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1976
41 Le temps des cerises さくらんぼの実る頃
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最終便で飛行場に着き、実家に直行しました。久々の凍り付いた道に何度もコケそうになりました。都内よりも十五度は低かったでしょう。温かい冬に慣れてしまった身体にはキツイ寒さでした。夕方の空は重く垂れさがり、今にも雪が降ってきそうでした。
実家に着き、母とろくに話もしないままお願いしておいた礼服に着替え、母と一緒にタクシーでヤマギシ君の実家に向かいました。
「これ、ちょっとキツいんだけど。特にお尻・・・」
「んもう。ガマンしなさい。お隣の娘さんの、無理して借りて来たんだから。・・・でもそろそろあんたも一着作っておいた方がいいわね。これからなにかと着ることもあるでしょうし・・・。」
冬の陽は落ちるのが早く、年末の街は気忙しげに凍り付いていました。
彼の家に行くのは初めてでした。
このあたりの標準的な家よりはるかに大きく、もちろん、わたしの実家より大きな立派な洋風のおうちでした。
よくお葬式の出た家にあるような黒白の幕や花環はありませんでした。控えたという言葉が似あうほど、玄関先はひっそりと静まり返っていました。葬儀社が用意したものでしょう、山岸家の名前が入った行灯と微かに漂ってくるお線香の香りがなければ、その家に不幸があったことさえわからないような佇まいでした。羽田を出る時に高校時代の親しかった二三の級友には電話をしましたが、もう誰もいませんでした。わたしの到着が遅すぎ、みんなもう帰ってしまったのでしょう。
玄関の前の雪避け、北の国の家には必ずある玄関フードに入る前に靴の雪を落とし、中に入ってコートを脱ぎ、呼び鈴を鳴らしました。
彼のお母さんと思しき、憔悴した喪服の女性が応対してくれました。穏やかで落ち着いた風情の人でした。
「ハヤカワでございます。・・・この度は・・・」
母の口上に合わせてわたしも並んで頭を下げました。
「遠い所をわざわざありがとうございます・・・」
奥から、イブ・モンタンの歌う、古いシャンソンが流れて来ていました。
Quand nous chanterons le temps des cerises,
Et gai rossignol, et merle moqueur
Seront tous en fête !
Et dame Fortune, en m'étant offerte
Ne saurait jamais calmer ma douleur...
J'aimerai toujours le temps des cerises
Et le souvenir que je garde au Coeur !
我々がさくらんぼの実る季節を迎えるころには
サヨナキドリも、マネツグミも
皆が浮かれていることだろう!
運命の女神が、私に与えられたとしても
私のこの傷は到底、癒されないことだろう
私は、さくらんぼの実る季節を愛し続ける
そして、心にしまい込んでいるあの思い出も!
