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番外編、〇〇とゆい
はとことゆい 5
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「そら~まお~」
圭吾と翔が家に着くと、真っ先にそらとまおは翔の元へ向かう。
「ままっ!」
そらもまおも、一週間という子どもには長すぎる時間を母親と離れて過ごした。
態度には出さずとも、きっと母親の帰らぬ夜はとても不安だっただろう。
翔は我が子を愛おしく抱きしめた。
圭吾は翔のキャリーバッグを抱え、零が用意した新聞紙の上にそれを置く。
母子の感動の再会に水を差さぬよう、
圭吾と零と唯の3人は部屋へ戻った。
「圭ちゃんと零くん、一週間ほんとにありがとね。
おかげで商談も上手くいったよ」
安心、といった様子で、圭吾も零も嬉しく思った。
「そらもまおも、いい子にしてた?」
先程から翔にくっついて離れない二人は、
今も尚ぎゅっと抱きしめている。
「そらちゃんは甘えん坊さんだったね~。
まおくんはゆいのお兄ちゃんしてくれてたね」
零が代わりに答える。
「え、そら甘えん坊さんだったの?!
ごめんね、迷惑かけてない…?」
翔が心配そうに聞いた。
「いえいえ、むしろいざという時にはすごくしっかりしてて、僕も助かっちゃいました」
えへへ、と照れるそらは、とてもうれしそう。
「ていうか、今気づいたけどこれ、もしかして俺の…?」
翔はくっつき虫の二人に気を取られ、部屋の飾りに今頃気づいたようだ。
「うん、翔くん一週間出張お疲れ様ってことで、零が考えてみんなも手伝ってくれたんだよね」
圭吾が言うと、翔は泣きそうに目をうるうるとさせ、
「なにそれめちゃくちゃうれしい…。
実を言うと、一週間ほんとに大丈夫かなって心配だったから…。
それに突然押しかけちゃって二人にも迷惑だったんじゃないかって…」
堪えきれず涙を流した翔に、圭吾がティッシュを渡した。
お腹を痛めて産んだ我が子を、親戚とはいえ一週間も預けておくのは不安だっただろう。
圭吾と零は、一週間も誰かに預けてゆいと離れることになったら、耐えられるだろうか。
「ん!これおいしい」
翔は、大好物のグラタンをもぐもぐと食べている。
そらもまおもにこにこの笑顔で、
ままとたのしく一週間ぶりのお食事。
「そういえば、お腹の子何ヶ月だっけ?」
零のふくらんだお腹を見て、翔が聞いた。
「今5ヶ月です」
零が答えると、
「そっかー、やっぱり二人目となるとお腹もすぐ膨らむね。
ていうか、妊娠中で大変なのに一週間もありがとね、ほんと…」
翔は申し訳なさそうに、零のお腹に触れて
「あかちゃんも、騒がしくてごめんね。
元気に産まれてくるんだよ」
と言った。
「でも、ほんとそらちゃんとまおくんからは色々教わりましたよ」
ね、圭吾さん。と零。
「うん、やっぱり翔くんの育て方がいいんだろうねって二人で話してたんだよ」
そんなに褒めてもなにも、
と翔は言いかけ、
「あ、そうだお土産!」
と出張先の名物をくれた。
ゆいとそらとまおには、かわいいお揃いのキーホルダー。
「わあ、ゆいよかったね~。
翔さんにありがとしようね」
ゆいは、
「あいがとっ」
と言って零の後ろに隠れてしまった。
「え~、ゆいくん隠れちゃうの?」
ゆいは恥ずかしいようで、もじもじとしている。
「ほらほら、ゆい ちゃんとご飯食べるよ」
零に促され、ゆいは再び椅子に座った。
「てか、零くんめっちゃ料理上手い。
これも、これも全部美味しい~」
気に入ってもらえてよかったです、と零はお礼を言う。
グラタンはすぐになくなり、他の料理もあっという間に平らげてしまった。
「じゃあ、圭吾さんあれをお願いします」
うん、と圭吾は立ち上がり、冷蔵庫からなにやら美味しそうなものを持ってきた。
「わ!なに?!ケーキ??」
圭吾の手には、大きなホールケーキ。
「みんなで作ったんです。
クリームはそらちゃんが塗ってくれて、ゆいとまおくんはフルーツを挟んでくれたんだよね」
うん!ままみて~!とみんな大はしゃぎ。
零が切り分け、それぞれが好きなところを食べた。
「じゃあ、零くんも圭ちゃんも、それからゆいくんも、ありがとね。
また会おうね」
翔は二人に靴を履かせ、家を出る。
「そらちゃんもまおくんもまたおいでね。
今度はぜひ翔さんも泊まりに来てください」
うん、あかちゃん産まれたら会いに来るね!と3人は花嶺家を後にする。
ゆいとそらまおは、最後まで泣きそうになりながら、それでも耐えていた。
ゆいはみんなが見えなくなったのを確認すると、零に抱きついて大泣きする。
「ん~…ゆいも悲しいねえ…。
一週間も一緒にいたもんね」
でもまた会えるからね、と抱きしめ、ゆいはそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
圭吾と翔が家に着くと、真っ先にそらとまおは翔の元へ向かう。
「ままっ!」
そらもまおも、一週間という子どもには長すぎる時間を母親と離れて過ごした。
態度には出さずとも、きっと母親の帰らぬ夜はとても不安だっただろう。
翔は我が子を愛おしく抱きしめた。
圭吾は翔のキャリーバッグを抱え、零が用意した新聞紙の上にそれを置く。
母子の感動の再会に水を差さぬよう、
圭吾と零と唯の3人は部屋へ戻った。
「圭ちゃんと零くん、一週間ほんとにありがとね。
おかげで商談も上手くいったよ」
安心、といった様子で、圭吾も零も嬉しく思った。
「そらもまおも、いい子にしてた?」
先程から翔にくっついて離れない二人は、
今も尚ぎゅっと抱きしめている。
「そらちゃんは甘えん坊さんだったね~。
まおくんはゆいのお兄ちゃんしてくれてたね」
零が代わりに答える。
「え、そら甘えん坊さんだったの?!
