ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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西条さんの反応

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「はるかちゃん、ぷりんできたー? もうたべれるー?」

「おやつの時間に食べられるよ。さぁ、ご飯も炊けたし、オムライスを作ろうか。もう一回卵混ぜ混ぜできるかな?」

「できるー!!」

碧斗くんが卵を混ぜてくれている間に僕は、ささっと野菜を細かく切ってコンソメスープを作った。
同時進行でチキンライスも作っていく。出来上がったチキンライスをボウルに取り出しておき、碧斗くんが混ぜてくれた卵をフライパンに流し込んでその上にチキンライスを乗せる。包み込むように卵を巻いたら、昔ながらのオムライスの完成だ。

真っ白なお皿にオムライスを乗せ、碧斗くんの目の前においてあげる。

「おいしそー!!」

ケチャップで碧斗くんの名前を書いてあげる。

「これ、なーにー?」

「あ、お、と って書いてあるんだよ」

「あおとのなまえー!!」

碧斗くんは嬉しそうに指でテーブルに真似して自分の名前を書き始めた。
これで文字への興味が出たら嬉しい。

同じように僕のオムライスにもはるかと名前を書いて見るとすぐに反応した。

「これって、はるかちゃんのおなまえー?」

読めなくても自分の文字とは違うから想像したんだろう。

「正解! はるかって書いてあるんだよ」

真剣にケチャップの名前を見つめる碧斗くんの表情を見て、少しずつ勉強も教えていこうと思えた。

小さなマグカップに野菜のコンソメースープを注ぎ、焼き上がっていたプリンの粗熱が取れたところで冷蔵庫に入れ、碧斗くんと一緒の席についた。いただきますと手を合わせると、スプーンで上手に掬っていく。

ボロボロとこぼす事もなく、遊び食べもしない。食事のマナーはとっても上手だ。
きっと西条さんがしっかりと教えているんだろうな。

「はるかちゃん、とってもおいしーね!!」

満面の笑顔を写真におさめて、これも西条さんに報告だ。

あっという間に食べ終えた碧斗くんは、お腹がいっぱいで満足したのか眠そうな目になっていた。
あのサークルにお昼寝用の布団も敷いてあったな。

碧斗くんの手と口を綺麗にして抱っこして布団に運ぶと、碧斗くんはぐずることなくそのまま眠ってしまった。

朝からずっと興奮しっぱなしだったから疲れたんだろう。

この間に西条さんにいくつか報告を入れておこう。

もらった名刺に書いてあったメッセージアプリを登録して、画像付きのメッセージを送る。

<お洗濯の手伝いをしてくれました>

<一緒に料理も作りましたよ>

<今日のお昼は碧斗くんのリクエストのオムライスです>

それぞれの写真を送り、最後に西条さん宛のメッセージを送った。

<今日の夕食は何がいいですか? お店のには劣りますが、一応なんでも作れますよ。希望があったら教えてください>

するとすぐに既読がついた。
碧斗くんの写真を喜んでくれてるかなー。

反応が楽しみだったけれど、西条さんからは一言

<夕食も碧斗のリクエストで構わない>

とだけ返ってきた。

写真についてはなんの返事もなかったことに少し残念に思ったものの、仕事中だからと自分に言い聞かせた。

すると、しばらくの間を置いてスマホが通知音を伝えた。
西条さんからだ。

慌てて画面を開くとまた一言だけ返ってきていた。

<碧斗が楽しそうでなによりだ>

その文字を見て思わず笑ってしまう。

この文字を入れるのに、あの人がどれだけ悩んだんだろう。
なんとなく不器用な様子が垣間見れて僕はしばらく画面を見続けていた。


さて、夕食は何にしようか。
これからのことも考えてかなり食材を買ってきてもらったから、なんでも作れる。
今日は初日だし、碧斗くんが喜んでもらえるものにしよう。

というわけで頭に浮かんだのはカレーライス。

見た目に可愛いカレーライスは琳のお気に入りだからきっと碧斗くんも喜んでくれるはず。
甘口と辛口の二種類を作れば西条さんにも食べてもらえるな。

今のうちから煮込んでおこう。

市販のルーを使うよりスパイスの方が好みの味に整えられるから食べてもらえるだろう。
カレーを作ろうと思ってスパイスをいっぱい頼んでおいてよかった。

碧斗くんのは野菜を小さめに、大人用は少し大きめにカットして作っていく。
とりあえず碧斗くんのは琳の好きな味付けで作って、起きたら味見をしてもらおう。

西条さんのは僕のより少し辛めの味付けにしておこうかな。

スパイスを全て入れてぐつぐつと煮込み始めたところで、碧斗くんが目を覚ました。
ナイスタイミングだ。

サークルに駆け寄ると、まだ寝ぼけている碧斗くんがゴロゴロと転がっている。
めちゃくちゃ可愛い。

「おはよう、碧斗くん」

「はるかちゃん……だっこー」

どうやら寝起きは甘えん坊になるらしい。

サッとだっこしてまずはトイレに連れていく。
トイレトレーニングは終わってるとあの資料にも書いてあった通り、子ども用の小さなトイレで自分でできていて偉かった。

手を洗ってキッチンに向かうと碧斗くんがすんすんと匂いを嗅いでいる。

「いいにおーい」

「夜ご飯の準備をしているんだよ。あとで味見してくれる?」

「あじみー!!」

さっきプリンを作る時に味見したのを覚えているらしく、味見の言葉だけで大喜びしてくれた。

「その前におやつのプリン食べようか」

「わぁー! たべるー!!」

椅子に座らせて、冷やしておいたプリンを碧斗くんの目の前でひっくり返してお皿に中身を出してやる。
プリンが綺麗にスポッと出てきた瞬間、碧斗くんは言葉もないほどに驚き、興奮していた。
そうしてしばらくプリンを見つめたあとで、ポツリとつぶやいた。

「ほんとうに、ぷりんだ……」

「碧斗くんが手伝ってくれたから作れたプリンだよ。一緒に食べようか」

「うん!!」

少し硬めのプリンは僕にとっては昔懐かしい味。
今は柔らかいプリンが多いから碧斗くんにとっては初めての味かもしれない。
ちょっとほろ苦く甘いカラメルと一緒に楽しんでほしい。

「あおとのぷりん、すっごくおいしー!!!」

よかった。気に入ってくれたみたいだ。
やっぱり自分で作ったものの味は格別なものだ。

「ねー、はるかちゃん。これ……ぱぱのもある?」

「大丈夫。ちゃんとあるよ。帰ってきたら食べてもらおうね!」

碧斗くんは嬉しそうにカラメルの最後の一滴まで味わって食べていた。
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