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エピローグ
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「教会の主として、この街の市政を司る行政の長の一人として。認めます、今、認めました。あなたには責任はありません、あったとしてもそれは後からどうにでもしましょう。今は何も考えずこう言ってください」
「あ、なに、を?」
「婚約破棄します、と」
強烈な一言。
鮮烈であまりにも強引すぎて、続く言葉が思い浮かばない。
それでも無意識に本能はそれをは口にする。
「婚約破棄……します」
「よろしい。ラルク・セナスとアルフリーダ・ダーゼンの婚約の解消を認めます。理由は、簡単にしましょう。互いに半年間という仮の婚約期間をおいて共に過ごしたとしましょう、そしてあなた達は気付いた。自分達は仲が良くない。それだけで十分です」
「そんな主語のない……慰謝料はどうなります、それにあの二人の浮気は」
「浮気は別問題。慰謝料はもういいでしょ? 朝方あなたの侍女がやってきました」
「ああ、そう――行かせました」
「拾得物申請書。確かに受け取っています。あれを公表されれば互いに困る家もあるでしょう? どう思います?」
「それを盾にして、後からの報復は考えないんですか」
「この教会を相手にして? もちろんやろうと思えばどんな報復も可能です。あなたは女性だし、大金を出して暗殺者を雇うという方法も考えられる。ですがね、いいですかアルフリーダ。何百年も昔ではないのです」
「それは分かりますけど」
「ラルク・セナスが特権を持ち出してくるなら、こちらも特権を振りかざせばいいのです。あなたにはあるじゃないですか、アルフリーダ。この街の水源の管理権。それは今あなたの手にあるんですよ。つまるところ、地下のドラゴン退治に、あの巨岩をも魔法剣を打ち砕いたラルク・セナスを指名すればいいのです。彼は騎士であり、その前に国民に奉仕するべき王族の一員であり、何よりも凄まじく強い魔法剣士なんですから」
そうな計画を聞いてしまったらもう笑い出すしかない。
そこまでは思いつきもしなかった。
いいえ、うっすらとそうしてやろうかと思う気持ちもあったけど。
まさかこんなにきっちりとこうすればいいなんて、わたしには思いもよらない。
「神父様、本当にただの神父様ですか?」
「もちろん、ただの神父です。ただし、世界に教会の神父は十数万といるでしょうが。紋章眼の宣教師は、たった数百人です。そこはお忘れなく」
「ダーレク神父との出会いに感謝いたします。女神様にも」
「ありがとう。それでは正式な受理証明を作成することとしましょう。ああ、それからあれです。この件は教会が請け負いましたので。教会から市長を通じて、ラルク・セナス氏に退治を依頼することにします」
「そうしていただければ嬉しい限りです」
にんまりと意地悪そう微笑む彼は、本当に神父なの? と言いたくなるくらい、悪党の顔をしていた。
その微笑みの対象にならないように気をつけよう。
この時、わたしはそう心に誓ったのだった。
「あ、なに、を?」
「婚約破棄します、と」
強烈な一言。
鮮烈であまりにも強引すぎて、続く言葉が思い浮かばない。
それでも無意識に本能はそれをは口にする。
「婚約破棄……します」
「よろしい。ラルク・セナスとアルフリーダ・ダーゼンの婚約の解消を認めます。理由は、簡単にしましょう。互いに半年間という仮の婚約期間をおいて共に過ごしたとしましょう、そしてあなた達は気付いた。自分達は仲が良くない。それだけで十分です」
「そんな主語のない……慰謝料はどうなります、それにあの二人の浮気は」
「浮気は別問題。慰謝料はもういいでしょ? 朝方あなたの侍女がやってきました」
「ああ、そう――行かせました」
「拾得物申請書。確かに受け取っています。あれを公表されれば互いに困る家もあるでしょう? どう思います?」
「それを盾にして、後からの報復は考えないんですか」
「この教会を相手にして? もちろんやろうと思えばどんな報復も可能です。あなたは女性だし、大金を出して暗殺者を雇うという方法も考えられる。ですがね、いいですかアルフリーダ。何百年も昔ではないのです」
「それは分かりますけど」
「ラルク・セナスが特権を持ち出してくるなら、こちらも特権を振りかざせばいいのです。あなたにはあるじゃないですか、アルフリーダ。この街の水源の管理権。それは今あなたの手にあるんですよ。つまるところ、地下のドラゴン退治に、あの巨岩をも魔法剣を打ち砕いたラルク・セナスを指名すればいいのです。彼は騎士であり、その前に国民に奉仕するべき王族の一員であり、何よりも凄まじく強い魔法剣士なんですから」
そうな計画を聞いてしまったらもう笑い出すしかない。
そこまでは思いつきもしなかった。
いいえ、うっすらとそうしてやろうかと思う気持ちもあったけど。
まさかこんなにきっちりとこうすればいいなんて、わたしには思いもよらない。
「神父様、本当にただの神父様ですか?」
「もちろん、ただの神父です。ただし、世界に教会の神父は十数万といるでしょうが。紋章眼の宣教師は、たった数百人です。そこはお忘れなく」
「ダーレク神父との出会いに感謝いたします。女神様にも」
「ありがとう。それでは正式な受理証明を作成することとしましょう。ああ、それからあれです。この件は教会が請け負いましたので。教会から市長を通じて、ラルク・セナス氏に退治を依頼することにします」
「そうしていただければ嬉しい限りです」
にんまりと意地悪そう微笑む彼は、本当に神父なの? と言いたくなるくらい、悪党の顔をしていた。
その微笑みの対象にならないように気をつけよう。
この時、わたしはそう心に誓ったのだった。
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