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愛されていたい*
しおりを挟む数日後、グーテベルクから正式な使者として兄二人がやって来た。
二人は俺が助け出された事をまだ知らなかったので、会った時は心底安心してくれた。
そしてラクーンと元々の交渉相手のキルシュ、そこへルネの采配で上手く入り込んだグーテベルクの三国で話し合いをして、三国和平を結んだ。
和平の条件に奴隷解放も含まれていたので、リオン、ルディ、ラースも晴れて一般市民になった。
両親と縁が切れている彼らは、俺がグーテベルクへ連れて行って面倒を見るつもり。
ラクーンでの嫌な事は忘れさせたい。
俺の誘拐事件に関しては、ヴィルヘルムの家は断絶、直接関わったヴィルヘルムはグーテベルクに罪人として引き渡された。
フロレンツは王位継承権を剥奪された上で軟禁されるそうだ。
ラクーンの王が俺に何か謝罪したいと言っていたので、ニコの部族にちゃんとお金を返す事を約束させた。
「それでアルフォンス、婚約の事なんだが」
でも一番の難問が残っている。
ルーカスとの結婚だ。
因みにルーカスとギムレットの事はルネに話してある。
「ごめん、俺ルネ以外は考えられないから。」
俺はこれ見よがしに隣に座るルネをぎゅうぎゅうと抱きしめて、ルネの匂いで肺をいっぱいにする。
「ルネ、少し痩せた?ご飯食べてる?」
「食べていますよ。
移動が多かったので体が締まったのかもしれません。」
ルネはニコの前の部族長に会うために獣人の国を歩き回ったそうだ。ありがとう。
でも本当はそこで手に入れた古代兵器で、キルシュを滅ぼそうとしていたと言うのは、ルーカスには黙っておこう。
「まぁ、レナトス殿は俺とは真逆のタイプだが・・・その、年齢差とか、気にならないのか?」
「ならないよ。だって俺はルネが大好きだし、俺たちは世界で一番相性が良いって女神さまのお墨付きもあるし。」
「レン。」
俺たちがイチャイチャしだしたので、ルーカスがため息を吐いた。
「ルーカス、諦めなさい。
貴方の入る隙はありませんよ。」
ついにライムが助け船を出してくれた。
「だよな。仕方ない、婚約解消か・・・」
「ありがとう、ルーカス!」
「そうだ、皆の前で婚約破棄ショーでもするか?
前にギムレットと話してたやつ。」
「け、結構です。」
俺が震えていると、ルーカスは珍しく声を上げて笑った。
「じゃあな。今度は友人として会ってくれ。」
そしてルーカスとライムはまだまだ続く三国での話し合いへと戻っていった。
「随分さっぱりとした男らしい方ですね。」
「格好良いよね。あんな男になりたいな。」
「先ずは人前で泣かないようにしなくては。
泣くのは私の前だけになさい。」
「うん。」
そのままルネは俺に凭れて首に手を回してきた。
俺たちは唇を重ねる。
「やっとキスできた。」
「ええ、随分我慢しました。」
二人で笑い会う。
そのままルネを抱き上げて、奥にあるベッドへ移動した。
ベッドの上にルネを降ろし、そっと眼鏡を外し、服を脱がせる。
俺も服を全て脱ぐと、ルネの肌に指を滑らせた。
やっぱり少し痩せたみたいだ。
「まだ昼間なのに、いけません。」
ルネは始め、咎めるようにそう言ったが、声には甘さがあるし押してくる腕にも力がこもっていない。
服を脱がせても嫌がらなかった。
瞳を覗けば拒んでいるというより、期待しているように見える。
「じゃあ、止める?」
「あ、や、やめないで。」
俺がルネの胸の先端に触れながら言うと、ルネは直ぐに素直になった。
「・・・ルネ、今日はいっぱい触って。」
俺はルネを抱き上げ、膝に乗せる。
俺はルネの匂いで胸を満たして、細い肩に額を擦りつけて甘えた。
「早く嫌な事、忘れさせて。
これはルネにしか出来な」
ルネが噛み付く様にキスしてきた。
「当然です。」
そして全部消毒すると言って、俺の言う通りに全身にキスしてくれた。
それが済むとルネのキスが再び俺の中心まで下りてくる。
それを口に含んで舐めたり、吸ったりまでもしてくれた。
時々、こちらを見上げる姿はとても淫らで、皆の前では毅然ときていたルネがこんな事までしてくれるなんて、やらしくてたまらない。
「あ・・・ダメ、でちゃう!」
思わずその口の中へ吐精すると、ルネはそれを全部飲み込んでくれた上に、一滴も残さない勢いで吸い上げてくれた。
「ルネやらしい、どこでそんなの覚えたの?」
「ふふ、秘密です。
次はこちらに、良いですか?」
ルネは四つん這いになって、恥じらいながらピンク色の蕾を俺に見せつけてきた。
「本当は・・・貴方と早く繋がりたくて、ちゃんと用意しておいたんです。」
「うん?」
「ええと、ここを貴方のものであ」
言い終わらないうちに俺はまた元気になった剛直をルネに勢い良く突き立てた。
「あぁん!」
肌と肌がぶつかってバチン、バチンと大きな音が響く。
「ルネ、どうしちゃったの?」
「だって、だって・・・ああぁ!」
数回でルネはイってしまい、白濁を零して俺を強く締め付けながら身体を震わせた。
「わたしは、あなたに・・・あいされていたいのです・・・」
「ルネ、もっとしよう。今度はこっち。」
俺は胡座をかいて、ルネを向かい合わせて膝に乗せると、またその細い身体を貫いた。
「あ、あ、あぁ、あん、あん、」
今度はルネの自重も手伝って、奥の行き止まりの先まで入り込めた気がする。
グボグボと下から奥を突いてやれば、ルネはもう蕩けて口の端に涎を溜め、目の焦点も合わず、俺を呼ぶばかりだ。
「レン、すごい、こんなのきもちよすぎて・・・」
俺も気持ち善すぎて腰が止まらない。
「あ、あっ、あっ、あっ、れんっ!」
「ルネ、ルネっ!でる、でるっ!」
俺はルネの腰を固定して、奥にたっぷりと精を注いでやった。
一瞬遅れてルネも吐精する。
気持ち良い、何か凄く幸せ・・・
俺がルネを掻き抱くと、ルネは息も絶え絶えなのに俺に口付けてきてくれた。
唇を離すとお互いを銀糸が繋いだ。
「ああ・・・愛しています、レン。」
「俺も、もう何処にも行かないよ。」
「声が聞こえないのが分かってても、ネックレスに何度も話かけたんだ。」
疲れてぐったりしたルネに癒しの魔法をかけながら、俺は今までの事を話した。
キルシュでの事、ルーカスやギムレットの事。
ラクーンでリオン達に出会った事。
「良い事ばかりじゃなかったけれど、沢山の出会いがあった。」
「満月の夜はしっかりと見えていましたよ。
それこそ一晩中眺めていました。」
ルネは俺の頬を優しく撫でてくれる。
「私も何度も何度も話かけました。」
それから何度もキスをして、抱き締め合って、お互いの存在を確認しあった。
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