

その言葉に、俺も無言で頷いた。

キリみたいな家族もあれば、俺らみたいな家族もある。
それはあって当然で、家族仲なんて十人十色だ。
それを、ただ家族だからと言って繋がり続けなくてはならないなんて事は、無い。
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