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「ゼロから千まで」42話
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「ゼロから千まで」42話
千歳が学校に着いた頃には夕日は既に落ちかかっていた。昇降口で自分の靴を置くのもなんだか久しぶりで、懐かしく感じた。まるで自分だけOBにでもなったような気分であった。周りを見渡したが、下級生や先輩ばかりで同級生はあまり見かけなかった。
いつも大きくてどこにいても聞こえる二葉たちの声も聞こえず、千歳は先に職員室へ向かった。職員室もみんな変わっておらず、みんなの服装がセーターを着たりと少し厚手になってるくらいだった。千歳は担任の先生を見つけると、彼のデスクの前まで歩いて行った。先生は目の前に突然、制服の女子が現れてようやく顔を上に向ける。目が合ったので、千歳は笑いながら「先生ぇ、お久しぶりー」と挨拶する。いつもだったら千歳のわんぱくっぷりに辟易していた先生の顔がくしゃりと歪んだ。
「永遠!!元気にしてたか!」
先生の見たことのない表情に千歳が面食らっていると、先生は瞼に涙を溜めながら千歳の肩をポンポンと叩く。
「本当はクラスのみんなで見舞いに行きたかったんだが、あのニュースで騒ぎだろ?自重してたんだ。」
あまりにも普段の先生の態度と雲泥の差に千歳はどうしたら良いか分からず、乾いた笑いが漏れ出る。先生が手で顔を押さえ、涙を止めようとしているのを呆然と眺めながら「ねぇ、先生。書類は?」と訊くと、先生は涙声で「二階の奥にある多目的教室あるだろ?あそこに置いてる。」と答えた。酷い涙声で少し聞き取り辛かったが、概ねそんなものだろうと思い、千歳は踵を返した。
「場所わかるか?先生も一緒に行くぞ。」
「別にいい。」
千歳を保育園の子どもか何かと思ってる感じはいつもの先生だったので、千歳は内心ホッとしつつ職員室のドアを閉めた。
廊下に出ると、みんな部活や教室で文化祭の準備をしているのか、案外生徒たちは見当たらなかった。千歳は両手を頭の後ろに持って行きつつ物思いに耽る。すっかり忘れていたが、自分がとんでもない事件に巻き込まれたんだということをさっきの担任の反応を見て実感を持ち始める。
階段をゆっくり上って自分たちのクラスがある廊下を通る。教室をチラリと覗くとみんな文化祭の準備をしていた。ある者たちは忙しくダンボールを切ったり貼ったりと作業をしていて、ある者たちは手を止めて友人たちとお喋りをしている。そんな同級生たちを羨ましく思いながら千歳は廊下を歩いて奥に進んだ。
廊下の奥にはひっそりと汚れたプレートで多目的教室と書かれてあった。
千歳が扉を開けると、電気が点いておらず、窓がないので外の光も入らない為、中は真っ暗だった。不気味に感じたが、扉を開けたことにより入った光で机に何やら用紙が置かれてあるのが見えた。千歳は照明を点けようとスイッチを探しに中へ入った。壁を触りながら探したが、よく見つけられない。すると、探すのに集中していたからか、履いていたサンダルが脱げてしまった。暗いのでサンダルがどこにあるのかよく見えない。面倒だな、と思いながら千歳は身を屈めた。
その瞬間、自分のすぐ頭の上に大きな音と衝撃が走った。
千歳が学校に着いた頃には夕日は既に落ちかかっていた。昇降口で自分の靴を置くのもなんだか久しぶりで、懐かしく感じた。まるで自分だけOBにでもなったような気分であった。周りを見渡したが、下級生や先輩ばかりで同級生はあまり見かけなかった。
いつも大きくてどこにいても聞こえる二葉たちの声も聞こえず、千歳は先に職員室へ向かった。職員室もみんな変わっておらず、みんなの服装がセーターを着たりと少し厚手になってるくらいだった。千歳は担任の先生を見つけると、彼のデスクの前まで歩いて行った。先生は目の前に突然、制服の女子が現れてようやく顔を上に向ける。目が合ったので、千歳は笑いながら「先生ぇ、お久しぶりー」と挨拶する。いつもだったら千歳のわんぱくっぷりに辟易していた先生の顔がくしゃりと歪んだ。
「永遠!!元気にしてたか!」
先生の見たことのない表情に千歳が面食らっていると、先生は瞼に涙を溜めながら千歳の肩をポンポンと叩く。
「本当はクラスのみんなで見舞いに行きたかったんだが、あのニュースで騒ぎだろ?自重してたんだ。」
あまりにも普段の先生の態度と雲泥の差に千歳はどうしたら良いか分からず、乾いた笑いが漏れ出る。先生が手で顔を押さえ、涙を止めようとしているのを呆然と眺めながら「ねぇ、先生。書類は?」と訊くと、先生は涙声で「二階の奥にある多目的教室あるだろ?あそこに置いてる。」と答えた。酷い涙声で少し聞き取り辛かったが、概ねそんなものだろうと思い、千歳は踵を返した。
「場所わかるか?先生も一緒に行くぞ。」
「別にいい。」
千歳を保育園の子どもか何かと思ってる感じはいつもの先生だったので、千歳は内心ホッとしつつ職員室のドアを閉めた。
廊下に出ると、みんな部活や教室で文化祭の準備をしているのか、案外生徒たちは見当たらなかった。千歳は両手を頭の後ろに持って行きつつ物思いに耽る。すっかり忘れていたが、自分がとんでもない事件に巻き込まれたんだということをさっきの担任の反応を見て実感を持ち始める。
階段をゆっくり上って自分たちのクラスがある廊下を通る。教室をチラリと覗くとみんな文化祭の準備をしていた。ある者たちは忙しくダンボールを切ったり貼ったりと作業をしていて、ある者たちは手を止めて友人たちとお喋りをしている。そんな同級生たちを羨ましく思いながら千歳は廊下を歩いて奥に進んだ。
廊下の奥にはひっそりと汚れたプレートで多目的教室と書かれてあった。
千歳が扉を開けると、電気が点いておらず、窓がないので外の光も入らない為、中は真っ暗だった。不気味に感じたが、扉を開けたことにより入った光で机に何やら用紙が置かれてあるのが見えた。千歳は照明を点けようとスイッチを探しに中へ入った。壁を触りながら探したが、よく見つけられない。すると、探すのに集中していたからか、履いていたサンダルが脱げてしまった。暗いのでサンダルがどこにあるのかよく見えない。面倒だな、と思いながら千歳は身を屈めた。
その瞬間、自分のすぐ頭の上に大きな音と衝撃が走った。
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