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第五章 騎士の誇りと折れた魔法剣
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「それで今日はどこまで降りるんだい?」
「一番最下層まで行って最近ちらほらと噂を聞く、毒の煙を吐く魔物に会ってみたいんだけど」
「はあ? そんな恐ろしい奴のところに今から行くのか」
「もちろん。この格好はそのための装備でもあるんだから」
「装備ねえ……」
イデアはじろじろと上から下までわたしを見返して、なるほど。
それならありかもしれん、と勝手に納得していた。
もしかしたら古代の偉大なる魔法使いの力を使えるのかもしれない、何て想像をしたのかもしれない。
実際のところ魔物を退治するための装備なんてほとんど用意してはいないのだ。
あるとすれば間抜けでバカな婚約者が押し付けていった魔法剣と、お爺様から受け継いだ数種類の魔法が埋め込まれた護符――これは、古代文明の遺跡から発掘された珍しいものだ。
普段、わたしが使う氷の魔術や炎の魔術、防御の結界なんて比較にもならないほどの巨大な魔力がその中に埋め込まれている、秘蔵の一品。
使い方を一つ間違えたら地下水路の一部が吹っ飛んでしまうかもしれないけれど……。
そこはなるべく穏便に済ませるようにしたいものだと考えている。
「それって、俺たちの住んでるところまで被害が出たりしないよな?」
「え?」
「いやもしそうだったら先にみんなを非難させないといけないだろ」
「そ、そうね。多分、大丈夫だと思う」
「……信じていいのか」
階段を降りながら滑りやすい足元に注意を払いつつ、わたしは所々に張った蜘蛛の巣を杖の先で避けながらそう答えた。
イデアは何か怪しい。
そんな勘ぐるような顔をしてじっとわたしのことを見つめてくる。
信じてくれている誰かを裏切るなんてことはしたくもないし味わいたくもない。
何よりもされたくない。
「大丈夫。本当に大丈夫だから……とても強い魔法が込められていの、この護符には。でも、それを補って有り余るほどの結界を張ることができるから。大丈夫……彼みたい裏切ったりしない」
「彼?」
「あっ、なんでもない……」
間抜けにも昨夜のことがまだ尾を引いていて、考えたことがそのまま口に出てしまった。
やっぱり昨夜何かあったんだな。
案内人はそう言うと、
「ならあんたの事を信じてるよ。最下層の魔物っていうか、多分あれはドラゴンとか結構上位の魔獣だと思うんだけど……大丈夫か?」
「嘘っ!? そんなに恐ろしい奴が、最下層に住み着いたの? どこから入ったのよ」
「さあ? なんせこの街の始まりの頃からここはあるからさ。もう六世紀近くになると思うんだが、それくらい古いともしかしたら召喚とか転移とかの、ほらあの鉱石ランプみたいにずっと使える魔法陣が生きているのかもしれない」
「そんな話聞いてないわよ」
「俺だって知らないよ。この地下水路に関してはあんたのおじいさんがずっと管理していたはずだから何か聞いてないのか」
そう問いかけられて、祖父から注意すべきことを詳細に書かれた本の中にそんな記述があったかもしれないと思い返す。
あの本は結構読み込んだと思うんだけど、どうにも思い出せない。
一度地上に戻って詳しく調べるべきか。それともこのまま地下まで降りて、簡単な実態調査するべきか。
「一度降りてから考えることにするわ。いきなりその魔獣があまり出すなんてことないでしょ?」
「俺たちの仲間も何人か降りてから戻ってきてるから余計なことをしなければ大丈夫なんじゃないかな」
「じゃあそういうことで行きましょう?」
いざとなったらまずはこの炎の魔法剣を叩きつけてから、防御結界の中にそいつを封じ込める形で結界を発動させれば地上にも他の場所にも影響は出ないはず。
わたしはそう当たりをつけて、イデアに案内の継続を依頼したのだった。
「一番最下層まで行って最近ちらほらと噂を聞く、毒の煙を吐く魔物に会ってみたいんだけど」
「はあ? そんな恐ろしい奴のところに今から行くのか」
「もちろん。この格好はそのための装備でもあるんだから」
「装備ねえ……」
イデアはじろじろと上から下までわたしを見返して、なるほど。
それならありかもしれん、と勝手に納得していた。
もしかしたら古代の偉大なる魔法使いの力を使えるのかもしれない、何て想像をしたのかもしれない。
実際のところ魔物を退治するための装備なんてほとんど用意してはいないのだ。
あるとすれば間抜けでバカな婚約者が押し付けていった魔法剣と、お爺様から受け継いだ数種類の魔法が埋め込まれた護符――これは、古代文明の遺跡から発掘された珍しいものだ。
普段、わたしが使う氷の魔術や炎の魔術、防御の結界なんて比較にもならないほどの巨大な魔力がその中に埋め込まれている、秘蔵の一品。
使い方を一つ間違えたら地下水路の一部が吹っ飛んでしまうかもしれないけれど……。
そこはなるべく穏便に済ませるようにしたいものだと考えている。
「それって、俺たちの住んでるところまで被害が出たりしないよな?」
「え?」
「いやもしそうだったら先にみんなを非難させないといけないだろ」
「そ、そうね。多分、大丈夫だと思う」
「……信じていいのか」
階段を降りながら滑りやすい足元に注意を払いつつ、わたしは所々に張った蜘蛛の巣を杖の先で避けながらそう答えた。
イデアは何か怪しい。
そんな勘ぐるような顔をしてじっとわたしのことを見つめてくる。
信じてくれている誰かを裏切るなんてことはしたくもないし味わいたくもない。
何よりもされたくない。
「大丈夫。本当に大丈夫だから……とても強い魔法が込められていの、この護符には。でも、それを補って有り余るほどの結界を張ることができるから。大丈夫……彼みたい裏切ったりしない」
「彼?」
「あっ、なんでもない……」
間抜けにも昨夜のことがまだ尾を引いていて、考えたことがそのまま口に出てしまった。
やっぱり昨夜何かあったんだな。
案内人はそう言うと、
「ならあんたの事を信じてるよ。最下層の魔物っていうか、多分あれはドラゴンとか結構上位の魔獣だと思うんだけど……大丈夫か?」
「嘘っ!? そんなに恐ろしい奴が、最下層に住み着いたの? どこから入ったのよ」
「さあ? なんせこの街の始まりの頃からここはあるからさ。もう六世紀近くになると思うんだが、それくらい古いともしかしたら召喚とか転移とかの、ほらあの鉱石ランプみたいにずっと使える魔法陣が生きているのかもしれない」
「そんな話聞いてないわよ」
「俺だって知らないよ。この地下水路に関してはあんたのおじいさんがずっと管理していたはずだから何か聞いてないのか」
そう問いかけられて、祖父から注意すべきことを詳細に書かれた本の中にそんな記述があったかもしれないと思い返す。
あの本は結構読み込んだと思うんだけど、どうにも思い出せない。
一度地上に戻って詳しく調べるべきか。それともこのまま地下まで降りて、簡単な実態調査するべきか。
「一度降りてから考えることにするわ。いきなりその魔獣があまり出すなんてことないでしょ?」
「俺たちの仲間も何人か降りてから戻ってきてるから余計なことをしなければ大丈夫なんじゃないかな」
「じゃあそういうことで行きましょう?」
いざとなったらまずはこの炎の魔法剣を叩きつけてから、防御結界の中にそいつを封じ込める形で結界を発動させれば地上にも他の場所にも影響は出ないはず。
わたしはそう当たりをつけて、イデアに案内の継続を依頼したのだった。
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