彼氏が親友と浮気して結婚したいというので、得意の氷魔法で冷徹な復讐をすることにした。

和泉鷹央

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第七章 探知魔導

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 確執に次ぐ確執と国によっては魔法使いが現存した時代には、教会の紋章眼の宣教師と呼ばれる魔法使いたちと大掛かりな魔法合戦をしたこともあるのだとか。
 それでもわたしたち魔導師と、フォンティーヌ教会がひとつの街の中で仲良くやっていけるのは、人間という存在の弱さと言うか脆弱さがどうしても力ある者たちを必要としてしまうからだ。
 今回の地下のドラゴンのように。
 あんな大災害の存在なんて、今の時代のわたしたちには立ち向かう術すらないのだから。

「報告をしたらどうなるんだ?」
「色々と言われてしまうわ、それだけ。昔から教会と魔導師は仲が悪いのよ」
「へえ、そんなもんか。一般人が知らない世界だ」
「だからね、報告したら氷の魔女の二つ名が泣きますねって言われそう」
「いい名前じゃないか。氷を扱うのは得意なのか……覚えておくよ」
「ドラゴンにすら対抗できない、単なる景気付けみたいなものだから。あんまり当てにしないで」
「まあ、俺に抱えられて上がってくるような、氷の魔女だからな」
「本当に意地悪ね。まるでラルクみたい……あっ」
「ふうん」

 感情が高ぶってしまい、ついつい本音がするりと口の端から抜け出てしまう。
 それを聞いたイデアと来たら、なんだかニヤニヤとして、口の端を少しだけ持ち上げて笑うのだ。
 重たいって言われたんだな、さもそう言わんかのように。

「何よお? そんなに笑うんだったら、返してちょうだいその端末。地下の人達が不安になったら困るだろうから、しばらく預けておこうと思ったけど」
「はあ? 嫌だよ、こんな便利なもん。あるのとないのとじゃ、大違いだ。あの巨体でこんな狭い道や階段をドラゴンどもが上がって来るとは考えにくいけどな。
それでも危険の察知はできる。だから返せないね」
「あー、ひっどい! それじゃあまるで泥棒じゃない!」
「差し出したのは自分だろ? 俺がくれと言ったわけじゃない」
「それはそうだけど……」
「ついでにあんたぐらいの女性を抱えて、あの程度の距離を上り下りできない男なんて男じゃないね。騎士って名乗るんだったら、俺だって騎士になれるじゃないか。そうだろ?」
「慰めてるのか馬鹿にしてんのかどっちなのーっ!?」
「慰めてなんかないよ、馬鹿にする気もないね。ただ、男運がないとだけは思うけどな」
「やっぱり最悪だわ、あなたって嫌なやつ。でも――助けてくれてありがとう……」
「そういう素直なところがいいと思うぜ。じゃあ、とりあえず対策を宜しくな?」
「はいはい」

 対策、かあ。
 結構足取り重たかったけど――というのも、教会への報告とどうせ今日か明日にはやって来るだろうラルクとメリダの相手をすることを考えると、気が滅入りそうだった。
 地上へと戻る出口で、イデアは一言付け加えて去っていった。

「別に報告しなくてもいいだろ?」
「……はあ? なに言ってるのよ、調べられないじゃないの」
「うまい言い訳考えて、ドラゴンじゃなくてもあの最下層にいたやつらをさ。何か適当にでっち上げてもいいんじゃないか。自分の名前を汚すようなことを自分からする必要はないんだよ。だろ?」
「それはっ」
「そういう生き方も大事だってことだよ、な?」
「考えてみる……」

 人生の大先輩?
 それとも単なる厄介人?
 どちらかわからないけれど、彼は気楽にそう言って後ろを振り向くと手を振りながら地下に戻っていった。
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