白い壁に黒いドア。磨き込まれた黒い木の床。わたしの実家とは全く違う、「上品」とか、「気品」とか、「瀟洒」とかいう形容詞の似合う家でした。漂ってくるお線香の匂いもお寺で嗅ぐのとは違う、とこか気品のある香りでした。その曲は玄関を上がってすぐのドアの中から聞こえて来ていました。
それは珍しい祭壇でした。無宗教というのでしょうか。ごく普通のリビングに白木の棺を安置する台が設けられて、両側に灯りがともっているだけ。棺の前の献花台に写真があり、その横に仏式の香炉もありました。
写真は高校の卒業写真を引き伸ばしたものでした。彼は隣のクラスでしたが、出来上がったアルバムの集合写真で、彼だけがムッツリしていたのでよく覚えていました。
「他の方や風景の写真はたくさんあるのに、息子のものがほとんど残っていませんで・・・」
まずお焼香をさせていただき、手を合わせました。
壁際のサイドボードの上にステレオセットがあり、彼のおばあさんと思しき上品な老婦人がレコードが終わる度に何度も針を戻し、同じ曲をかけ続けていました。おばあさんと目が合い。深く頭を垂れました。どこかヤマギシ君の面影が垣間見える女性でした。
「あの、・・・お顔を見せてもらってもいいですか」
お母さんに尋ねると。彼女は目を落としました。
「実はさっきまで今回お世話になった出版社の方がいらしてたんです。息子の遺体の収容から現地の病院、飛行機で運んでここに安置するまで・・・。全て手配してくださった方なんです。その方のお話によりますと、亡くなったのはもう一週間も前で、でも収容するのに四日かかったんだそうです。その間に遺体の傷みが酷くなったらしくて・・・。とてもご対面いただける状態ではないんです」
もともと色白の方だったのだと思いましたが、お母さんの肌は白を通り越して蒼ざめていました。それ以上お話しいただくのが忍びなくなるくらいに。
「亡くなった場所が地雷原だったらしいんです」
「地雷原?」
平和な日本に住むわたしにはあまりにも馴染みのない言葉でした。
「・・・それで、収容するのに作業する方々の安全を確保する関係で手間がかかって・・・。日本よりは気温もだいぶ高い土地柄と伺いました。それに、野生動物にも・・・。それで傷みが酷くなってしまったと。そんなことを、お伺いしました」
「・・・それは・・・」
ヤマギシ君のお母さんはもう何度も同じ質問をされてその都度同じ説明を繰り返していたのでしょう。聴いていた母も言葉を失い、ただ頭を低くしているしかなかったと思います。
最期にヤマギシ君を見たのは新宿の地下鉄に降りてゆく彼の後ろ姿でした。
もしあの時、無理やりにでも引き留めて無理やりにでも告白させて、無理やりにでもホテルに連れ込んで無理やりにでも押し倒して彼の童貞を奪ってさえいれば・・・。
何故そんな不謹慎なことを思ったのか全く分かりません。でも、もしわたしがその時した、不謹慎極まりない妄想が現実になっていたら、彼とはこんな白木の箱を隔てて対面しなくても済んだはずでは・・・。その後幾度もそんな考えに襲われて落ち込んだものです。
「ミオさん・・・」
「・・・はい」
「ちょっと、いいかしら。・・・あ、お義母さん。ミオさんのお母様にハーブティーでもお出ししていただけないかしら」
お母さんはわたしを彼の部屋に案内してくれるというのです。
「ミオ。待ってるから、行っておあげなさい」
母もそう言ってくれました。
「あの子が高校を卒業してからそのままにしてあるんです」
主を失った、亡くなった人の部屋というものに入ったのはそれが最初でした。入り口で戸惑っていると「どうぞ」と勧められ、中に入りました。
正面の大きな窓の横に濃いグリーンのカバーで覆われたベッドがあり、反対側に机があるありふれた六畳間でした。ただ、普通の男の子の部屋にあるようなポスターとか記念のペナントとかワシオ君の部屋にあったようなタペストリーなりのような、彼の嗜好や思想なんかを示すような装飾が全くなく、机の上の高校時代の参考書や教科書やラジカセが無ければ独房と変わらないんじゃないかと思ったほど、素っ気なかったのが意外でした。少なくとも江古田の下宿には彼が気に入った広告のポスターがあり、自分で撮ったらしき写真を引き伸ばしたものがあり、暗室まで備えていたのを知っていたので、そこが彼の部屋だと言われてもどこか違和感が拭えませんでした。
「殺風景な部屋でしょう」
そう言いながらお母さんはベッドのそばに膝をつきました。自然にわたしもそこに正座しました。
