魔法の数字

初昔 茶ノ介

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2章:学園生活

その後のこと

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あの轟音がする前、試験官を終えた私はランガイ先生を探していた。
それは、今回のことを摘発し、場合によっては捕縛するためだ。
この学園のルールとして、教師の不正、及び犯罪行為を発見、発覚した場合はその教師に対しての捕縛目的攻撃魔法の使用は許可されている。
つまり、何か悪いことしたら教師全体から攻撃されるということです。

しかし、先生は見つからなかった。
そして、その轟音の後、私は避難場所へ向かう。
ハナちゃん達を見つけ、すぐに何があったのかを聞いた。

「みんな!いる!?なにがあったの!?」

「先生!リンが、クレアも…闘技場で!」

ハナちゃんは私にしがみつき、焦っているのか断片的なことしか言えていない。

「ハナちゃん、落ち着いてください。リンちゃんとクレアちゃんがいませんが、どこにいるんですか?」

「闘技場です!キメラが急に壁を壊して入ってきて…それでリンの空間魔法でここに全員で行こうとしたけど、敵の注意を引いてたクレアがリンの近くに戻ってこれなくて…」

「まさか、リンちゃんとクレアちゃんだけで闘技場のキメラと戦ってるんですか!?」

「はい!だから…私…」

私は泣きそうになるハナちゃんをなだめるように頭を撫でた。

「大丈夫ですよ…あの二人ならきっと大丈夫です。皆さん、私を案内してください」

私は風魔法で船を作り、ハナちゃん達を乗せ闘技場へ。
言葉では大丈夫といいつつも私はやはり心配のほうが大きかった。
そして、その心配は的中した。

私達がついた時に壁際でリンちゃんは倒れ、クレアちゃんがふらふら立っている状態だった。
私が助けに入ろうとした瞬間、クレアちゃんの体が光出した。
そして、目の前に書かれた式は『12+12=24』。

「クレアの友達を…もう傷つけさせない!」

クレアちゃんがそう叫ぶと、組み分け試験の時のレインちゃんの氷の剣が空から落ちてきた。

それを見て全員でレインちゃんを見るが、レインちゃん自身も驚いていたため、恐らくクレアちゃんがやったのだろう。

剣に感づいたのかキメラはすかさず後ろに下がって避ける。

「逃がさないにゃ!」

クレアちゃんが地面に刺さった氷の剣の柄まで一気に登り、それを引き抜くとキメラに振り下ろす。
恐らく、強化魔法を使っているのでしょう。しかも見たところ部分的にのみ強化しているようで、ハナちゃんの魔法そっくりです。
しかし、キメラは振り下ろされる剣に火を吹き、剣が水になってダメージが入らない。

「だったら…これにゃ!」

クレアちゃんが地面に着地するまでに、キメラが黒い半球に包まれた。
クロくんの黒衣と黒点だ。
そして、黒衣の周りには大量のゴーレムが現れ、中に走っていく。
ルナちゃんのゴーレムパーティまで発動して。

「これでおしまいにゃ!」

最後に出たのは黒衣のすぐ上にリンちゃんのブラックホールがあらわれた。
ブラックホールと一緒に黒衣が消えると、中から出てきたのはゴーレムに押さえられたキメラの4つ足と動かない尾の蛇だけだった。

そして、クレアちゃんは倒れるリンちゃんの元へ歩いていき、何か魔法をかけているようだった。

私達もすぐに二人の元に向かう。

「リン!クレア!」

「あぁ…みんな戻ってきちゃったのかにゃ?危ない状態だったらどうするにゃ」

「それはあんたもでしょ!それよりリンは…」

「大丈夫にゃ…今治療が終わったにゃ…でも、応急処置だけだから目が覚めたら全身痛いかもしれにゃいにゃ…」

私はそれを聞くと少し安心したが、クレアちゃんがパタッと倒れた。

「クレアちゃん!?」

「にゃはは…大丈夫にゃ…クレアもちょっと攻撃されただけにゃ…それよりも…みんなに言いたいことがあるから…ちょっと聞いてもらっていいかにゃ…?」

「そんなことよりも治療を!」

「ダメにゃ…こうなってる間は…魔法が全部効かなくなるから…いいから聞いてほしいにゃ…」

クレアちゃんは治療しようとするリリスちゃんを制し、仰向けになる。
そして、私達はクレアちゃんから話されることを、ただ静かに待っていた。
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