セピア色の恋 ~封印されていた秘め事~

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13 I want you

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 年末年始明けの初練習日。部活が終わればもちろん、ワシオ君のアパートに直行です。

 二日前に名残惜しく見送り、電話は来ましたけれど彼を外の寒い公衆電話にずっと立たせるわけにもいかず、ほんの数分しか話せませんでした。それだけに数日ぶりのセックスが待ち遠しくてしかたありませんでした。

 彼の部屋のドアが開いた途端、彼を貪りました。

「お、おい激し過ぎだよ、ミオ」

「だって・・・」

 その日一日部屋にいた彼のアパートはすでに熱いくらいに温かく、わたしは彼にキスしながらもどかしくも着ているものを全て脱ぎ去り、彼を奥へと押してゆきました。

 前戯なんか要りませんでした。わたしのそこはもう潤いきり、欲しくて、欲しくて、たまらなくなっていたのです。万年床に彼を押し倒し、当然のように跨りました

「・・・あああっ!・・・いい・・・これ、・・・これなのおお・・・」

「おい、ゴムは・・・」

「そんなの、いい! ・・・今日は大丈夫だから」

「そうか。よし。やるぞォ・・・」

「ああっ、素敵!・・・もっと、もっといっぱいちょうだい、ああ・・・」

 そんな風にしてワシオ君とのセックスは次第に日常になってゆきました。終わると使ったシーツや枕カバーを替えて彼の服と一緒に洗濯します。もちろん、下着もです。天気が良くても外には絶対に干せません。シーツや彼のパンツが氷の板になってしまうからです。部屋の中に干してから身支度をして家路につくのが日課になりました。

 時には洗濯しているわたしの後ろから襲われることもあって困りました。でも、わたしの身体はわたしよりはるかに正直になっていました。ガタガタ揺れる洗濯機につかまりながら、絶頂させられることもありました。一度彼のを迎え入れたエクスタシーを覚えてしまうと、どんどんより簡単にすぐにイケるようになっていました。

「・・・あ、イッチャウかも、・・・くるかも、くるっ、来るヨおおお、わあん、あんあイク、イクぅ・・・んんん。・・・あ、ウソ、・・・ヤダ、ああん、またイクぅ・・・」

 まったく。行くのか来るのかどっちなの、って感じでした。

 お互いのを口でするのも完全に定番になりました。

 それだけたくさん満足させられてしまうと、彼のが愛おしくてたまらなくなってしまったのです。キスしないではいられなかったのです。

 終わった彼のゴムを処理し終えると、ちっちゃくなった彼のにキスしてしまいました。

「え、おい、汚いよ」

「ううん。汚くないよ。だって、ワシオ君のだもん」

「コイツ・・・、お前、可愛いすぎだろう・・・」

 彼は、彼のを咥えているわたしのお尻をヒョイと抱え、スルスルッと頭を突っ込んできてペロペロ始めます。それが凄まじくエッチで、滅茶苦茶に感じてしまうのです。

「う、ええっ? なにそれああっ! そこダメ、そこダメだってああっ! そんなとこ舐めちゃ汚、やあっ! やめああっ!」

「ううん。汚くないよ。だって、ミオのだもん」

 彼がわたしの口調をまねてふざけるのが心をくすぐります。

「うそ、ああっ! そこ、感じ過ぎああっ・・・やめああっ・・・あ、イクいきそいくっ、ああんやあああんんんんんん・・・」

 まだ中よりもおまめさんのほうがビンカンで、わたしは彼の舌であっという間に何度もイカされてしまいました。そんなことをされれば病みつきになるのはすぐでした。それまでただ突っ込むだけのセックスをしていたわたしたちのヴァリエーションはすでに大きく広がっていたのです。


 

 そんなことばかりしていましたから、本州より遅いとはいえ授業のある三学期は瞬く間にやってきてしまいました。

「ねえ・・・」

「ん?」

 彼の部屋で一戦交えた後、おなかの空いたわたしたちは具のないラーメンを作って大きな鍋と小さなのに分け、そこから直に啜りこんでいました。もちろん二人とも終わってすぐですから何も着ていませんでした。

「生徒会の来年度の話のやつ、いい案は浮かんだ?」

「ああ、あれか」

「うん」

「いいや。何も」

「・・・どうするの?」

「どうもしないさ」

「だって・・・」

「まず、臨時の生徒会を招集する。そこでヤベに好きなだけ喋らせる。会計の報告を含めて。で、会長の信任の採決をしてもらう。話は、それからだ」

「じゃ、会長辞めちゃうの?」

「自分から辞めるつもりはないさ。だけど、信任されなきゃやりたくないな。決めるのは学級委員たちだよ。オレじゃない」

 

 始業式の次の土曜日の午後、さっそく召集された臨時の生徒会で、年末の役員会での問題がそのまま再現されました。もちろんあんな口論のようなものではなく、ヤベ君の、会長であるワシオ君がイベント開催の経費を使いすぎるという問題提起に続いてナカガミ君の会計報告があり、議長であるワシオ君がそれを受けてあらためて生徒会から信任を得たい旨採決を求めました。

