黒虎の番

月夜の庭

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小虎にペン

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帰ろうと屋根の上をテチテチと歩いていると、ジュブナイルの隣の部屋から明かりが漏れていた。


そ~っと上から顔だけを下ろして覗き込むと、黄色味が強い金髪のイケメンがジュブナイルの部屋がある方の壁を恐い顔で睨み付けていました。


寝巻きなのかシンプルな白いシャツに、腰を紐で縛るタイプの緩いズボンを履いた姿でベッドに座り、ただ黙って壁を睨み付けている。


傍らに立て掛けられた金色の装飾がケバケバしい剣が見えるから、このイケメンが勇者らしい。


『それにしても正統派の王子様並のイケメン勇者が、なんでジュブナイルの部屋の方を睨み付けているの?』


しばらく観察していると、疲れたように溜息をつきながら頭を乱暴にガシガシも掻きむしるとボスンと音を立ててベッドに寝転んだ。


目を閉じている顔は正統派王子の様に少し細めの眉毛で優しげな目元の睫毛は長く、通った鼻筋の下の薄い唇は、ほんのりピンク色をしている。


頭に血が登るとも忘れて、身を乗り出して見ていると、不意に開いた目が窓を見たので慌てて頭を上げるけど、部屋の空気が動いた気配はしなかった。


『あっぶな………一瞬だけど目が合ったかと思った』


このまま観察するのも危険な気がするので、次の部屋に移動してみた。


肉球で足音を消しながらズンズン歩くぞ~♡


ヒタヒタ………ヒタヒタ………あちし足短い。


距離も、あんまり進んでない気がする。


くっ悔しくなんかないもん………悔しくなんか………チッ。


神獣でホワイトタイガーなはずなにの、ただの子猫感が半端ない。


きっ………気を取り直して、アンちゃんに報告書を書こうかなって取り出した紙は、額の宝石に入っていました。



額の石の中に色々な物を出し入れできます。


最初は、石の中に入ってる?それとも頭?とか考えたら怖くなってきたので、深く考えたら負けだと感じて、便利だな~って気楽に使う事にしていた。


ペンも取り出したけど………持てない。


肉球と毛が邪魔してペンを挟むことも出来ない………マジか。


しかも羽根ペンって、インクは何処に収納されているの?


これって、もしかしなくてもツケペン?


oh………猫に小判ならぬ、虎に羽根ペン………チーン。


インクを出しても書ける気がしない。


腹が立ったので魔力と見た記憶を込めて、肉球スタンプをかましてやる!


ペタッ


すると肉球スタンプがジワジワ広がって、調査報告が完成した。


『なんだよ!ペン要らないじゃん!!』










○月✕日

部屋着の勇者が恐い顔でジュブナイルの部屋がある方の壁を睨み付けていました。


金髪イケメン台無し~っ。


ジュブナイルの話では、魔王よりもアンちゃんとあちしに興味深々らしいです。












あちし、やれば出来る子………エッヘン。


でも雰囲気的に”○月✕日まるがつばつにち”って書いたけど、そもそも この世界では時間はあっても、暦という習慣は無い。

ここは1日目に書き直そうかな。


修正って、どうやるの?


…………………まいっか!今度は日付がなくても、それっぽく見える様にノートを持ってこようかな。



その日、あちしは初めてアンちゃんに勇者観察の報告書を書きました。
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