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いつかその日が来るまで……

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「なぁ、秀吾。今日の観月さんの話、どう思った?」

「どう思ったって?」

「恋愛を諦めてるって話」

「ああ、うん。勿体無いなと思うけど……観月さんの言ってたことちょっとわかる気がする」

「そうなのか?」

「うん。ほら、観月さん言ってたじゃない? 将臣が警察官僚の息子じゃなかったら付き合ってなかったのかって」

「ああ、言ってたな」

「小学校のときはあまりよくわからなかったけど、中学とか高校の時なんかはお父さんが警察官僚でしかも結構上の役職にいるってどこからかわかってさ、いいなぁって羨ましがられたこともあったじゃない? でも、僕にとってはどこにでもいる普通のお父さんなのにって不思議だったんだ。僕は官僚の息子でも将臣みたいにイケメンじゃないからそこまで是みよがしに寄ってくる人なんていなかったけど、将臣はちょくちょく告白されてたでしょ?」

「えっ……知ってたのか?」

ふふっ。将臣の驚く顔って珍しいな。

「うん。でも即行断ってくれてたって知ってるから何も言わなかったんだ」

「そう、なのか……」

「でも、観月さんの場合はきっと僕たちが想像するよりもっと大変だったんだろうなって思う。お父さんが開業医だとか、お金持ってるとか、かっこいいとか、そういう自分の努力とは関係ないところで好意を持たれるって気持ち的に辛いのかもって。もっと内面を見てほしいって思っても不思議はないかも」

「そうだな……。こう考えてみたら、俺たちは本当に幸運だったんだな。何も知らないうちからお互いの中身だけを知って好きになったんだからな」

「ちっちゃい時は自分がどんな人の息子かなんてわかんないもんね。ただ、気づいたらいつもそばにいてくれて安心する存在になってた。僕はそれが恋だってことに全然気づいてなかったけど、将臣はもっと前から思ってくれてたんだもんね?」

「ふふっ。そうだな。秀吾を好きだとわかったのは、初めて会った日らしいよ」

「えっ? 初めて会った日って……それは冗談でしょ?」

「冗談なんかじゃないさ。秀吾の1歳の誕生日で初めて会った時に、俺はお前の唇を奪ってるんだからな」

「うそ……っ!」

突然の告白に驚きしかない。

「本当だって。今度お義父さんかお義母さんに聞いてみたらいい。あの一瞬で俺はお前に一目惚れしたんだ。そこから今までよそ見なんかしたことないよ」

「将臣……」

「もし、俺たちが幼馴染じゃなくても、俺はきっと秀吾を探し出してた。それは自信もって言えるよ」

将臣がそういうとそんな気がしてくる。
今の僕に将臣がいないと生きていけないように、きっと幼馴染じゃなかった僕にだって、将臣が必要なんだから。

「秀吾……俺、自分の幸運に感謝してこれからもっと秀吾を大切に愛し続けるよ」

「ふふっ。うん、僕も……一生将臣から離れない」

僕の言葉に将臣が嬉しそうに微笑む。
そして、軽々と僕を抱き上げるとそのまま寝室へと連れて行かれた。

「将臣……ご飯は食べないの?」

「ごめん、今は秀吾が先に欲しいんだ。いい?」

「ふふっ。いっぱい食べてよ。でも……優しくしてね」

「――っ! 秀吾……っ!」

荒々しく重ねられるキス。
そして、そのまま激しく口内を貪られる。

将臣との初めてのキスは重ねるだけの優しいキスだった。
将臣の熱と柔らかな感触がじんわりと伝わってきてすごくドキドキした。

その後、初めて身体を重ねた時もまるで宝物に触れるように優しくしてくれた。
身体に舌が這わされて、チクチクと小さな痛みが与えられるのがなんとも心地よくて嬉しかった。
それが将臣が身体につけてくれた愛の証だと教えてもらった時は天にも昇るような心地だった。

それから3年。
僕も将臣も身体を合わせることに慣れてはきたけれど、決してあの時のドキドキがなくなったわけじゃない。

将臣が興奮している時は荒々しく激しいキス。
寝起きや出かける前のキスは昔のように優しく甘いキス。

そのどちらも僕にはドキドキするし、大切で失いたくない。

将臣が全身で僕を愛してると訴えながら、僕の最奥にまで挿入りこんでくる。
それがわかるから僕は幸せなんだ。

いつか観月さんにもそんなふうに思える相手が見つかったら……僕は思いっきり応援しよう。
感情を乱すことのない観月さんが本当の愛に出会えて、人間的になるその日が来るまで……。
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