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新たな日常編
02_異変①
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赤く二つ出来物ができているが、何かに噛まれたようなあとに見える。寝ているときに、虫にでも刺されたのかもしれない。以前にもここまでではなかったが、ダニに噛まれて、腫れ上がり、しばらく消えなかったことがあった。
見なかったことにしよう......。
黒ずんだ右腕にそっとめくり上げていた上着を戻し覆い隠す。
僕は、リビングに行くと、台所には母親が料理を作っていて、父親は、ソファーで新聞を読んでいた。いつもの朝の風景だ。
「おはよう、朝ごはん待っててね。もう少しでできるから」
起きてきた僕を見て、母親がまな板の上で包丁を使って野菜を切りながら言った。
「おはよう、うん、そんなに急がなくてもいいよ」
僕は、母親にそう言うと、テーブルの椅子に座り、テレビのリモコンボタンをぽちっと押した。テレビをつけると、朝のニュース番組が流れた。ニュースの内容はというと、芸能人の誰かが浮気をして離婚したとか、街中に猿が出没したとか、平和なニュースだった。
なんとなく、ニュースを見ていると、ソファーに座って新聞を読んでいた父親に話しかけられた。
「昨日は、遅かったじゃないか。遅くまで何してたんだ?」
「えっと......友達と遊んでたんだ。遊んでたら、つい時間が経つのを忘れてしまってたんだよ」
昨日、アルバートとタイムベルに行き、半獣たちと出会ったなんて正直に言っても、話がややこしなりそうだ。言ったところで、何を話しているんだと頭を混乱させてしまうだろうし、作り話だと思われて信じてもらえないだろう。
父親は、新聞を読みながら、僕に言った。
「そうか。遊ぶのはいいが、あまり遅くまで、遊ぶんじゃないぞ。新聞に載っていたが、変死体がこの辺で見つかったようだからな ......」
「えっ......」
物騒な話だ。最近、各地で変死体が見つかるなんてニュースがやってたけれど、この辺では初めてだった。
「変死体だって、一体、どんな死体だったの?」
「新聞によると、その死体は、獣の毛に覆われていて、まるで獣の姿をしていたそうだ。腕の辺りには、何かに噛まれたあとがついていたらしい」
獣の姿の人の死体ーー。それって、もしかして、半獣のことではないだろうか。だとしたら、昨日タイムベルの地下で出会った半獣たちと何か関係あるのかもしれない。
途端に、アルバートの顔が浮かんだ。昨日の一件がある。アルバートと変死体について語り合いたいが、気まずい。
父親と変死体の話をしていると、テレビのニュースでも、変死体について取り上げた話題をちょうど報道し始めた。
報道によると、家から徒歩10分くらいにある河川敷の草むらのなかに、変死体が見つかったとのことだ。さすがに、変死体には、何ヵ所も食いちぎられたあとがあり、地面に血液をたらしながら、内臓も外に飛び出ていたそうだ。
さすがにグロテスクな変死体をテレビでは見せられないので、ぼかしがかかっていた。何に襲われたのかは定かではないけれど、何だかの肉食動物に襲われたのではないかと仮説を立てられていた。
今日は、朝起きた時から、やはり調子がよくなかった。いつもだったら、美味しい母親の料理がとても不味く感じたからだ。テーブルに運ばれてきた朝食を口にした途端、身体が拒絶して、猛烈な吐き気がした。味もほとんど感じることができなかった。こんな事は今までで初めてだった。
せっかく、母親が作ってくれたし、テーブルに置かれたからには、なんとか食べきりたいが、体がどうしても受け付けてくれない。さらに、突如、思わず両手で腹を押さえ込むほどの腹痛が襲う。その様子を見て、母親が心配そうに言った。
「どうしたの?大丈夫?」
「ちょっと、体の調子が悪いみたい。トイレ行ってくるよ」
僕は、死物狂いで、トイレに駆け込むと、我慢できなくなって、思わず、朝の食事を全て吐き出してしまった。
どうしたんだろう。やはり、体調がおかしい。僕の身体に何が起こっているんだ......。
