黒虎の番

月夜の庭

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肉球とノート

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アンちゃんに相談したら、綺麗な背表紙が付いている本みたいなノートをくれました。


青い皮の背表紙に金の模様が施された………豪華過ぎるノート。


「ところでビアンカは、この報告をどうやって書いたのかしら?」


『気になる?』


「えぇ、ビアンカの可愛いらしいモフモフの手で書いたとは………物理的にありえませんもの」


ですよね。


『この紙ちょうだい』


近くに書き損じの紙があったので裏を使わせてもらった。


テシテシ………あれ?紙が掴めない?片手の肉球で押さえて………もう片方の手を滑り込ませ………られない?!なん…だと…?


試行錯誤しながらひっくり返すと、キラキラした目でアンちゃんとラファエルが見ていた。


『なぁに?』


コテっと首を傾げると、アンちゃんが顔を赤くしながらプルプル震え出し、ラファエルが上を向いて口を手で押さえた。


「ビアンカが可愛いらし過ぎて辛いわ」


「もう勇者なんてジュブナイルに任せとけば良いのでは?こんなに愛らしいビアンカ様に何か有ったら………………想像しただけで泣きそうです」


「とりあえず鼻血を拭きなさい。気持ちは分かるけど」


「はい」


なんかブツブツ2人で言ってるけど、いまいち聞き取れないなぁ。


『そんじゃ書くね』


肉球スタンプ、スタンバイ。


高く上げた(つもりの短い)前足。


『……………』


「どうしたのかしら?」


『何書く?』


「では詩とか」


うーんと考えながらラファエルが提案してきた。


”し”?………志じゃないか………死だったら、お前がなって返してやる………分かってる!ポエムだろう?!


作った事ないし!


こうなったら仕方ない。


エイッと魔力を込めて肉球スタンプすると、ジワジワと紙いっぱいに大きく”シ”と書いてやった。


「ぷっ」


「えぇ?!」


アンちゃんが吹き出し、ラファエルが不満げです。


『ポエムなんて無理だにょ』


「ふふふっ間違いではないわね」


『でしょ~っ、本当は小さな”し”をビッシリと迷ったんだよ』


「それはそれで見てみたかったわね」


「ビアンカ様、私が愛読している詩集を『そもそも本と肉球の相性が悪いんだって!』」


1枚の紙をひっくり返すだけで一苦労………観察日記って無理じゃね?


『あちし、観察日記を書けないかも。せっかくノートを用意して貰ったのに』


やれば出来る子を返上しなくちゃダメそうで、しゅんと肩を落として落ち込んでいると、プルプル震えていたアンちゃんに、ギューっと抱き寄せられた。


「ビアンカが可愛すぎる」


『あちし、駄目な子』


「そんな事ないわ。小さな身体で、よく頑張ってくれていて、とても助かっておりますわ」


『ほんと?』


「えぇ」


『アンちゃん好き♡』


「ビアンカっ♡」


スリスリと擦り寄っていると、呆れた声で「私の存在を忘れないで欲しいです」って聞こえたけど無視です。


今はアンちゃんとのラブラブTimeなので、邪魔はさせないんだから。


とりあえずノートは使っても使わなくても良いと貰う事になりました。


その代わりに綺麗な便箋よりも小さな紙の束を貰いました。


こまめにメモして魔法でアンちゃんに送る事になりました。
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