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少しずつ家族に 3
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いつものように碧斗には自分で服を脱いでもらい、私は琳くんの服を脱がせる。
すると、琳くんが包帯を巻いている右腕を挙げて私に見せてくる。
「ぱぱー、おてて、かゆいかゆいなのー」
「そうか。ちょっと外してみようか」
痛みを感じさせないように慎重に外してみると、包帯を巻いていたところがほんの少し赤くなっている。
ここ数日、風呂のたびに張り替えている湿布を外してみると、もうすっかり腫れが引いているのがわかる。
大人ならもう湿布は貼らなくても良さそうな状況だが、子どもは治ったと思うとすぐに無理をしてしまう。
八雲先生の診察を受ける月曜日まではそのままにしておいた方が賢明だろうな。
とりあえず風呂の間だけ外してあげるか。
そうすればかゆみも治まることだろう。
「お風呂の間だけ外しておこう。でも動かしてはいけないよ」
久しぶりに手首が身軽になったからか、琳くんは嬉しそうだ。
それでも言いつけを守って大人しくしている。
お風呂を上がるまで頑張っていたらご褒美をあげるとしようか。
碧斗も包帯がなくなった琳くんをみて嬉しそうにしている。
そんな二人を見ながら、私も急いで服を脱いだ。
二人の手を取って浴室に入ると碧斗がシャンプーを持って私に見せてきた。
「ぱぱー、あおととりんくん。いっしょにあわあわにしてー!」
二人を遊ばせておけばその間に私も洗えるか。
「わかった」
二人の髪を濡らし、泡をたっぷりとつけて髪と馴染ませてやると、碧斗は両手で、琳くんは片手でお互いの髪を泡だらけにしながら遊んでいる。
「りんくん、みてー! あわあわー!」
「あおとくん、まっしろー!」
鏡に映るお互いの姿を笑う、その楽しい声が浴室に響き渡る。
これを幸せと言わずになんというのだろう。
子どものいる生活に慣れない時間も多かったが、今は毎日が楽しくてたまらない。
それはきっと遥くんがいるからだろうな。
自分の髪と身体をささっと洗い流し、遊んでいる二人を見ながらさっと洗ってあげてシャワーで泡を洗い流す。
そして二人を片手ずつ抱っこして浴槽に入った。
「琳くんは約束を守って手を動かさないように出来たな。何かご褒美をあげよう。何か欲しいものはあるかな?」
「ほしいものー?」
「そう。パパにしてもらいたいことでもいいぞ」
そういうと何かを思いついたのか目が輝いたが、碧斗を気にするようにチラッと見た。
碧斗の前では言いにくいことなんだろうか?
「どうした? なんでも言ってごらん」
「あのねー、りん。たかい、たかいしてほしいのー」
「高い高い?」
子どもが言っていることだから、私が思っている高い高いと琳くんが思っているそれが同じものかはわからない。
でも私に頼むということは遥くんには難しいことなのかもしれない。
それなら私はやってあげたい。
「それじゃあ着替えたらしてあげよう」
「わぁー! やったー!」
大喜びする琳くんを見ながら、碧斗の肩を抱き寄せる。
「碧斗にも高い高いしような」
そっと声をかけると、碧斗は嬉しそうに私を見た。
三人で風呂をでて、二人を大きなバスタオルに包んで椅子に座らせている間に自分の着替えを済ませた。
そして、琳くんの湿布を貼り、軽く包帯で巻いてやってからパジャマを着せた。
碧斗の着替えも済ませてから、あの高い高いの正体を尋ねるとどうやら肩車のことらしい。
きっと今まで肩車をしてもらっている子どもを見て羨ましかったんだろうな。
碧斗も出かけるとよくせがんでいたからよくわかる。
これは遥くんには難しいだろう。
あの華奢な体型を見たら危なっかしくて仕方がない。
「ちょっと高すぎるかもしれないが怖かったらいうんだよ」
背中向きに抱き抱えてそのまま肩に乗せる。この家はどこも天井が高いから琳くんを肩車しても頭をぶつけることはない。
スッと立ち上がると怖がるかと思いきや、琳くんは私の上で嬉しそうな声をあげていた。
「はるかちゃんにみせたいー!」
「よし。じゃあ行こうか。碧斗もおいで」
