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しおりを挟む思わず飛び上がった。
突然、腰のあたりでローブの布を持ち上げていた俺のモノを、皇子の手がぎゅっとつかんできたんだ。
「やっ、やめ……なにすんっ……」
「少しお仕置きが必要のようだ」
「おしおっ? な、なんでだよっ……はうんっ」
背筋に電流が走ってビクンッと仰けぞる。皇子が布の下に手をいれて、それを握ってしまったからだ。
こすこすこす。そこは刺激されて、すぐにヤバいことになってくる。
「や、あ、ああ……っそんな、したらっ……!」
普段自分でもやってることを、人の手でされたらこんなに気持ちいーのか。知らなかった。舐めてたわ俺! セックス初心者でごめんなさい!
先っぽをかりっと指先でつつかれて、ギュンッと欲望が溢れ出そうになる。
「ひいっ! いや、ああ……んっ」
「すまない、健人。私も一緒に……しても、いいか?」
言った皇子の声が少し掠れてる。薄目を開けて見たら、少し苦しそうな顔になっていた。
確かに太腿あたりに感じる皇子のそれも、すごく熱くて硬くなってるみたいだ。
……ってことは。
(感じて、くれてる……?)
だよな? それ以外の理由はねえよな?
ああ。めちゃ嬉しい。
俺なんかでこの人がそんな風になってくれるの、想像以上にインパクトある。
嬉しい。マジ嬉しい。こんな格好じゃなかったら、ちょっと踊っちゃってたかも、俺。
だからすぐに答えた。
「んっん……い、いい、よ」
「ありがとう」
少し笑って、ちゅっと唇にキスしてくれる。
そんだけで昇天しそう。ほんとヤバい。イケメンの愛撫とキス、パねえ。
しかも、ちゃんとそこに「愛情」が乗ってるのがわかる。だからさらにパねえんだろうな。
「あはっ……?」
次にはもう、俺のと皇子のを一緒に握りこまされ、上から握られていた。それからすぐ、俺の手ごと上下の律動が始まる。
すぐにぐちゅぐちゅいやらしい音がし始めて、目が回りそうだ。
「ひいっ……な、なにコレっ……!?」
すげえ。すげえイイ。
イイけど、そんな刺激、初心者の俺にはキツすぎるって!
すぐイッちゃうって!
皇子は構わず、俺の頬にキスを落として囁いた。
「一度ふたりで達しておこう。……愛してる、健人」
「うふっ、うっ、うううっ……!」
直接の刺激と、耳に流し込まれたセリフによる刺激。両方でいきなり攻めたてられて、我慢していたはずの熱があっというまに頂点を迎えた。それが一気に先端に向かって突進する。
「あは……っ!」
びくびくっと腰が跳ねる。足を広げて皇子の腰を抱くみてえな状態なのに、ほんとに勝手に跳ねたんだ。
すげえ解放感。頭、真っ白になる。
「うあ、あ……っ」
すげえ。なにコレ。
なんなの……??
「っはあ、はあ……っ」
二人で達して──いや、本当のことを言うと皇子はもうちょい時間かかったけど──しばらく抱き合って息を整えた。腹のところが、二人分のやらしい液体でぬるぬるしている。皇子はそれを手早くきれいにしてくれた。
普通の人ならティッシュかなんかで拭くところだろうけど、皇子は指を軽く振るだけで消失させてしまう。つまり魔法だ。
こっちへきてから《魔力持ち》になってっからなあ、この人。いろいろ便利。大きな声では言えねえけどさ。
それにしても。
(これで終わり?)
……いや。そんなはずはなかった。
その証拠に、お互いのローブをすっかり脱いだ状態で、皇子の手が優しく俺の体を撫でている。続ける気満々。そりゃそうか。
だけど、今は一応「賢者タイム」ってやつだ。うん、たぶん。
(で……でもなあ)
俺だって、実はなーんも知らねえわけじゃねえ。
ってか、姉はすっかり脳みその腐りきったあの女だし。見たくなくても、アレやらコレやら余計な知識は、いわゆる「薄い本」でチラ見せされちゃってて、実は色々知っている。
っても「BLはファンタジーよ。これを鵜呑みにすんじゃないわよ~?」ってのは姉貴の常套句だけどな。どこがどうリアルと違うのかは全然わかんねえけど。
まあAV見たからって女の子とのセックスがわかった気になるのと同じようなもんかもしんねえ。
まあそれはそれとして。
(こいつ、どこでこういうの調べたんだろ?)
最大の疑問はそれだ。
ついこの間まで異世界にいて、しかもエノマニフィク帝国の皇子で。あっちじゃ男女での恋愛や結婚が基本みたいな感じだったし、同性同士の情報なんてほとんど出てこなかった。いや、一応さがせば「そういう店」がないわけじゃなかったらしいんだけどな。
要するに程度の違いはあっても、こっちとそんなに変わらねえってことだ。
「健人? なにを考えている」
「えっ。い、いや。別に……」
「気持ちよくなかったか?」
「えっ。……いや。そんなこと、ねーよ……」
最後はなんか、もごもご言っちまう。めちゃくちゃ恥ずかしい。
本当はめっちゃよかった。気を失いそうなほど。でもだからって「すげえよかった」とか言えるわけねえし。
仰向けに寝ている俺の隣で、こっち向きにぴたりと寄り添って、皇子が俺の髪を撫でている。時々俺の髪に鼻先をつっこんで、猫がやるみたいに軽くこすり付けたり、耳や顎なんかにキスしたりしてる。うう、こそばゆい。
皇子、「それなら良かった」とふふっと笑った。
「そなたには、いろいろと無理をさせてしまっているから」
「え? そんなことねえだろ」
「いやある」
皇子が今度は、ふと悲しそうな目になった気がした。
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