彼氏が親友と浮気して結婚したいというので、得意の氷魔法で冷徹な復讐をすることにした。

和泉鷹央

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第九章 精霊と二級魔導師

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 それに……。

「何ですか、アルフリーダ。まさか、ラルク様やエリダ様の社会的な評価が落ちるとか考えてるわけじゃないでしょうね」
「それよりも、王族とか上級貴族からの理由ない制裁が怖いかな」
「弱気ですね。それならこちらも職業を盾にすればいいでのでは?」
「職業? 魔導師協会に報告しろってこと? 受けてくれるかしら……」
「どうして受け付けてくれないと思うんです」
「魔導師協会も結局は王国との共存が大事だから。こんな田舎町の新人がどうこうなってもねー。個人的な問題だからそっちで解決しろって言われそう」
「ふうん……。それでも前途多難というわけではないですか」
「やり方はあると思うけど」
「例えば?」

 問われて、例えばそうね、といくつかやり方を考える。
 お互いの体面を傷つけずに簡単に婚約の解消を出来るのは、やはりわたしがこの土地から出ていくことだろう。
 街の地下水道の管理を辞め、魔導師協会に引き継ぎの人員を依頼して、わたし自身がいなくなる。
 いなくなる理由はなんでもいい。
 体調不良でもいいし、魔法の研究に没頭したいから王都に戻りたいでもいいし、何でもいいのだ。
 ただ、わたし自身の大事な過去。
 祖父の遺してくれた家屋敷や、親類縁者とのつながりを失うだけで。
 
「わたしが――魔法の研究に戻りたいからとか。そんな理由をつけて慰謝料をラルク側に払って、この土地をおさらばすれば一番、簡単で効果的」
「それをしたら、先代様のすべてをなくしではありませんか!?」

 レイがそう叫んだ。
 そうね、と心でわたしも賛同する。

「一番簡単なのはその方法だと思う。無くすものが大きいだけ入ってくる自由も大きい」
「女がバカを見る自由なんて必要ないと思いますけどね。結果的にあなたは王都に戻って研究に没頭しても、二度目の結婚は望めないかもしれないし」
「うっ」
「ラルク様とエリダ様は、あなたから慰謝料をせしめて嬉しそうな顔してるでしょうね」
「ううっ……」
「おまけに、王都に戻る形は栄転ではなく事実上の左遷ですからねえ。噂好きの王都社交界ではあなたが逃げ戻ったなんて言われたりして」
「ちょっと! 言い過ぎ……そんなさも起こりそうな未来を予測しないでちょうだい!」
「それではこの話はなかったということで」
「……。何か別の方が考えるわ」
「王族とか気にしすぎなんですよ」
「だって最底辺の貴族だもの。気にするわよ」
「それなら王様に褒められるようなすればいいじゃないですか。ちょうど大問題が地下に起きているわけですし」
「ドラゴン、ね。解決できたら大きいと思う。でもねー」
「またため息をつくんだから」

 わたしがどんな功績を挙げたとしても、それはわたしの手柄にはならないかもしれない。
 レイはそのことを知っているから、悔しそうな顔をして首を振った。

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