巻き込まないで下さい!!オカルト令嬢の婚約破棄騒動

ロク

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23 最後に

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 それからのことは殆ど覚えていない。ただ後悔ばかりの日々だった。私が死ねばよかったのにと何度も思った。

 かろうじて学園を卒業したが、グレースのいない人生は味気なかった。生きる意味も見出せなかった。
 だがグレースに守られた命を粗末にすることもできず、私はただ生きて動く人形のように過ごした。
 早く死んでグレースの元に行くことだけが、私の唯一の希望だった。

 交霊術でおかしくなった社会は、王が下した禁止令も守られず悪化の一途を辿った。そして民衆の怒りとそれに上手く乗った第一王子の謀反で、あっけなく終止符が打たれた。

 私は学園を卒業後、家を捨てて傭兵として戦いの中に身を置いた。グレースの死から九年後、辺境の地で隣国との小競り合いの最中さなか、私は命を落とした。

 グレースに会いたいと願っていたが、死んだ時に私はグレースの元ではなく家に戻って来てしまった。
 その時はなぜかはわからなかった。もしかすると、グレースは私の手の届かない所にいるのかもしれないと思った。

 それに私は第一子としての責務を果たせなかったことを、未だに辛く感じている。私は死ぬ時にこの家を護りたいと、何よりも強く願ったのだ。


 そして年月が過ぎ、ヴィヴィが初めてこの家に来た時、私は、魂が震え歓喜した。ヴィヴィの魂の形や光が、私の愛した者と同じだと感じた。

 私は許されたんだ。
 ヴィヴィがこの家に来てくれたことで、私は魂の安らぎを得た。私はヴィヴィによって解放されたんだ。

 ヴィヴィ、君の魂は慈悲で満たされている
 それは理屈とも、感情とも違う
 全ての自己を超越した、摂理の中にある
 全ての人間が持ち、だが保つことが難しい
 魂の気高さ、魂の強さ 魂の持つ輝き

 そしてきっと、自身を守る盾となる
 
 君の魂に触れると、愛さずにはいられない。
 
 だから、愛してるよ、ヴィヴィ。


「ちょっと待った!いくら私の先祖だといっても、死んでいるからといっても、最後の言葉はいただけませんね。ヴィヴィは私の婚約者ですよ。そこはお忘れなきようお願いします」

 アスベルは文字盤をキッと睨むと、ヴィヴィアンを椅子ごと後ろから抱きしめた。

「アスベル様、落ち着いて下さいませ。オスカー様の好きな方はグレース様ですよ?」

「いや、ヴィヴィに愛してると言ったじゃないか」

「ん?そういえばそうですね。でも、私が好きなのはアスベル様だけですよ」

 ヴィヴィアンは穏やかに笑いながらアスベルの腕に手を添えた。

「でもヴィヴィは魅力的だから心配だよ。屋敷に閉じ込めて誰にも見せたくないくらいだ」

「フフ、でも屋敷にはオスカー様がいらっしゃいますよ?」

「あー、本当だ!」

 アスベルは額に手をかざして天を仰いだ。

 
「それにしても、ヴィヴィ、もう、誰にも、何にも、首を突っ込まないでおくれ!約束だよ」

「ええ。巻き込まれないよう善処しますわ!」



ーーーー 後日談あります 
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