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もしものふたり

仲直りのプリンアラモード

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※もしものふたり の世界線です。

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「零くん、美味しい?」
零は怒ったままの表情で、
ラスクをボリボリと食べている。
こんなに感情を出す子だったんだな、と圭吾は思った。
「…美味しいはずですよ、怒ってなければですけどね」
零は圭吾の分のラスクにも手を出し、
冷たいミルクティーを飲む。
「ごめんって…ほんとに」
圭吾は先程から謝り倒している。
零はその度にぷんすかと音が出そうなくらいほっぺたを膨らませ、次から次へと甘いものを注文している。
「…なんで避けたりなんかしたんですか」
いっぱい甘いものを食べて少し落ち着いたのか、零はミルクティーを一口含むと圭吾にそう聞いた。
「なんでって、零くんを諦めるためだよ。
あんなに若くてかっこいい男の人が隣にいるのに、勝ち目なんてないよ。
それに、零くんも俺の気持ちに気づいてたでしょ?」
圭吾は冷静にそう言うと、零のミルクティーを飲む。
「あ、それ僕の…。
じゃなくて、なんで気づいてるってわかってて何も言わなかったんですか!
僕、ずっと待ってたんですよ。
デートに誘われる度に、今か今かと、ずっと…」
零は俯いて悲しそうな表情をし、そしてまたぷくぅ、とほっぺたを膨らませる。
風船になって飛んでいってしまいそうだ。
「…自信がなかったんだよ。
それに、好きな男がいるだなんて言うから。
そんなの聞いて、その、亮くん?って人と一緒にいるのを見たら、勘違いもするよ」
俺なんかより何倍もかっこよかったから。
と圭吾。
零は怒り続けることに疲れたのか、
ぽろりと涙を零した。
「僕、もうこんな言い合いみたいなことしたくない…。
せっかく久しぶりに圭吾さんと会えたのに、こんなんじゃ意味ない…」
圭吾は次から次へと涙をこぼす零の傍へ行き、背中をさする。
 会えなかった間、この子はどれだけ悲しい思いをしたのだろう。
どれだけの勇気を振り絞って、今日のプラネタリウムに誘ってくれたのだろう。
圭吾は自分の愚かさに落胆した。
それと同時に、自分のことで一喜一憂して涙まで流す零を、心から愛おしいと思った。
「ねえ零くん、プリンアラモードだって。
これ食べて、仲直りしよっか」

店員が運んできたプリンアラモードは、予想以上にボリューミーだった。
真ん中のプリンには生クリームが搾られ、
その周りにはお花畑のようにたくさんのフルーツが囲んでいる。
「さくらんぼ、圭吾さんにあげます」
泣いて目を赤くした零が、ズビッ、と鼻をすすり、圭吾にさくらんぼを差し出す。
「いやいや、零くんが食べてよ。
お詫びも兼ねて…」
圭吾が言うと、待ってましたとばかりの素早さで零は口に放り込んだ。
やっぱり、かわいい。
それでもさすがにお腹がいっぱいになったのか、結局残りのプリンアラモードは全て圭吾の胃に納まった。

「ありがとう、許してくれて」
帰り道で圭吾が言うと、もう、今回だけですからねっ!と甘いものを沢山食べて上機嫌になった零は、ぴょんぴょんと跳ねるようにして駅まで歩いたのだった。

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本編よりも何歳か若い零は、子どもっぽくてかわいいですね。
あと少し続きます。
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