「全然電話も寄越さないし、上京してから二度ほどは帰っては来たんですが、一泊ぐらいしてすぐ戻ってしまって・・・。便りのないのはいい便りだと思い込もうとしてましたが、気がついたらこんなことに・・・」
声を詰まらすこともなく、お母さんは淡々と語りました。もう涙は枯れ果てたのでしょう。目頭を抑えすぎたのか、そこだけファウンデーションが剥げていたのをよく覚えています。
「少し前、手紙を寄越してたんです。普段そんなことする子じゃなかったんですけど、とってもいいのが撮れた、現地の人も優しいし、なにより子供たちの笑顔がいいんだ。戦争が終わってみんなホッとした顔をしてて、それが最高なんだ、なんて・・・。
それが・・・。
最初は事故だとしか言われてなくて。知らせを受けてからすぐにでも現地へ行くつもりでおりました。だけど、先ほどお話ししたように、たとえ向こうに行ったところで政府だか現地の警察だかの指示がないと現場に行けないと。同じ足止めになるなら、はっきりしたことが分かるまで日本にいた方がいいと。出版社の方にそう言われたもので・・・」
ふいに彼女はベッドの下の物入を引き出しました。それは青く塗られたトタンの衣装箱でした。わたしは膝を進めました。
蓋が開けられ、中が見えました。入っていたのは手紙類と写真でした。
「恥を忍んで申し上げますが、あの子が何を考えていたのか、何を求めていたのか。親なのにちっともわかっていなかったんです。趣味で写真を撮ってたのは知ってましたし、写真を教えて下さる大学にも入れました。好きなことならやりたいだけやらせてやろうと。
でもまさか本気で写真家になろうとしてたなんて、外国にまで写真を撮りに行ってたなんて思わなかったの。連絡を待つ間、不安でたまらなくなって、でも、どうすることも出来ないし、部屋を掃除したりして気を紛らわせていたの。それで、これを見つけたの」
お母さんはその中の一つの束をとりだしました。
「あの子のことを知りたくて、中を改めようかと思ったのだけれど。でもあの子が無事に還ってきたら怒ると思ってそのままにしておいたの。
それに、これはあなたに託すべきじゃないかって思うの。もし迷惑でなかったら、受け取ってくれないかしら・・・」
帰りのタクシーで、母は一言もしゃべりませんでした。
ですが、家に着いてストーブの火を入れるや、
「おばあさんから伺ったけど、お父さんを早くに亡くして子供はヤマギシ君だけだったんだってね。お気の毒にね。あの家は、絶えちゃうわね・・・」
そう、母は言いました。
実家に着き、母とろくに話もしないままお願いしておいた礼服に着替え、母と一緒にタクシーでヤマギシ君の実家に向かいました。
「これ、ちょっとキツいんだけど。特にお尻・・・」
「んもう。ガマンしなさい。お隣の娘さんの、無理して借りて来たんだから。・・・でもそろそろあんたも一着作っておいた方がいいわね。これからなにかと着ることもあるでしょうし・・・。」
冬の陽は落ちるのが早く、年末の街は気忙しげに凍り付いていました。
彼の家に行くのは初めてでした。
このあたりの標準的な家よりはるかに大きく、もちろん、わたしの実家より大きな立派な洋風のおうちでした。
よくお葬式の出た家にあるような黒白の幕や花環はありませんでした。控えたという言葉が似あうほど、玄関先はひっそりと静まり返っていました。葬儀社が用意したものでしょう、山岸家の名前が入った行灯と微かに漂ってくるお線香の香りがなければ、その家に不幸があったことさえわからないような佇まいでした。羽田を出る時に高校時代の親しかった二三の級友には電話をしましたが、もう誰もいませんでした。わたしの到着が遅すぎ、みんなもう帰ってしまったのでしょう。
玄関の前の雪避け、北の国の家には必ずある玄関フードに入る前に靴の雪を落とし、中に入ってコートを脱ぎ、呼び鈴を鳴らしました。
彼のお母さんと思しき、憔悴した喪服の女性が応対してくれました。穏やかで落ち着いた風情の人でした。
「ハヤカワでございます。・・・この度は・・・」
母の口上に合わせてわたしも並んで頭を下げました。
「遠い所をわざわざありがとうございます・・・」
奥から、イブ・モンタンの歌う、古いシャンソンが流れて来ていました。
Quand nous chanterons le temps des cerises,
Et gai rossignol, et merle moqueur
Seront tous en fête !
