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第六章 ドラゴンは魔法剣がお好き
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「へ? 何これっ!?」
「おいっ!? 大丈夫なのか、それ! まさか魔獣を感知したから魔法が発動したとか……ッ!」
「わからないのよっ!」
そんなこと言っている場合ではなかった。
魔法剣の放つ炎の雰囲気が、ドラゴンたちの興味を引いたらしい。
一斉に首をもたげこちらに向いた彼らは、チロチロとわたし一人くらい簡単に飲み込んでしまいそうなほどの巨大な咥内から炎を吐きながら威嚇を始めたのだから。
「あーまじかよ……連中、反応してるぞ」
「ひぇっ! どうしよう……」
「どうするもこうするもあるか、ヘタに逃げたら後ろから炎で焼かれるぞ……」
「逃げたくても逃げれない」
「はあっ?」
「腰が……ッ、足がすくんで、無理ッ……」
「俺もそうなりたい」
そう言うと彼の行動は早かった。
わたしの手から無理やり魔法剣をもぎ取ると、おおきく振りかぶってドラゴンたちの中にそれを放り込む。続く滑らかな動作でわたしをさっさと抱き上げると、入り口に向かって猛ダッシュっ!
あっという間にその場から逃げ去った。
「ちょっと――っ!?」
「クレームを後から聞く! 喋ると舌噛むぞ!」
「わたしの魔法剣っ!」
いきなり抱き抱えられ、パニックに陥るわたし。
イデアは重いはずのわたしの体重なんてものともせず、やってきた階段を降りるときの数倍の速さで駆けあがり、さっさと数階層を戻ってしまった。
その体力のすさまじさに驚きながら、間抜けな発言を聞いて彼は必死なはずなのに、笑いながら走るという奇妙な芸を見せてくれた。
「はあっ……はあ。もうここまで来たら追って来ないだろ……」
「……魔法剣、置いてきちゃった……」
「あのなあ、命よりもそっちの心配か? 聞こえたろ、あのバリボリって音。もう跡形もなく食われちまったよ。たぶんな……」
「食べられ、たの?」
「炎が美味しかったのか魔法が美味しかったのかは知らないが、まあそうなんだろうな」
「そう……食べられちゃったんだ」
折れるどころか食べられてしまうなんて。
美味しく美味しくバリボリと音を立てて砕かれていく様が、脳裏に思い浮かぶ。
ごめんね。
なぜかわからないがそんなことを心に念じてしまう。
文字通り、騎士の誇りとともに魔法剣はドラゴンのおなかの中に収まってしまった。
「あれ、大事なものだったのか?」
まだ息の荒いイデアが、心配したのか声をかけてくる。
大事なもの。
大事なものだったかもしれない。
彼とわたしの仲をつなぐ、数少ない思い出の品だったから。
「……そうかもしれなかったけど、いいわ。それより、あのドラゴン立ち上に上がってこないのかな」
「どうだろうなあ。ちょっと前に行った時はあんなにたくさん増えてなかったんだが」
「は? あんなにたくさん――?」
「そう。一週間ほど前に見に行った時にはまだ十頭いるかいないかだった」
それを聞いて背筋に戦慄がはしる。
繁殖したのか、それともどっかから入り込んだのか、それとも呼び出されているのか。
なんだかとっても嫌な予感がしてぶるっ、と肩を震わせるわたし。
イデアは短い休憩で体力も回復したらしい。
再度、抱き上げて運ぼうとするから――それは丁重にお断りした。
「おいっ!? 大丈夫なのか、それ! まさか魔獣を感知したから魔法が発動したとか……ッ!」
「わからないのよっ!」
そんなこと言っている場合ではなかった。
魔法剣の放つ炎の雰囲気が、ドラゴンたちの興味を引いたらしい。
一斉に首をもたげこちらに向いた彼らは、チロチロとわたし一人くらい簡単に飲み込んでしまいそうなほどの巨大な咥内から炎を吐きながら威嚇を始めたのだから。
「あーまじかよ……連中、反応してるぞ」
「ひぇっ! どうしよう……」
「どうするもこうするもあるか、ヘタに逃げたら後ろから炎で焼かれるぞ……」
「逃げたくても逃げれない」
「はあっ?」
「腰が……ッ、足がすくんで、無理ッ……」
「俺もそうなりたい」
そう言うと彼の行動は早かった。
わたしの手から無理やり魔法剣をもぎ取ると、おおきく振りかぶってドラゴンたちの中にそれを放り込む。続く滑らかな動作でわたしをさっさと抱き上げると、入り口に向かって猛ダッシュっ!
あっという間にその場から逃げ去った。
「ちょっと――っ!?」
「クレームを後から聞く! 喋ると舌噛むぞ!」
「わたしの魔法剣っ!」
いきなり抱き抱えられ、パニックに陥るわたし。
イデアは重いはずのわたしの体重なんてものともせず、やってきた階段を降りるときの数倍の速さで駆けあがり、さっさと数階層を戻ってしまった。
その体力のすさまじさに驚きながら、間抜けな発言を聞いて彼は必死なはずなのに、笑いながら走るという奇妙な芸を見せてくれた。
「はあっ……はあ。もうここまで来たら追って来ないだろ……」
「……魔法剣、置いてきちゃった……」
「あのなあ、命よりもそっちの心配か? 聞こえたろ、あのバリボリって音。もう跡形もなく食われちまったよ。たぶんな……」
「食べられ、たの?」
「炎が美味しかったのか魔法が美味しかったのかは知らないが、まあそうなんだろうな」
「そう……食べられちゃったんだ」
折れるどころか食べられてしまうなんて。
美味しく美味しくバリボリと音を立てて砕かれていく様が、脳裏に思い浮かぶ。
ごめんね。
なぜかわからないがそんなことを心に念じてしまう。
文字通り、騎士の誇りとともに魔法剣はドラゴンのおなかの中に収まってしまった。
「あれ、大事なものだったのか?」
まだ息の荒いイデアが、心配したのか声をかけてくる。
大事なもの。
大事なものだったかもしれない。
彼とわたしの仲をつなぐ、数少ない思い出の品だったから。
「……そうかもしれなかったけど、いいわ。それより、あのドラゴン立ち上に上がってこないのかな」
「どうだろうなあ。ちょっと前に行った時はあんなにたくさん増えてなかったんだが」
「は? あんなにたくさん――?」
「そう。一週間ほど前に見に行った時にはまだ十頭いるかいないかだった」
それを聞いて背筋に戦慄がはしる。
繁殖したのか、それともどっかから入り込んだのか、それとも呼び出されているのか。
なんだかとっても嫌な予感がしてぶるっ、と肩を震わせるわたし。
イデアは短い休憩で体力も回復したらしい。
再度、抱き上げて運ぼうとするから――それは丁重にお断りした。
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