ごめんね、迷惑かけてない…?」
翔が心配そうに聞いた。
「いえいえ、むしろいざという時にはすごくしっかりしてて、僕も助かっちゃいました」
えへへ、と照れるそらは、とてもうれしそう。
「ていうか、今気づいたけどこれ、もしかして俺の…?」
翔はくっつき虫の二人に気を取られ、部屋の飾りに今頃気づいたようだ。
「うん、翔くん一週間出張お疲れ様ってことで、零が考えてみんなも手伝ってくれたんだよね」
圭吾が言うと、翔は泣きそうに目をうるうるとさせ、
「なにそれめちゃくちゃうれしい…。
実を言うと、一週間ほんとに大丈夫かなって心配だったから…。
それに突然押しかけちゃって二人にも迷惑だったんじゃないかって…」
堪えきれず涙を流した翔に、圭吾がティッシュを渡した。
お腹を痛めて産んだ我が子を、親戚とはいえ一週間も預けておくのは不安だっただろう。
圭吾と零は、一週間も誰かに預けてゆいと離れることになったら、耐えられるだろうか。
「ん!これおいしい」
翔は、大好物のグラタンをもぐもぐと食べている。
そらもまおもにこにこの笑顔で、
ままとたのしく一週間ぶりのお食事。
「そういえば、お腹の子何ヶ月だっけ?」
零のふくらんだお腹を見て、翔が聞いた。
「今5ヶ月です」
零が答えると、
「そっかー、やっぱり二人目となるとお腹もすぐ膨らむね。
ていうか、妊娠中で大変なのに一週間もありがとね、ほんと…」
翔は申し訳なさそうに、零のお腹に触れて
「あかちゃんも、騒がしくてごめんね。
元気に産まれてくるんだよ」
と言った。
「でも、ほんとそらちゃんとまおくんからは色々教わりましたよ」
ね、圭吾さん。と零。
「うん、やっぱり翔くんの育て方がいいんだろうねって二人で話してたんだよ」
そんなに褒めてもなにも、
と翔は言いかけ、
「あ、そうだお土産!」
と出張先の名物をくれた。
ゆいとそらとまおには、かわいいお揃いのキーホルダー。
「わあ、ゆいよかったね~。
翔さんにありがとしようね」
ゆいは、
「あいがとっ」
と言って零の後ろに隠れてしまった。
「え~、ゆいくん隠れちゃうの?」
ゆいは恥ずかしいようで、もじもじとしている。
「ほらほら、ゆい ちゃんとご飯食べるよ」
零に促され、ゆいは再び椅子に座った。
「てか、零くんめっちゃ料理上手い。
これも、これも全部美味しい~」
気に入ってもらえてよかったです、と零はお礼を言う。
グラタンはすぐになくなり、他の料理もあっという間に平らげてしまった。
「じゃあ、圭吾さんあれをお願いします」
うん、と圭吾は立ち上がり、冷蔵庫からなにやら美味しそうなものを持ってきた。
「わ!なに?!ケーキ??」
圭吾の手には、大きなホールケーキ。
「みんなで作ったんです。
クリームはそらちゃんが塗ってくれて、ゆいとまおくんはフルーツを挟んでくれたんだよね」
うん!ままみて~!とみんな大はしゃぎ。
零が切り分け、それぞれが好きなところを食べた。
「じゃあ、零くんも圭ちゃんも、それからゆいくんも、ありがとね。
また会おうね」
翔は二人に靴を履かせ、家を出る。
「そらちゃんもまおくんもまたおいでね。
今度はぜひ翔さんも泊まりに来てください」
うん、あかちゃん産まれたら会いに来るね!と3人は花嶺家を後にする。
ゆいとそらまおは、最後まで泣きそうになりながら、それでも耐えていた。
ゆいはみんなが見えなくなったのを確認すると、零に抱きついて大泣きする。
「ん~…ゆいも悲しいねえ…。
一週間も一緒にいたもんね」
でもまた会えるからね、と抱きしめ、ゆいはそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
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