吐き出した後は、嘘みたいに、全身を巡る気持ち悪さがなくなっていた。まるで、僕の体が、食べ物自体を、拒絶しているかのような感覚だった。
見なかったことにしよう......。
黒ずんだ右腕にそっとめくり上げていた上着を戻し覆い隠す。
僕は、リビングに行くと、台所には母親が料理を作っていて、父親は、ソファーで新聞を読んでいた。いつもの朝の風景だ。
「おはよう、朝ごはん待っててね。もう少しでできるから」
起きてきた僕を見て、母親がまな板の上で包丁を使って野菜を切りながら言った。
「おはよう、うん、そんなに急がなくてもいいよ」
僕は、母親にそう言うと、テーブルの椅子に座り、テレビのリモコンボタンをぽちっと押した。テレビをつけると、朝のニュース番組が流れた。ニュースの内容はというと、芸能人の誰かが浮気をして離婚したとか、街中に猿が出没したとか、平和なニュースだった。
なんとなく、ニュースを見ていると、ソファーに座って新聞を読んでいた父親に話しかけられた。
「昨日は、遅かったじゃないか。遅くまで何してたんだ?」
「えっと......友達と遊んでたんだ。遊んでたら、つい時間が経つのを忘れてしまってたんだよ」
昨日、アルバートとタイムベルに行き、半獣たちと出会ったなんて正直に言っても、話がややこしなりそうだ。言ったところで、何を話しているんだと頭を混乱させてしまうだろうし、作り話だと思われて信じてもらえないだろう。
父親は、新聞を読みながら、僕に言った。
「そうか。遊ぶのはいいが、あまり遅くまで、遊ぶんじゃないぞ。新聞に載っていたが、変死体がこの辺で見つかったようだからな ......」
「えっ......」
物騒な話だ。最近、各地で変死体が見つかるなんてニュースがやってたけれど、この辺では初めてだった。
「変死体だって、一体、どんな死体だったの?」
「新聞によると、その死体は、獣の毛に覆われていて、まるで獣の姿をしていたそうだ。腕の辺りには、何かに噛まれたあとがついていたらしい」
獣の姿の人の死体ーー。それって、もしかして、半獣のことではないだろうか。だとしたら、昨日タイムベルの地下で出会った半獣たちと何か関係あるのかもしれない。
途端に、アルバートの顔が浮かんだ。昨日の一件がある。アルバートと変死体について語り合いたいが、気まずい。
父親と変死体の話をしていると、テレビのニュースでも、変死体について取り上げた話題をちょうど報道し始めた。
報道によると、家から徒歩10分くらいにある河川敷の草むらのなかに、変死体が見つかったとのことだ。さすがに、変死体には、何ヵ所も食いちぎられたあとがあり、地面に血液をたらしながら、内臓も外に飛び出ていたそうだ。
さすがにグロテスクな変死体をテレビでは見せられないので、ぼかしがかかっていた。何に襲われたのかは定かではないけれど、何だかの肉食動物に襲われたのではないかと仮説を立てられていた。
今日は、朝起きた時から、やはり調子がよくなかった。いつもだったら、美味しい母親の料理がとても不味く感じたからだ。テーブルに運ばれてきた朝食を口にした途端、身体が拒絶して、猛烈な吐き気がした。味もほとんど感じることができなかった。こんな事は今までで初めてだった。
せっかく、母親が作ってくれたし、テーブルに置かれたからには、なんとか食べきりたいが、体がどうしても受け付けてくれない。さらに、突如、思わず両手で腹を押さえ込むほどの腹痛が襲う。その様子を見て、母親が心配そうに言った。
「どうしたの?大丈夫?」
「ちょっと、体の調子が悪いみたい。トイレ行ってくるよ」
僕は、死物狂いで、トイレに駆け込むと、我慢できなくなって、思わず、朝の食事を全て吐き出してしまった。
どうしたんだろう。やはり、体調がおかしい。僕の身体に何が起こっているんだ......。
吐き出した後は、嘘みたいに、全身を巡る気持ち悪さがなくなっていた。まるで、僕の体が、食べ物自体を、拒絶しているかのような感覚だった。
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