Et dame Fortune, en m'étant offerte
Ne saurait jamais calmer ma douleur...
J'aimerai toujours le temps des cerises
Et le souvenir que je garde au Coeur !
我々がさくらんぼの実る季節を迎えるころには
サヨナキドリも、マネツグミも
皆が浮かれていることだろう!
運命の女神が、私に与えられたとしても
私のこの傷は到底、癒されないことだろう
私は、さくらんぼの実る季節を愛し続ける
そして、心にしまい込んでいるあの思い出も!
白い壁に黒いドア。磨き込まれた黒い木の床。わたしの実家とは全く違う、「上品」とか、「気品」とか、「瀟洒」とかいう形容詞の似合う家でした。漂ってくるお線香の匂いもお寺で嗅ぐのとは違う、とこか気品のある香りでした。その曲は玄関を上がってすぐのドアの中から聞こえて来ていました。
それは珍しい祭壇でした。無宗教というのでしょうか。ごく普通のリビングに白木の棺を安置する台が設けられて、両側に灯りがともっているだけ。棺の前の献花台に写真があり、その横に仏式の香炉もありました。
写真は高校の卒業写真を引き伸ばしたものでした。彼は隣のクラスでしたが、出来上がったアルバムの集合写真で、彼だけがムッツリしていたのでよく覚えていました。
「他の方や風景の写真はたくさんあるのに、息子のものがほとんど残っていませんで・・・」
まずお焼香をさせていただき、手を合わせました。
壁際のサイドボードの上にステレオセットがあり、彼のおばあさんと思しき上品な老婦人がレコードが終わる度に何度も針を戻し、同じ曲をかけ続けていました。おばあさんと目が合い。深く頭を垂れました。どこかヤマギシ君の面影が垣間見える女性でした。
「あの、・・・お顔を見せてもらってもいいですか」
お母さんに尋ねると。彼女は目を落としました。
「実はさっきまで今回お世話になった出版社の方がいらしてたんです。息子の遺体の収容から現地の病院、飛行機で運んでここに安置するまで・・・。全て手配してくださった方なんです。その方のお話によりますと、亡くなったのはもう一週間も前で、でも収容するのに四日かかったんだそうです。その間に遺体の傷みが酷くなったらしくて・・・。とてもご対面いただける状態ではないんです」
もともと色白の方だったのだと思いましたが、お母さんの肌は白を通り越して蒼ざめていました。それ以上お話しいただくのが忍びなくなるくらいに。
「亡くなった場所が地雷原だったらしいんです」
「地雷原?」
平和な日本に住むわたしにはあまりにも馴染みのない言葉でした。
「・・・それで、収容するのに作業する方々の安全を確保する関係で手間がかかって・・・。日本よりは気温もだいぶ高い土地柄と伺いました。それに、野生動物にも・・・。それで傷みが酷くなってしまったと。そんなことを、お伺いしました」
「・・・それは・・・」
ヤマギシ君のお母さんはもう何度も同じ質問をされてその都度同じ説明を繰り返していたのでしょう。聴いていた母も言葉を失い、ただ頭を低くしているしかなかったと思います。
最期にヤマギシ君を見たのは新宿の地下鉄に降りてゆく彼の後ろ姿でした。
もしあの時、無理やりにでも引き留めて無理やりにでも告白させて、無理やりにでもホテルに連れ込んで無理やりにでも押し倒して彼の童貞を奪ってさえいれば・・・。
何故そんな不謹慎なことを思ったのか全く分かりません。でも、もしわたしがその時した、不謹慎極まりない妄想が現実になっていたら、彼とはこんな白木の箱を隔てて対面しなくても済んだはずでは・・・。その後幾度もそんな考えに襲われて落ち込んだものです。
「ミオさん・・・」
「・・・はい」
「ちょっと、いいかしら。・・・あ、お義母さん。ミオさんのお母様にハーブティーでもお出ししていただけないかしら」
