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事情説明

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「王国に未曽有の危機が近付いている」
「はあ」

 ブライアン殿下が先ほどと違って真面目顔です。
 格好のいいお方はどうあっても格好いいですねえ。
 昨日心の中でバカ王子と罵ったことは一旦撤回するです。

「協力を求む」
「は?」
「チェスター、それでは通じまい」

 チェスター様は頭が良すぎて言葉が足りないと聞いたことがあるです。
 もっと頭の悪い人に説明を……生徒会に頭の悪い人なんか在籍してるわけなかったです。

「ねえ、スマイリー様」
「はい、何でしょう?」

 プラチナブロンドの髪が輝く公爵令嬢マリア様ですね。
 マリア様も美しき才女で、ブライアン殿下ととてもお似合いだと思うです。
 けど血が近過ぎるからという理由で婚約が回避されたのでは、という噂を聞いたことがあるです。
 本当ならば悲劇ですねえ。
 悲恋もののストーリーも嫌いじゃないですけれども。

「ビーズ男爵家領にとっても無関係なことではないのです」
「えっ?」

 何事ですか?
 学院に入学してから三ヶ月。
 その間実家とは連絡を取っていないので不安になりますです。

「昨年、虫害によって作物の収穫高が減ったのは御存知でしょう?」
「はい、存じておりますです」
「では、虫害の影響は我が国よりも隣国バハーランドの特に山中で大きく、魔物の生息環境にも関わっているということは?」
「多少は耳に入っているです」

 一斉にため息を吐く生徒会オールスターズ。
 キラキラしい方々のため息は絵になるなあ。

 ブライアン殿下が言うです。

「バハーランドから穀物を融通してくれないかとの要請があってね。もちろんそれには応えたのだが、我が国もまた収穫量が減少していた折りだ。可能な援助は限られる」
「そこで協力を求む」
「は?」
「チェスター、黙っていてくれ」

 シュンとするチェスター様お可愛いらしいです。

「もう少し食べ物を寄越せ、ない袖は振れぬの平行線だ。その内バハーランドがとんでもないことを言い出した」
「何ですか?」
「我が国マリアダルは山もさほど荒れていない。バハーランドから魔物が移動するだろう、とな」
「……つまり、バハーランドが魔物をマリアダルに追い立てると?」
「悪く取ればそうなる」
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