「もちろん、生徒会の信任だけでゴリ押ししようとは思っていません。必要なら生徒総会なりに掛けていただいても結構です。ですから、採決はまず、生徒総会開催の是非について行い、次に生徒会の信任を得る順番で行いたいと思いますがいかがでしょうか」

 ワシオ君が問うと一年生の学級委員から挙手がありました。

「一年八組のナガイです。議長からの提案ですが、修正願います。逆じゃないでしょうか。各学級委員は各クラスの信任を得て出席しています。生徒会で信任されれば総会の必要はないんじゃないでしょうか。その点につき、意見をいただきたく思います」

「ありがとう。だけど、会長職は総会で選ばれてるから、総会で信任をもらうのが筋かと思ったんだよね」

「三年生がいないから言いますが、去年はつまらなかった。でも今年は、こんなに楽しい高校生活になるとは思っていませんでした。あの壮行会の一体感はサイコーでした。そう思わないか? みんな! ワシオ! みんな君に期待してるんだよ」

 二年生の学級委員でした。彼の言葉の終わるのを待たず、集まったほぼ全員の拍手が沸き起こりました。

「・・・ありがとう。では採決をあらため、生徒会に対して信任を問うものだけにしたいと思います。現職である当職を信任する方の起立を求めます」

 役員を除いた全員が起立しました。ちょっとヤベ君には残酷なような気もしましたが、ワシオ君はそれでも筋を通したかったのでしょう。

 その後すぐに臨時生徒会は残りのイベントの開催について、その内容と費用についての原案を会長から聞き、細目の検討に入りました。そして費用についてはもし不足が生じた場合は足りない分を学校に申請するのではなく、生徒のカンパで賄おうという提案を賛成多数で決議しました。

「先生。生徒会はこのように決議しましたが、ご意見をいただきたく思いますが」

 とワシオ君がいうと、生徒会顧問の教師はこう言いました。

「ふむ。それも一つの手ではあるだろう。だけど、内容について、もう一度吟味して、なるべく経費を抑えて開催できるように個々で検討し直してからでも遅くはないだろう。お金が無いなら無いなりに知恵を絞り切るのが本来の姿ではないかと思うが、その点について諸君の見解を問いたいな・・・」

 

 日曜日は年明け最初の練習試合でした。

 去年末の最後の試合をすっぽかしてしまっていたので出ないわけにいかなかったのです。それにあのサオトメまでが、

「ハヤカワいないと調子狂う。今度は必ず出てよ」

 そこまで言われれば出ざるを得ません。

 それにずっと冬季の自主練の続く、つまりヒマなサッカー部のワシオ君が、

「一年生の歓迎式は間に合わないから無理だけど、学園祭と体育祭の内容を再検討したい。それぞれを実行委員会形式にして実行委員長を生徒会から公募したらどうかと思うんだ。そうすればヤベの懸念もなくなるだろ。アイツ、オレを独裁者だと思ってるからな。日曜日は有志を募って非公式の生徒会をする。お前が試合ならどうせ会えないし、ちょうどいいから」

「試合が終わったら会お。部屋に行くよ」

「いいけど、そのあと会計と話を詰めるから遅くなるかもな」

 付き合うようになって初めて、日曜日に会えなくなってしまいそうでした。それまでお正月を除いて毎日のように会っていたので寂しくなりました。会えないと思うと会いたさが募るものです。

 

 試合は三時には終わりました。同じ市内の学校でしたから現地で解散になりました。もちろん、ワシオ君の部屋に直行しましたが、彼はまだ帰っていませんでした。いっそ学校に行こうかと思いましたが、学校で会えたとしてもセックスはおろかキスさえもできません。彼に連れて行ってもらった喫茶店を思い出してそこで待とうかと思い、まだお正月気分の残る街を、スポーツバッグをぶら下げて歩きました。

 途中、レコードショップがありました。急ぐこともないと思い、店に入りました。入ればなんとなく洋楽ポップスのコーナーに足が向き、そこでビートルズを眺めてしまいます。

 わたしはそれまで一枚もレコードというものを買ったことがありませんでした。そのわたしに幾多のアルバムジャケットを出しては眺めさせているのは明らかにワシオ君の影響でした。恋はそれまで音楽というものに全く興味がなかった女の子に新しい扉を開いてくれたのでした。

 せっかくだから一枚買っていこうと思いましたがどんなのがいいかわかりません。こんな時にワシオ君がいてくれたらいろいろ教えてくれたのにと思いつつ、ジャケットのデザインで決めようと何枚かの中から四人の映っている一番カッコよさげのものを選びました。

 どんな曲が入っているんだろうな。家に帰って長兄の古いプレーヤーで聴いてみよう。レジでお金を払い、包装されたレコードを抱えて店を出ました。

 夕暮れの舗道に雪が降ってきました。そこから喫茶店へはすぐでした。

 あと少しで店につくというところで信号が赤になり、脚を止めました。スパイクタイヤの轟音を立てて車が行きかう通りの向こうを見ていると、見慣れた影が雑踏に見え隠れしながらこちらに向かって歩いて来るのが見えました。彼は一人ではありませんでした。彼に寄り添うように、髪の毛のふわふわした可愛い女の子が寄り添っていました。

 その二人の姿が、これから行こうと思っていた喫茶店のドアを開け、中に入るのが見えました。
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