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不安も食べて*

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(大きい、すごい……)
 星來にはそれがどんどん大きくなって行くのが分かるが、内側から広げられているからか、形を星來に合わせてくれているのか、痛みも苦しみも感じない。
 隅々までリヒトが細心の注意を払ってしているのが分かる。

 腸内をみっしり埋められたと思ったら、中でうねり始めた。
 それは人間では出来ない動きだ。
 バイブでも、こんなのは無い。
 前立腺も腸壁も一緒に、波打つように刺激されて星來は喘ぐ。

 気持が良い、凄く気持が良いのだが、何かが足りないのだ。

(奥、いっぱい突いて欲しい。もっと激しくして、リヒトさんの好きにして欲しい)
「良いですよ」
 リヒトの声が聞こえたと思ったら、腸の中を埋めていたものが、ズルズル……とギリギリまで引き抜かれた。
 そして、奥へ叩きつけられる。
 これがリヒトの体内でなければ、バチンと大きな音がしただろうと言うくらいに。
 
 その後の星來はリヒトにされるがままだった。
 激しくと言っても、嫌になるほどではなく、ギリギリを攻めて来る。
 望んだこととは言え、リヒトはいい具合になるように微調整しながらピストンしてくるので、質が悪い。
 少し固くなって前立腺ばかり責められたり、全体をボコボコした形で擦ってきたり、同時に性器と胸をバキュームしてきたり。
 もう、人間ではありえないような事をされて、その度に目の前がチカチカする。
 
 でも、どれも凄く気持ち良くて、馬鹿になったみたいに声と精液を絶えず漏らしてしまう。
 全部リヒトの中に吸収されてしまうのだが。
 
 それに、リヒトには射精の機能が備わっていないようだ。
 と言う事は終わりを知らないので、永遠にこの行為を続けられてしまう。
 星來も最初は射精に時間が掛かるのかと思ったのだが、貪り続けられた結果、そもそも身体の作りが違うのだから精液が無いのではと言う結論に達した。

 美味しい、美味しいと耳元でささやきながら、抜かずに延々と快楽を与え続けられていると、そのうち身体が中イキを思い出した。
 何度も中イキを繰り返した星來は、最後に色々撒き散らしながら痙攣するほどにイってしまい、薄いピンクと、キラキラしたラメに覆われていた視界が真っ白になる。
 
(天国を見るとはこういう事か……)
 そんな事を思いながら意識を手放した。

 

 目が覚めると、目の前にスライム姿のリヒトがいた。
 どうやら彼の体内からは解放されたらしく、首だけ動かしてみると、暗い中に自分の部屋の天井が見える。

 しかし、違和感を感じて自分の身体を見下ろすと、まだ性器と乳首をリヒトに弄ばれていた。
 そこだけリヒトの身体に引き込まれてちゅぱちゅぱ吸われている。
 痛くもないし、むしろ気持ち良いだけなので、再び眠りに落ちてしまった。


 
 次に目が覚めると朝だった。
 目の前には夜中に起きた時と同じにスライム姿のリヒトがいたが、今は星來のどこにも触れておらず、眠っているように見える。
 時計を見ると、いつも起きている時間だ。
 あんな夜を過ごしてもいつもと同じに起きられるなんて、習慣って怖い思う。
 
 辺りを見ると、昨日着ていた下着が落ちていたので、それを身に付ける。
 ベッドが軋むと、リヒトが身じろぎした。
 
「星來さん……おはようございます……ボク、寝ていました」
「リヒトさん、おはようございます。ええと、それは大丈夫なんですか?」
 以前、リヒトは殆ど寝ないと聞いていた星來は心配になった。
 
 ――もしかしたら、もの凄く疲れていたのに付き合ってくれたのかな。
 気付いていないだけで怪我をしていたのかも。
 ああ、昨夜した事が実は身体に良くなかったとか。
 だってリヒトさん、俺が出したものを全部吸収してるように見えたし……。

 自分は今までにないくらいスッキリさせてもらったのに、そのせいでリヒトの体調が悪くなったのではと思い、星來のは罪悪感に苛まれた。
 
 顔色を悪くしてスライムの身体を撫でていると、突然リヒトの身体がベッドから数センチ浮かんだ。
「大丈夫、何だかスッキリしていい朝です! お風呂に入りましょう。あ、でも一緒に入ったら狭いか。ボク、帰ります」
「待って! 本当に体調が悪いとかじゃないんですね?」
「ええ、全然。じゃあ、ちょっと帰って直ぐに戻ってきます。夕ご飯食べそこなっちゃいましたね。朝は一緒に食べても言いですか?」
「や、やだ、行かないで下さい。もう少し一緒にいて下さい……」
 置いて帰られるのは流石に寂しくて、星來はリヒトに縋り付いた。



