悪役令嬢のフレンチ・キス~早くあなたを食べたいです~

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エピローグは妄想から

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「ジュリア……私は君のことを愛しているよ!」

「まあっ、クラーギン様!」

まあ、それ以上でもなくそれ以下でもない妄想なのですけれども……。


私の名前はジュリアと言います。小さな国の領主であるお父様と、当時としては珍しく、農民出身であるお母様に育てられてもう18年になります。

そう、今日は私の誕生日なのです!やったやった……!

失礼いたしました。見ての通り、私は貴族階級の中では下の方なので、ミンコフスキー高等学院(私の通う貴族の学園)の学友に祝ってもらう、などということはありません。どうしてって?それ、聞きたいですか?

いいでしょう。一日、一週間、いや、一か月間、私は皆さんに令嬢たちの暗闇について語りますよ。覚悟はいいですか?

そんなのは興味ない?ああっ、そうですか。

とにかく、私の誕生日、誰にも祝ってもらえなくて寂しいんですよ。そうですね、せめてクラーギン様がお祝いにいらして下さったらなあっ……。

クラーギン様というのは、我が帝国の第一王子という、とてつもなく偉いお方なのです。成績優秀、運動神経抜群、品行方正……と、何も欠点などないはずですが、一つだけ。

そうですね……お顔立ちははっきり言ってよくないのです。

あっ、でもですね。クラーギン様は本当にお優しい方なんですよ?

クラーギン様に一度、間違って挨拶をしてしまったことがありましてね、きちんとお返事を頂けたのです!普通、上流の貴族は下流の貴族に対し、言葉を発しませんから。ですからね、クラーギン様は本当に優しいお方なんですよ。

私が思わず恋してしまうほどに、お優しい方なんです。
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