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第四話 魔法剣と騎士の称号
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「逃げる?」
「そう逃げるの」
レイは不思議そうな顔をした。
自分が捕まることなんて心配してないような、万が一にもそんなことは起こらないと信じているような顔つきだった。
「どうして逃げる必要があるの?」
「だって……。わたしは昨夜、あの二人を河に叩き込んだのよ!?」
「へえ?!」
それは傑作! なんてレイは両手を打ち合わせて喜んでいた。
ずっとあの二人は気に入らなかったとか言いだす始末だ。
おまけに機嫌よく鼻歌交じりに彼らの衣装と荷物をまとめ始めた。
それぞれ、別個の紙袋に包み込んでいく。
野菜とか肉とか、そういった買い出しに行った時に店側が入れてくれる、そんなやつだ。
もちろん、中身の痕跡が残っていて、それがもし生肉の油や、野菜のクズだったとしたら届けられた持ち主としては開いた時に最悪な気分になるだろうことは想像にかたくない。
「レイって……嫌味が好きなの? 子供のころはいじめっ子だったとか?」
「まさか!」
「だって心底嬉しそうだもの」
「それは、もちろん! 主人を馬鹿にされて喜ぶ従者なんて滅んでしまえばいいんだわ。まあ……そうね」
「なに?」
「逆を言えば、主人を馬鹿にするような誰かも好きじゃない。つまり、私もこれからあちらの従者には嫌われる運命ね」
「……ごめんなさい」
もうそれはいいですから。そう言うとレイはある書類をわたしに書いてくれと言い出した。
それはこの屋敷に荷物や家紋を残し、身分を明らかにする物を置いていった彼らには、すこしばかり痛い目を見させることができるかもしれないと期待できるものだった。
わたしが羽ペンーー万年筆でもなんでもある時代になぜこんな古い物を使うのか理解できないけど、貴族社会ではまだ幅を利かせている――にインクを馴染ませて、既定の文章を書き出した。
「どれくらいで仕上がります?」
「そうそうはかからないと思うけど」
写していくというよりは模写している、といったほうがいいかもしれない。
だいたいの上級貴族の家には、わたしの左手の下にあるような模範文集がそれぞれ分野や事例ごとに数冊は積まれているもので、ここから似たようなもしくは、同じ内容のものを模写して使えばいいようになっている。
とはいえ下級貴族や都会の貴族なんて、そもそも遺産の中にこれが含まれていなかったり、決まった金額を出せば代筆屋がいたりするから彼らを利用するのが慣例だ。
「そう逃げるの」
レイは不思議そうな顔をした。
自分が捕まることなんて心配してないような、万が一にもそんなことは起こらないと信じているような顔つきだった。
「どうして逃げる必要があるの?」
「だって……。わたしは昨夜、あの二人を河に叩き込んだのよ!?」
「へえ?!」
それは傑作! なんてレイは両手を打ち合わせて喜んでいた。
ずっとあの二人は気に入らなかったとか言いだす始末だ。
おまけに機嫌よく鼻歌交じりに彼らの衣装と荷物をまとめ始めた。
それぞれ、別個の紙袋に包み込んでいく。
野菜とか肉とか、そういった買い出しに行った時に店側が入れてくれる、そんなやつだ。
もちろん、中身の痕跡が残っていて、それがもし生肉の油や、野菜のクズだったとしたら届けられた持ち主としては開いた時に最悪な気分になるだろうことは想像にかたくない。
「レイって……嫌味が好きなの? 子供のころはいじめっ子だったとか?」
「まさか!」
「だって心底嬉しそうだもの」
「それは、もちろん! 主人を馬鹿にされて喜ぶ従者なんて滅んでしまえばいいんだわ。まあ……そうね」
「なに?」
「逆を言えば、主人を馬鹿にするような誰かも好きじゃない。つまり、私もこれからあちらの従者には嫌われる運命ね」
「……ごめんなさい」
もうそれはいいですから。そう言うとレイはある書類をわたしに書いてくれと言い出した。
それはこの屋敷に荷物や家紋を残し、身分を明らかにする物を置いていった彼らには、すこしばかり痛い目を見させることができるかもしれないと期待できるものだった。
わたしが羽ペンーー万年筆でもなんでもある時代になぜこんな古い物を使うのか理解できないけど、貴族社会ではまだ幅を利かせている――にインクを馴染ませて、既定の文章を書き出した。
「どれくらいで仕上がります?」
「そうそうはかからないと思うけど」
写していくというよりは模写している、といったほうがいいかもしれない。
だいたいの上級貴族の家には、わたしの左手の下にあるような模範文集がそれぞれ分野や事例ごとに数冊は積まれているもので、ここから似たようなもしくは、同じ内容のものを模写して使えばいいようになっている。
とはいえ下級貴族や都会の貴族なんて、そもそも遺産の中にこれが含まれていなかったり、決まった金額を出せば代筆屋がいたりするから彼らを利用するのが慣例だ。
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