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泥沼でも頂けるものは頂きます
しおりを挟む「血がっ!? 僕の陶磁器よりも美しいと言われたこの肌がああっ!!」
「浮気を正当化するような発言をなされるからです。ああ、今回は婦女子を馬鹿にされるからですわ。言葉は暴力とその心に刻みこみあそばせ、殿下」
「お前なあ、フェイ!? こんなことをしてただで済むと思うのか!??」
「いいえ全く、髪の毛先ほどにも思っていません。この場で殿下と自害しようかと、そう思っております」
「……自害、だと?」
そしてさあっと血の気が引いていくラスティンの顔面はあっという間に真っ青に。
瞳の綺麗な青いサファイアのような色と良くお似合いでした。
「そう、自害でございます」
「何故、そんな誰も救われないことを思いついた!?」
「だって……殿下は代わる代わる女をとっかえひっかえし、私には何も愛をささやいてくださらない。おまけに今回は浮気現場すら見つけてしまいしたし」
「だから――その剣で僕を殺すと言うのか!? 正気か、お前は……狂っている……」
「女に狂う殿下よりはまともですわ。そこいらの発情期の駄犬であるまいし、もう少し慎みを持たれませ」
「それを――っ、持とうとしたらこんな……」
そう言い、己の首元にそっと置かれた剣を指差す殿下。
まだ更生できる余地があると思っているあたり、まだまだ甘い人生しか知らないようです。
我が婚約者様は……。
「まあ、極論ですけど。殿下が浮気なされようとどれだけ他に女を作られようとそんなことは私には関係ありません。殿下は王族なのですから。正妃が誰で、側妃が誰で、妾が誰か。その区別をきちんとしていただければ文句はないのです」
「待っまて、する! するからっ!!」
「でも信じれないんですよね。不満? まあ、ありますけど、そこは我慢しましょう。約束通り、このフェイを第一王子妃にして頂けるなら」
「それは――それだけは嫌だ。絶対に嫌だ! 側室ならば考える! だが、俺は貧乏くさいお前が嫌いだ」
「そう思うなら、このフェイに贅沢をさせ、一流の令嬢に磨き上げればよろしいではないですか?」
そう提案すると殿下はくわっと目を見開いてこう言うのです。
実に沈痛な面持ちで。
「無理だ……。お前みたいな貧乏が服を着て歩いているような女など、磨いてもどうにもならない」
「はあ、そうですか。で、この私がそこまで言われて黙っているとでも?」
「だから、その剣を引こうとするな!? どこの世界に夫になるべき婚約者の喉元に刃を突き付けて要求を通そうとする貴族令嬢が……」
「ここにいますね、ね? 殿下?」
しかし、彼は認めたくなさそうに首を縦には振らないのでした。
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