 一緒にお風呂へ入るのは、やはり狭かった。
 そこで片方が洗っているうちは片方が湯船に浸かる事にする。
 
 リヒトのシャワー風景は面白かった。
 縦になると、サイコキネシスで石鹸をもこもこ泡立てて、身体を包む。
 シャワーもデコボコが無い身体だから、直ぐに泡が流れて終わるのだ。
 楽しく見ていると、場所を変わるように言われた。

 入れ替わって頭を洗っていると、いつの間に身体が泡立てた泡に包まれていて、リヒトのサイコキネシスで洗われた。
 脇も、脚の間も、尻の狭間も全部、肌の上で泡立てるように撫で洗いされる。
 しかも、最後に性器と後孔の中も洗われて、気持ち良くなって吐精してしまった。

「あ、泡の中にでちゃった。勿体ない」
「もう……もう出ないです。許してください」
 洗い場を流れて行く薄い精液を見て、星來は半泣きになった。



 その後、冷凍していたご飯を解凍して、インスタントのお味噌汁を作って、種類ごとに小鉢へ入れた作り置きをつつきながら二人でテレビを観た。
 この間の事をテレビがどう伝えているか知りたかったのだが、どこもがもう忘れたように芸能ニュースばかりやっているので、直ぐに飽きてしまう。

 食べ終わると、星來は昨夜汚したものを洗い、いつものようにアパートの用事を済ませたり畑を見に行く事にした。
 けれど、引き止めたのは星來の方なのでそれを中々言い出せずにいたら、リヒトは少し部屋で仕事をして来る、と言って人の姿に戻って部屋を出て行った。
 多分、何か察してくれたのだろう。
 彼が我慢していないのならいいが、と星來は思った。
 
 そして昼にはまた星來の部屋へ集まり、二人で昼食を取ってたわいもない会話をする。
 食後は流石に疲れが出て何もする気が起きず、星來のベッドの上でスライム姿に戻ったリヒトへ寄りかかって本を読んだ。
 リヒトは自分も本を読みながら、星來を包み込むように丸くなる。
 
 
「星來さん、様子がおかしいですよ。さっきからスマホばっかり気にして」
 一時間ほど経った頃、リヒトがそう声を掛けて来た。
 星來の集中が切れて、視線が本とスマホの間を行き来しているのに気付いたのだ。
 
「あの、ごめんなさい。そろそろ考紀と楓くんが帰って来るって、連絡があるんじゃないか気になって」
「考紀くんに会いたくなっちゃったんですね」
「……ごめんなさい」
「なんで謝るんですか?」

 折角二人きりで良い雰囲気なのに、こんな事を言ったら間違いなく呆れられるか、怒られると思った、だから星來は謝った。
 それをリヒトは不思議に思ったようだ。

「星來さんと考紀くんは家族なんでしょう? だったら気にするのは当然じゃないですか。ボクもそろそろ楓に会いたいです。そうだボク、出かける時は見送りに行けなかったから、今度は迎えに行きたいです」
「そ、そうですね。そうしましょう」

 星來は、考紀の事をこんなに大らかに受け入れてもらえたのが嬉しくて、逆に動揺してしまった。
 この、リヒトの考え方はシアーズ博士や彬の影響を受けているのだろうか。
 
 実は誰かと親密になった時に、星來が一番心配しているのは考紀の事だった。
 考紀を邪魔にする人は、いくら愛してると言ってくれてもいらない。

 
 星來は以前付き合っていた森山に言われた事を思い出した。
「後輩の男と俺、どちらが優先なのか」と。

 あれは星來が初めて後輩の指導に付いた時の事だ。
 当の森山はそんな事を言いながら、社長の娘と同時に付き合っていたのだが。
 以前はそんな昔の事も思い出せば心が痛かったが、今は最低な男と付き合ってたな、と笑い話にできる。
 これもリヒトのおかげだろうか。

 
 星來は気持ちが凄く楽になった。
 リヒトは本当に不安も食べてくれたのかもしれない。
 
 
 
 
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