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2章:学園生活
親バカは親譲り
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服を着替えてママと来たのはなんだかすごそうなお屋敷。
いかにも貴族が住んでますみたいな雰囲気が漂っている。
「ママ…ここに…いくの…?」
「そうよーママはここに住んでたの」
「えっ!?」
まさか、ママが貴族様だったとは…。
この世界での位としては王様が1番上に立ち、王族、貴族、平民という順番だ。
位によって扱いの差がどの程度あるのかは国によるが、私達の住んでいる王都『マスティマ』は王様が平民至上主義で、貴族と平民の間にほとんど差がないらしい。
「だから、今日はママが帰ってきたよーっていうご挨拶とリンちゃんの紹介をママのお母様にしようと思って」
「き、聞いてない…」
そんなこと急に言われても心の準備が…。
「おじゃましまーす」
えぇー!?軽っ!?
ママは門を勝手に開けて中へ入っていく。
ママ…そんなだから寮長さんに怒られるんだよ…?
「そこのあなた達!勝手におや…しきに…ってリーネお嬢様!?え?えぇ!?いつ王都にお戻りに!?」
門から屋敷に向かって歩いていく途中でメイドさんに見つかったが、怒られそうになったところでママのことがわかったらしく、急に慌てはじめた。
「久しぶりねナターニャ。お父様とお母様はいらっしゃるかしら?」
「リリー様は自室で本を読んでおられるかと。旦那様はまたどこか旅に出ておられます…」
「相変わらずね、お父様は」
ため息混じりにママは呆れていた。
ママの後ろに隠れていた私はナターニャと呼ばれたメイドさんと目があった。
「あの…そちらのお子様は…」
「あぁ、紹介してなかったわね。私の娘よ。さ、リンちゃんご挨拶」
そう言ってママは後ろにいた私をナターニャさんの前まで押しやる。
「リ、リン・セルフィアです…」
恥ずかしさのあまり私は下を向いてしまった…。
変じゃなかったかな…?
「ご丁寧にありがとうございます。このお屋敷でメイドをさせて頂いてます。ナターニャ・クロイツと申します。よろしくお願いしますね、リンお嬢様」
ナターニャさんはしゃがみ、ニコッと笑って挨拶をした。
しかし、私は急に『お嬢様』と呼ばれてやっぱり恥ずかしくなりママの後ろへ逃げていった。
「ごめんなさい、人見知りの激しい子で」
「あらあら、いったい誰に似たのでしょうか。ふふふ」
「ナターニャ。誰かお客様でもいらっしゃったのかしら?」
ママとナターニャさんが笑いあっていると、2階のテラスから女性の声が聞こえた。
「おかーさまーただいま帰りましたー」
ママ…いや、もう何を言ってもどうしようないのだろう…ママの性格は。
「そ、その声はリーネ!?あなたなの!?」
「はーい!リーネですー!」
その後ベランダから声が聞こえなくなり、その代わりに玄関まで走ってくる足音が聞こえてきた。
そして勢いよく扉が開くと30代ほどの女性が息を切らして現れた。
「リーネ!」
「お母様!お久しぶりです!」
ママを呼びながら抱きつく人は、おそらくおばあちゃんと思われる人だろう。
すごく綺麗で…ママと少し年の離れた姉妹と言われても気がつかないくらいだ。
「まったく、急にいなくなったと思ったら急に帰ってきて!どれだけ心配したと思ってるのよ」
「あ、あはは…すみません、お母様。ちょっといろいろ忙しくて」
「まぁ、元気そうだからよかったわ。それで、相変わらずあの男はあちこち飛び回ってるのかしら?」
「も、もぅ…いい加減レオンさんのこと認めてよ…」
「あの男は私から大切な天使を奪っていったのよ?次に会ったら風魔法でもお見舞いしてやろうかしら…」
そんな物騒な…。
そしておばあちゃんはチラッと私の方を見た。
「リーネ、まさかその子…」
「はい、私の娘です。リンちゃんご挨拶」
「リン・セルフィア…です…」
「まぁまぁ!こんな可愛い孫が私にできてるなんて!もっと早く帰ってきたらよかったのに!」
そう言っておばあちゃんは私に近づき、しゃがんで目線をあわせてくれた。
「こんにちは、リンちゃん。あなたの祖母になるリリー・エア・ディアナよ。目元や髪がリーネそっくりね。おばあちゃんって呼んでくれるかしら?」
そう言っておばあちゃんは私の頭をそっと撫でてくれた。
優しい人…。おばあちゃんの手はすごく暖かくて、ついつい口元が緩んでしまった。
「おばあちゃん…」
私がそう言うとおばあちゃんはしばらく固まった。
「な…な…なんて可愛いの!!」
そして勢いよく私を抱きしめるおばあちゃん。
「私の娘から生まれたんですから可愛いのは当たり前だけど、この子はリーネの小さい頃とは違う可愛さがあるわ!」
「おばあちゃん…苦し…」
「あぁ、ごめんなさい。そうだわ。今からお茶をしましょう!ナターニャ、すぐに準備してちょうだい」
「かしこまりました」
「リンちゃんのこと、いろいろ教えてちょうだいね」
そう言って私はおばあちゃんと手を繋いで屋敷の中に入っていった。
いかにも貴族が住んでますみたいな雰囲気が漂っている。
「ママ…ここに…いくの…?」
「そうよーママはここに住んでたの」
「えっ!?」
まさか、ママが貴族様だったとは…。
この世界での位としては王様が1番上に立ち、王族、貴族、平民という順番だ。
位によって扱いの差がどの程度あるのかは国によるが、私達の住んでいる王都『マスティマ』は王様が平民至上主義で、貴族と平民の間にほとんど差がないらしい。
「だから、今日はママが帰ってきたよーっていうご挨拶とリンちゃんの紹介をママのお母様にしようと思って」
「き、聞いてない…」
そんなこと急に言われても心の準備が…。
「おじゃましまーす」
えぇー!?軽っ!?
