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第一章
裏切り
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「殿下。同情の余地すら感じなくなりましたわ……」
「お互いにそうなったようだな。ああ、ダイアナには手を出すなよ。これは俺が選んだことだ。こいつには罪はない、それくらいはわかるよな?」
「分かりたくないわ、その女がいろんなもめごとの元凶かもしれないのに……」
目の前の二人は恋人というよりも、まるで夫婦だ。
それも愛人と浮気男ではなく、ただ二人だけの相思相愛の……
「女神サティナ様の許可があったから、俺を襲ったと言ったなアイリス?」
「……ええ、サティナ様の許可はありました。だからと言ってそれだけではありませんよ。貴方のやり方に対する怒りは、そんなに簡単に許せるものじゃないわ」
「また軽率な発言だ。国母候補としての教育を受けた女とは思えない発言だな」
ふてぶてしく、アズライルはベッドに腰かけるとダイアナを抱き寄せて安心しろ、そう語って見せる。
やってらんないわ……
議論したいなら、茶番に付き合って差し上げますわ殿下。
その後にさんざん、焼き尽くしてやるけど。
アイリスはそう決めると、言葉を選んだ。
「それなら、お伺いしますが、国王陛下の許可はあったのですか? 私を唯一の正妻とすると公言されたことを撤回する許可、そして、そのあなたを焼いて差し上げた後に不問にせよとの命令が下っていたはずです。違いますか?」
「……いいや、それは違わないな。だが、俺も後悔も反省もしていないぞ、アイリス。反逆者に対して法は絶対だと思うがな? 王族とはいえ、女神に指示されたからそうですかと、それを簡単に曲げる者がこの国の指導者を続けていけるとは俺は思っていない。同時に、それを正すのも俺の役割だ。明日の貴族院での王位継承権の取り消しが認められるまでは、これを続けるつもりだ」
「……なぜ? どうしてそこまで私を排除したがるのですか、アズライル……」
王子の意図が分からない。
自分にはもしかしたらとんでもない過失があったのかもしれない。
ふとそんな錯覚を覚えてしまいそうになり、アイリスは頭を振る。
「知りたいか? 神殿とは俺は関係はしてない。だが、ある報告があった。そのせいだよ」
「……報告……??」
「聖女と大神官には、ここ数年、サティナ様からの神託があったりなかったりしたそうだ。その時には誰か別の者に女神は語り掛けているようだと、報告があった」
「……あ……ッ!?」
「心当たりがあるようだな、アイリス」
「でも、それだけで何故!?」
「簡単だ。女神が最初に認めた建国王の血筋がこの国を守護してきた。血を血で争う醜い側面も多かったはずだ。その都度、女神は神託を下した。聖女と大神官を通じて、二人の存在がそれぞれ、私利私欲に走らないように互いをけん制して正しい神託を王に伝えて来た。そうだろ?」
「あなたまさか……、私がそれを独り占めしようとしていると、そう思ったの?」
「それ以外の何がある? 女神に認められた聖女でもないただの司祭がそんな真似をできるはずがない。つまり、お前には何か別の勢力が関わっているか、それとも相応の資格があったのか。どちらにせよ、排除すべきだと俺は考えた。それだけだよ」
「せめて確認くらいするべきでしょう、アズライル。……貴方はどこまでも私を信じてはくれないのね、妻になるべき女よりも他人の言葉を信じたんだわ」
アイリスの瞳にはいつからか、悲しみの涙があふれて止まらなくなっていた。
「お互いにそうなったようだな。ああ、ダイアナには手を出すなよ。これは俺が選んだことだ。こいつには罪はない、それくらいはわかるよな?」
「分かりたくないわ、その女がいろんなもめごとの元凶かもしれないのに……」
目の前の二人は恋人というよりも、まるで夫婦だ。
それも愛人と浮気男ではなく、ただ二人だけの相思相愛の……
「女神サティナ様の許可があったから、俺を襲ったと言ったなアイリス?」
「……ええ、サティナ様の許可はありました。だからと言ってそれだけではありませんよ。貴方のやり方に対する怒りは、そんなに簡単に許せるものじゃないわ」
「また軽率な発言だ。国母候補としての教育を受けた女とは思えない発言だな」
ふてぶてしく、アズライルはベッドに腰かけるとダイアナを抱き寄せて安心しろ、そう語って見せる。
やってらんないわ……
議論したいなら、茶番に付き合って差し上げますわ殿下。
その後にさんざん、焼き尽くしてやるけど。
アイリスはそう決めると、言葉を選んだ。
「それなら、お伺いしますが、国王陛下の許可はあったのですか? 私を唯一の正妻とすると公言されたことを撤回する許可、そして、そのあなたを焼いて差し上げた後に不問にせよとの命令が下っていたはずです。違いますか?」
「……いいや、それは違わないな。だが、俺も後悔も反省もしていないぞ、アイリス。反逆者に対して法は絶対だと思うがな? 王族とはいえ、女神に指示されたからそうですかと、それを簡単に曲げる者がこの国の指導者を続けていけるとは俺は思っていない。同時に、それを正すのも俺の役割だ。明日の貴族院での王位継承権の取り消しが認められるまでは、これを続けるつもりだ」
「……なぜ? どうしてそこまで私を排除したがるのですか、アズライル……」
王子の意図が分からない。
自分にはもしかしたらとんでもない過失があったのかもしれない。
ふとそんな錯覚を覚えてしまいそうになり、アイリスは頭を振る。
「知りたいか? 神殿とは俺は関係はしてない。だが、ある報告があった。そのせいだよ」
「……報告……??」
「聖女と大神官には、ここ数年、サティナ様からの神託があったりなかったりしたそうだ。その時には誰か別の者に女神は語り掛けているようだと、報告があった」
「……あ……ッ!?」
「心当たりがあるようだな、アイリス」
「でも、それだけで何故!?」
「簡単だ。女神が最初に認めた建国王の血筋がこの国を守護してきた。血を血で争う醜い側面も多かったはずだ。その都度、女神は神託を下した。聖女と大神官を通じて、二人の存在がそれぞれ、私利私欲に走らないように互いをけん制して正しい神託を王に伝えて来た。そうだろ?」
「あなたまさか……、私がそれを独り占めしようとしていると、そう思ったの?」
「それ以外の何がある? 女神に認められた聖女でもないただの司祭がそんな真似をできるはずがない。つまり、お前には何か別の勢力が関わっているか、それとも相応の資格があったのか。どちらにせよ、排除すべきだと俺は考えた。それだけだよ」
「せめて確認くらいするべきでしょう、アズライル。……貴方はどこまでも私を信じてはくれないのね、妻になるべき女よりも他人の言葉を信じたんだわ」
アイリスの瞳にはいつからか、悲しみの涙があふれて止まらなくなっていた。
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