NTRするなら、お姉ちゃんより私の方がいいですよ、先輩？

第三章 姉妹の確執

34 季美 side 1

　全校生徒の目の前で彼に対しての告白をしろ、と迫られた時。
　正直言って、キモい、としか思えなかった。
　これまで私にに寄ってきた男性の多くは二つ返事で私の事を受け入れてくれたし。
　ましてや、浮気してるよ？　なんて伝えたところで、彼らもまた私のことを二番目として扱っていたから特に怒ったりしなかった。
　つまるところ、私はいつも誰かの二番目だったのだ。

　☆

　抱介との出会いは中学生の頃から年上の男性達と遊び慣れている私にとって、なんとなく新鮮なものだった。
　彼は他の男達みたいにいきなり私の体を求めてこなかった。
　いやいや違う。
　一番最初は、受験の時に彼の顔を見たのが始まりだった。
　締まりがなくて、男前というわけでもなく、エネルギッシュに何かに溢れているわけでもない。

　どこにでもいる単なる中学生の男の子で、それが私にとっては対極にいる存在で。
　他の子に言ったら多分馬鹿にされるだろうけど、彼はまるで太陽のように存在に思えたの。
　私をこの闇の中から連れ出して、もう大丈夫だよ、と優しく抱きとめてくれる。
　そんな頼もしい男性に思えてしまったのだから、今から考えると不思議で仕方がない。

　入学して一日目に実習と称して図書室に誘ったこと。
　間を置かず、放課後の教室で彼のことを誘ったこと。
　そうしたら彼は顔を真っ赤にして、本気で怒ってしまった。
　男の人が真剣に怒るその様が本当に怖くて、内心、逃げ出したかった。
　でもなんだろう。

　この人の持っている心の中の譲れない部分は、やっぱりその時の私にはなかったもので。
　だからこそ、自分の中にそれを見つけたいと思って。
　でもそれを見つける方法は私にはひとつしかなくて。
　やっぱりこんなことするしかダメな女なんだなー、と心の中でぼやきながら翌日、彼のことを自宅に誘った。

　まさか私が初めての女だなんて思わなかったし、周りの男の子達も女の子達も、みんなはやばやと初体験を済ませていたから。
　私が彼の初めてを奪う栄誉を与えられるなんて思ってもみなかった。