お母さんはわたしを彼の部屋に案内してくれるというのです。
「ミオ。待ってるから、行っておあげなさい」
母もそう言ってくれました。
「あの子が高校を卒業してからそのままにしてあるんです」
主を失った、亡くなった人の部屋というものに入ったのはそれが最初でした。入り口で戸惑っていると「どうぞ」と勧められ、中に入りました。
正面の大きな窓の横に濃いグリーンのカバーで覆われたベッドがあり、反対側に机があるありふれた六畳間でした。ただ、普通の男の子の部屋にあるようなポスターとか記念のペナントとかワシオ君の部屋にあったようなタペストリーなりのような、彼の嗜好や思想なんかを示すような装飾が全くなく、机の上の高校時代の参考書や教科書やラジカセが無ければ独房と変わらないんじゃないかと思ったほど、素っ気なかったのが意外でした。少なくとも江古田の下宿には彼が気に入った広告のポスターがあり、自分で撮ったらしき写真を引き伸ばしたものがあり、暗室まで備えていたのを知っていたので、そこが彼の部屋だと言われてもどこか違和感が拭えませんでした。
「殺風景な部屋でしょう」
そう言いながらお母さんはベッドのそばに膝をつきました。自然にわたしもそこに正座しました。
「全然電話も寄越さないし、上京してから二度ほどは帰っては来たんですが、一泊ぐらいしてすぐ戻ってしまって・・・。便りのないのはいい便りだと思い込もうとしてましたが、気がついたらこんなことに・・・」
声を詰まらすこともなく、お母さんは淡々と語りました。もう涙は枯れ果てたのでしょう。目頭を抑えすぎたのか、そこだけファウンデーションが剥げていたのをよく覚えています。
「少し前、手紙を寄越してたんです。普段そんなことする子じゃなかったんですけど、とってもいいのが撮れた、現地の人も優しいし、なにより子供たちの笑顔がいいんだ。戦争が終わってみんなホッとした顔をしてて、それが最高なんだ、なんて・・・。
それが・・・。
最初は事故だとしか言われてなくて。知らせを受けてからすぐにでも現地へ行くつもりでおりました。だけど、先ほどお話ししたように、たとえ向こうに行ったところで政府だか現地の警察だかの指示がないと現場に行けないと。同じ足止めになるなら、はっきりしたことが分かるまで日本にいた方がいいと。出版社の方にそう言われたもので・・・」
ふいに彼女はベッドの下の物入を引き出しました。それは青く塗られたトタンの衣装箱でした。わたしは膝を進めました。
蓋が開けられ、中が見えました。入っていたのは手紙類と写真でした。
「恥を忍んで申し上げますが、あの子が何を考えていたのか、何を求めていたのか。親なのにちっともわかっていなかったんです。趣味で写真を撮ってたのは知ってましたし、写真を教えて下さる大学にも入れました。好きなことならやりたいだけやらせてやろうと。
でもまさか本気で写真家になろうとしてたなんて、外国にまで写真を撮りに行ってたなんて思わなかったの。連絡を待つ間、不安でたまらなくなって、でも、どうすることも出来ないし、部屋を掃除したりして気を紛らわせていたの。それで、これを見つけたの」
お母さんはその中の一つの束をとりだしました。
「あの子のことを知りたくて、中を改めようかと思ったのだけれど。でもあの子が無事に還ってきたら怒ると思ってそのままにしておいたの。
それに、これはあなたに託すべきじゃないかって思うの。もし迷惑でなかったら、受け取ってくれないかしら・・・」
帰りのタクシーで、母は一言もしゃべりませんでした。
ですが、家に着いてストーブの火を入れるや、
「おばあさんから伺ったけど、お父さんを早くに亡くして子供はヤマギシ君だけだったんだってね。お気の毒にね。あの家は、絶えちゃうわね・・・」
そう、母は言いました。
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