碧斗のことだけが少し心配だったが、碧斗は喜んでいる琳くんを見て純粋に嬉しそうだ。
一緒に脱衣所を出ると琳くんが遥くんに声をかける。
肩車をしている私と琳くんを見て目を丸くして驚いているのが可愛い。
「悠臣さん、大丈夫ですか?」
気遣ってくれるが、十五キロもなさそうな琳くんなら数時間肩車していても疲れることはないだろう。
あと十五分ほどでご飯が炊ければ夕食が食べられるらしい。
その間、少し遥くんとの時間を楽しませてもらおうか。
「碧斗。もう少しだけ二人で遊んでていいぞ」
琳くんを肩から下ろしそのままサークルの中に入れ、私の隣にいた碧斗を一度肩車してあげてから同じくサークルに入れた。短い時間だったが、碧斗が喜んだ声を出してくれてよかった。
「遥くん、ソファーで少し休憩しようか」
声をかけると素直についてきてくれる。
遥くんが先に座ったのをいいことに、隙間がないようにピッタリと腰を下ろすと少し戸惑いの声が聞こえた。
「悪い、二人に聞こえないほうがいいかと思って」
そういえば、遥くんは何も言わないのがわかっていた。
何の話題にしようかと考え、あの話題を出した。
「碧斗の誕生日の前日に琳くんの病院受診があるから、その時に一緒にプレゼントでも買いに行こうかと思っているんだが、どうだろう?」
想像していなかった話題だったんだろう。
遥くんが目を丸くしていたのが可愛かった。
「それって四人で行くってことですか?」
「ああ、碧斗と琳くんもずっと家の中にいるから少し外出するのもいいだろう。私が一緒なら奴も近づいてこないだろうし」
安全を考慮して私に一緒にといえば遥くんは絶対に反対しない。
「病院の近くにショッピングモールがあるだろう? 子ども向けの店も結構入っているし、いいものが見つかるんじゃないかと思ってね」
磯山たちと決めていたその場所を伝えると遥くんの表情が明るくなるのを感じた。
すると、琳くんが包帯を巻いている右腕を挙げて私に見せてくる。
「ぱぱー、おてて、かゆいかゆいなのー」
「そうか。ちょっと外してみようか」
痛みを感じさせないように慎重に外してみると、包帯を巻いていたところがほんの少し赤くなっている。
ここ数日、風呂のたびに張り替えている湿布を外してみると、もうすっかり腫れが引いているのがわかる。
大人ならもう湿布は貼らなくても良さそうな状況だが、子どもは治ったと思うとすぐに無理をしてしまう。
八雲先生の診察を受ける月曜日まではそのままにしておいた方が賢明だろうな。
とりあえず風呂の間だけ外してあげるか。
そうすればかゆみも治まることだろう。
「お風呂の間だけ外しておこう。でも動かしてはいけないよ」
久しぶりに手首が身軽になったからか、琳くんは嬉しそうだ。
それでも言いつけを守って大人しくしている。
お風呂を上がるまで頑張っていたらご褒美をあげるとしようか。
碧斗も包帯がなくなった琳くんをみて嬉しそうにしている。
そんな二人を見ながら、私も急いで服を脱いだ。
二人の手を取って浴室に入ると碧斗がシャンプーを持って私に見せてきた。
「ぱぱー、あおととりんくん。いっしょにあわあわにしてー!」
二人を遊ばせておけばその間に私も洗えるか。
「わかった」
二人の髪を濡らし、泡をたっぷりとつけて髪と馴染ませてやると、碧斗は両手で、琳くんは片手でお互いの髪を泡だらけにしながら遊んでいる。
「りんくん、みてー! あわあわー!」
「あおとくん、まっしろー!」
鏡に映るお互いの姿を笑う、その楽しい声が浴室に響き渡る。
これを幸せと言わずになんというのだろう。
子どものいる生活に慣れない時間も多かったが、今は毎日が楽しくてたまらない。
それはきっと遥くんがいるからだろうな。
自分の髪と身体をささっと洗い流し、遊んでいる二人を見ながらさっと洗ってあげてシャワーで泡を洗い流す。
そして二人を片手ずつ抱っこして浴槽に入った。
「琳くんは約束を守って手を動かさないように出来たな。何かご褒美をあげよう。何か欲しいものはあるかな?」
「ほしいものー?」
「そう。パパにしてもらいたいことでもいいぞ」
そういうと何かを思いついたのか目が輝いたが、碧斗を気にするようにチラッと見た。
碧斗の前では言いにくいことなんだろうか?