ママは門を勝手に開けて中へ入っていく。
ママ…そんなだから寮長さんに怒られるんだよ…?
「そこのあなた達!勝手におや…しきに…ってリーネお嬢様!?え?えぇ!?いつ王都にお戻りに!?」
門から屋敷に向かって歩いていく途中でメイドさんに見つかったが、怒られそうになったところでママのことがわかったらしく、急に慌てはじめた。
「久しぶりねナターニャ。お父様とお母様はいらっしゃるかしら?」
「リリー様は自室で本を読んでおられるかと。旦那様はまたどこか旅に出ておられます…」
「相変わらずね、お父様は」
ため息混じりにママは呆れていた。
ママの後ろに隠れていた私はナターニャと呼ばれたメイドさんと目があった。
「あの…そちらのお子様は…」
「あぁ、紹介してなかったわね。私の娘よ。さ、リンちゃんご挨拶」
そう言ってママは後ろにいた私をナターニャさんの前まで押しやる。
「リ、リン・セルフィアです…」
恥ずかしさのあまり私は下を向いてしまった…。
変じゃなかったかな…?
「ご丁寧にありがとうございます。このお屋敷でメイドをさせて頂いてます。ナターニャ・クロイツと申します。よろしくお願いしますね、リンお嬢様」
ナターニャさんはしゃがみ、ニコッと笑って挨拶をした。
しかし、私は急に『お嬢様』と呼ばれてやっぱり恥ずかしくなりママの後ろへ逃げていった。
「ごめんなさい、人見知りの激しい子で」
「あらあら、いったい誰に似たのでしょうか。ふふふ」
「ナターニャ。誰かお客様でもいらっしゃったのかしら?」
ママとナターニャさんが笑いあっていると、2階のテラスから女性の声が聞こえた。
「おかーさまーただいま帰りましたー」
ママ…いや、もう何を言ってもどうしようないのだろう…ママの性格は。
「そ、その声はリーネ!?あなたなの!?」
「はーい!リーネですー!」
その後ベランダから声が聞こえなくなり、その代わりに玄関まで走ってくる足音が聞こえてきた。
そして勢いよく扉が開くと30代ほどの女性が息を切らして現れた。
「リーネ!」
「お母様!お久しぶりです!」
ママを呼びながら抱きつく人は、おそらくおばあちゃんと思われる人だろう。
すごく綺麗で…ママと少し年の離れた姉妹と言われても気がつかないくらいだ。
「まったく、急にいなくなったと思ったら急に帰ってきて!どれだけ心配したと思ってるのよ」
「あ、あはは…すみません、お母様。ちょっといろいろ忙しくて」
「まぁ、元気そうだからよかったわ。それで、相変わらずあの男はあちこち飛び回ってるのかしら?」
「も、もぅ…いい加減レオンさんのこと認めてよ…」
「あの男は私から大切な天使を奪っていったのよ?次に会ったら風魔法でもお見舞いしてやろうかしら…」
そんな物騒な…。
そしておばあちゃんはチラッと私の方を見た。
「リーネ、まさかその子…」
「はい、私の娘です。リンちゃんご挨拶」
「リン・セルフィア…です…」
「まぁまぁ!こんな可愛い孫が私にできてるなんて!もっと早く帰ってきたらよかったのに!」
そう言っておばあちゃんは私に近づき、しゃがんで目線をあわせてくれた。
「こんにちは、リンちゃん。あなたの祖母になるリリー・エア・ディアナよ。目元や髪がリーネそっくりね。おばあちゃんって呼んでくれるかしら?」
そう言っておばあちゃんは私の頭をそっと撫でてくれた。
優しい人…。おばあちゃんの手はすごく暖かくて、ついつい口元が緩んでしまった。
「おばあちゃん…」
私がそう言うとおばあちゃんはしばらく固まった。
「な…な…なんて可愛いの!!」
そして勢いよく私を抱きしめるおばあちゃん。
「私の娘から生まれたんですから可愛いのは当たり前だけど、この子はリーネの小さい頃とは違う可愛さがあるわ!」
「おばあちゃん…苦し…」
「あぁ、ごめんなさい。そうだわ。今からお茶をしましょう!ナターニャ、すぐに準備してちょうだい」
「かしこまりました」
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そう言って私はおばあちゃんと手を繋いで屋敷の中に入っていった。
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