地下アイドルを推してたワープアコミュ障陰キャな僕だけど気付いたら執着系ハイスペイケメンに僕が推されて(性的にも)磨かれました？

第二章：本編

36-マチナカサガリ は、見守る

しばらく平穏な日々を送っていたら……てか、マジでキリのクソ家族から連絡一切来なくなったわ。
どうでもいいことだがな。
それよりキリの仕事だ。

いよいよデイブの会社と清掃会社の完全ダブルワークが始まった。当初の予定通り、清掃会社の方は本社に異動。役職としての名は無いが、異動後の給与明細を確認したら査定ランクが上がっていた。

現場最終日は、かなりパート社員に惜しまれて終わった旨を本人から聞いた。

「みんな泣いちゃってね、特にキムラさんはワンワン泣いててね、僕もちょっと泣いちゃった……」

現場はそれなりに上手くコミュニケーションが取れていたのだろう。惜しまれての異動にキリは寂しそうで、それでいて嬉しそうに報告をしてきた。

清掃会社での仕事は研修と教育。
デイブの方は引き続き観光通訳、簡単な事務周りも追加され、なんなら営業の同行もしてるのだそうな。
何でもありだな。

デイブの方で色々と経験させて貰っている影響もあってか、キリは自ら英語力の強化をし始めた。
スコアで評価されるビジネスへのアピールに強い検定にチャレンジをし、最近の試験では、最初に掲げた目標以上のスコアを叩き出してた。
数字でハッキリと自分の能力が提示され、キリはさらに自信を持ったし、さらなる高みを目指すのだと勉学にも励んでいる。
そしてそのキリの語学力は、清掃会社でも評価された。
キリが勤めている会社は、同じ業種の中ではトップ企業だ。海外事業も展開しているから、語学系の資格を取得すると報奨金が出るのだと。
大手企業なら、そう言う制度も当たり前か。
俺としては、報奨も良いがキリの基本給を上げて欲しいところでもあるがな。

それでも、目に見える評価を貰えるのは嬉しいのだろう。キリは今まで以上に清掃会社に愛着を持つようになった。
愛社精神が芽生えたか。
他に行く所が無い、転職したって今以上に良い企業に入れる筈がない、だからここに居るしか無いのだ、と。俺が転職を促す度にそんな事を言っていたキリが、だ。

「僕の会社って凄い！」

と、目を輝かせて自社を褒めてる。
最近はダブルワークの事もあり、色々と会社の制度を自分でも調べているみたいだ。
清掃会社は、最近パートナーシップを結んだ同性カップルへの保障制度が設けられたと教えてくれた。
申請すれば男女の夫婦と同じ制度を受けられるのだと。
同性カップルは法的に婚姻関係を結んだカップルより、社会的に関係が弱い。
それを企業が保障するのは粋な制度だ。
……と、言うよりそもそも法でどうにかして欲しいところではある。

あー、早くキリと結婚したい。