「どうした? なんでも言ってごらん」
「あのねー、りん。たかい、たかいしてほしいのー」
「高い高い?」
子どもが言っていることだから、私が思っている高い高いと琳くんが思っているそれが同じものかはわからない。
でも私に頼むということは遥くんには難しいことなのかもしれない。
それなら私はやってあげたい。
「それじゃあ着替えたらしてあげよう」
「わぁー! やったー!」
大喜びする琳くんを見ながら、碧斗の肩を抱き寄せる。
「碧斗にも高い高いしような」
そっと声をかけると、碧斗は嬉しそうに私を見た。
三人で風呂をでて、二人を大きなバスタオルに包んで椅子に座らせている間に自分の着替えを済ませた。
そして、琳くんの湿布を貼り、軽く包帯で巻いてやってからパジャマを着せた。
碧斗の着替えも済ませてから、あの高い高いの正体を尋ねるとどうやら肩車のことらしい。
きっと今まで肩車をしてもらっている子どもを見て羨ましかったんだろうな。
碧斗も出かけるとよくせがんでいたからよくわかる。
これは遥くんには難しいだろう。
あの華奢な体型を見たら危なっかしくて仕方がない。
「ちょっと高すぎるかもしれないが怖かったらいうんだよ」
背中向きに抱き抱えてそのまま肩に乗せる。この家はどこも天井が高いから琳くんを肩車しても頭をぶつけることはない。
スッと立ち上がると怖がるかと思いきや、琳くんは私の上で嬉しそうな声をあげていた。
「はるかちゃんにみせたいー!」
「よし。じゃあ行こうか。碧斗もおいで」
碧斗のことだけが少し心配だったが、碧斗は喜んでいる琳くんを見て純粋に嬉しそうだ。
一緒に脱衣所を出ると琳くんが遥くんに声をかける。
肩車をしている私と琳くんを見て目を丸くして驚いているのが可愛い。
「悠臣さん、大丈夫ですか?」
気遣ってくれるが、十五キロもなさそうな琳くんなら数時間肩車していても疲れることはないだろう。
あと十五分ほどでご飯が炊ければ夕食が食べられるらしい。
その間、少し遥くんとの時間を楽しませてもらおうか。
「碧斗。もう少しだけ二人で遊んでていいぞ」
琳くんを肩から下ろしそのままサークルの中に入れ、私の隣にいた碧斗を一度肩車してあげてから同じくサークルに入れた。短い時間だったが、碧斗が喜んだ声を出してくれてよかった。
「遥くん、ソファーで少し休憩しようか」
声をかけると素直についてきてくれる。
遥くんが先に座ったのをいいことに、隙間がないようにピッタリと腰を下ろすと少し戸惑いの声が聞こえた。
「悪い、二人に聞こえないほうがいいかと思って」
そういえば、遥くんは何も言わないのがわかっていた。
何の話題にしようかと考え、あの話題を出した。
「碧斗の誕生日の前日に琳くんの病院受診があるから、その時に一緒にプレゼントでも買いに行こうかと思っているんだが、どうだろう?」
想像していなかった話題だったんだろう。
遥くんが目を丸くしていたのが可愛かった。
「それって四人で行くってことですか?」
「ああ、碧斗と琳くんもずっと家の中にいるから少し外出するのもいいだろう。私が一緒なら奴も近づいてこないだろうし」
安全を考慮して私に一緒にといえば遥くんは絶対に反対しない。
「病院の近くにショッピングモールがあるだろう? 子ども向けの店も結構入っているし、いいものが見つかるんじゃないかと思ってね」
磯山たちと決めていたその場所を伝えると遥くんの表情が明るくなるのを感じた。
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