28 / 70
第四章 地下世界
5 啼声 ※
しおりを挟むフランの手が、ほかの何か所かにもそっと触れては、つぎつぎに傷痕を消していく。もちろん一応、「これはいい?」とヴォルフの意向を訊ねた上でだ。
しばらくぼんやりとそれを眺めていたヴォルフは、そこでやっと正気に返った。彼の手首を掴んで止める。
「……いいって。そんなことより、しなきゃなんねえことがあんだろ」
「あ。背中、流してあげようか。手が届かない所、あるでしょ?」
「それもいい。時間がねえや」
そのままぐいと彼の手首を引いてバランスを崩させ、腰を抱きよせて自分のそこに密着させる。
「わ! ……んうっ」
噛みつくようにして唇を塞いでやったら、ようやく静かになった。
「ん、……んく」
先日よりもずっと性急に、互いの舌が絡みあう。フランは躊躇うこともなく、ヴォルフの背中に腕を回してきた。
フランの舌使いは、さすがに手慣れた感じがする。ヴォルフの舌を唇ですっぽり包んで吸い上げるようにしたかと思えば、うねうねと舌にからみついて舌先で裏をくすぐってみたりする。
純真そのものみたいな瞳をしていながら、こちら方面では中々の手練れ。そのギャップがまた、ヴォルフの雄を刺激した。
太腿に固いものが当たる。
彼の足の間のものが、とっくに反応を見せていた。
「ヴォル……はや、く」
とろりと潤んだ瞳で見つめられ、上がった息の間から催促がくる。
ひょいと体を抱き上げると、フランが「うひゃっ」と声を立て、ヴォルフの首にしがみついて来た。
足元に気を付けつつ、湯から上がる。
お互いの脱いだものを手早く集めてフランの腹のあたりに押し込み、そのまま立ち上がって温泉から離れた。
そこから少し下ったところに、ちょうどよさげな木を見つけて、根元に柔らかそうな草の生えている場所を探し、適当に衣服を敷いた。別に適当でいいのだ。彼の背中が痛まなければ。ヴォルフはそこにフランを寝かせた。
横たわったフランを見下ろして、その美しさにあらためて見とれる。
少し息があがって、赤く染まった頬。先ほど軽く触れただけだった胸の突起が、いやらしく濡れてつんと尖っている。いかにも物欲しげだった。全身に綺麗に走った健康そうな筋肉。彼の呼吸に合わせ、腹筋が細かく上下している。
その下、足の間のものはとっくに空を向いて突き立っていた。ヴォルフの視線に反応したように、それは一度ふるっと震えた。先端はもう濡れている。
……ひどくいやらしくて、可愛かった。
濡れて欲しがっているそれに、むしゃぶりつきたくて堪らない。
あまりまじまじ見つめていたら、フランがもぞりと腰を動かした。居心地が悪いのだろう。
さっきまで毛ほども恥ずかしがっていなかったくせに。なんだか妙な感じだった。
「や。……あんまり、見ないで」
「なんでだよ。これから抱く体じゃねえの。ちょっとは目にも堪能させろ」
笑ってそう言ってやったら、何故かフランはくしゃっと顔をゆがめた。
「っ……。バカ」
腕で顔を半分隠すようにする。なんだか泣いているようだった。腕をとりのけて見れば、やっぱり目尻に光るものが浮かんでいる。
ヴォルフはそこに口づけた。
しょっぱい液体の味がする。
ぺろぺろとそこを舐め、耳を軽く甘噛みしてやると、子犬が鳴くような声を立てて、フランが腰をはねさせた。
ぴくんとまた、彼のものが起き上がる。
とろりと先端から滲みだしたものが、溢れて全体を濡らしてゆく。
そのまま唇をうなじへ、首へとずらしていき、鎖骨をゆっくりと舐めてから、胸へと移動させてゆく。
「は……あ」
フランの足が、次第にゆるんで開いてゆく。片方の手でその太腿を撫であげて、尻の肉をゆっくりと揉んでやる。
「あ、あ……んんう」
ひくひくっとそこが震える。背中が弓なりになって、ヴォルフの鼻先に「して」とばかりに胸の尖りが突き出される。
遠慮なく、そこに吸いついた。
可愛らしい、コーラルピンクの小さな粒を丁寧に舐め上げる。舌先でつつき、軽く歯を立てる。
フランはいちいち、甘くせつない声で啼いた。それと同時に腰をよじって、堪らず足を擦り合わせる。先端の蜜の量が増え、とろとろと流れて彼の茂みを濡らしてゆく。
「あはっ……んあ……うんんっ」
ゆるゆると腰が揺れ、もうぴんぴんに張り詰めたそれが、ヴォルフの股間に押しあてられる。
足はさらに広げられ、もう何もかもをヴォルフの目に晒している。
さすが、感度がいい。最高だ。
そこで初めて、ヴォルフは彼のものに手を添えた。
「ひッ……!」
びくっと腰を跳ねさせ、フランが喘ぐ。
かちんかちんになったそれを握りこみ、ゆるゆると扱いてやる。下の袋もやわやわと可愛がる。それだけで、フランはぽろぽろ涙を零し始めた。ひくっ、ひくっと腰が揺れる。
「やっ……んあんっ、そ、そんなの……っ」
しなくていい、というようなことをあまり呂律の回らない口で言っているらしいが、ヴォルフは構わずそれを続けた。手の中で、わざと大きくぐちょぐちょと音を立ててやる。
「そんな……やめ、てよ」
食いしばった歯の間から掠れた声がする。
「そんなに、しなくて……いっ、いからあ……んっ」
そんなことを言う声も鼻にかかり、もうとろとろに蕩けてだらしがない。
「ぼ、……くのっ、ことは……い、からっ……!」
「いや。よくねえ」
はふはふと息が上がっているフランが、真っ赤になった顔のまま、不思議そうにこちらを見上げた。
「せっかくなんだ。お前も気持ちよくなりな」
「…………」
ひと呼吸おいて、フランがまたぎゅうっと眉を寄せ、悲しそうな目になった。
が、ヴォルフはもう待たなかった。
彼のものを扱く手を急速に早めていく。
フランの喉が悲鳴をあげた。
「やっ……あ! だめ、だめえっ……あ、あああっ……!」
両腕がヴォルフの首に回されてくる。
すごい力で抱きしめられた。
ヴォルフは構わず、手の動きを早くした。
「イけよ。……ほれ、イッちまえ!」
──気持ちよくなっちまえ。
「あっ……ああんっ、やんっ、あんん! ああ、あ……ッ!」
最後にひと声、高く啼いて、フランはその欲望を吐き出した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる