ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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特別な存在  1

<side西条悠臣>

食事を終えて遥くんが片付けを済ませている間に自分の着替えを済ませ、私の服装とリンクコーデとなるように遥くんの洋服を選んで脱衣所に用意しておいた。

マンション内にあるモニタールームだから誰に会うということでもないが、子連れとはいえ初めてのデートなのだから遥くんが私の大切な人だとわかるような格好をしてもらいたい。

私のただの自己満足だがせっかく出かけるのだからそれくらいはしてもいいだろう。

遥くんが脱衣所に向かったのを確認して碧斗と琳くんの着替えをさせる。
と言っても、何を着たいかで揉めることは一切ない。

なんせ、碧斗は琳くんが選んだものと同じ服装を喜んでしてくれるのだから。
今日も琳くんが選んだ服の色違いを嬉しそうに取り出して着替えていた。

碧斗仕様で私が選んだ服だから、琳くんには少しシンプルすぎる感じもするが、お揃いなのは二人とも嬉しいようだ。

「お待たせしました」

脱衣所から出てきた遥くんの姿に思わず声をあげそうになる。
私とどこか同じ感になるように服を選んだが、遥くんに似合う服を選んだだけあってやはり可愛らしい印象だ。
きっと碧斗もこの遥くんと同じように、自分と琳くんがどこか同じように見えながらも琳くんがより可愛く見える服を選びたいと思っているだろう。奴のことが解決したら早くあの店に碧斗と琳くんを連れて行ってやるとしよう。

「遥くんも着替えたようだし、出かけようか」

子どもたちに声をかけると、碧斗は琳くんの手を取ってそのまま玄関に駆け出していく。
そして框に座らせた琳くんの足に靴を履かせていく。

その甲斐甲斐しいお世話っぷりに遥くんは慌てたように止めようとするが、碧斗にとって琳くんに靴を履かせられるのは至福のひとときと言っていい。

私だってできることなら遥くんの靴を履かせてやりたいくらいだ。
まだその立場にはないが、これからだ。

碧斗が琳くんのお世話をするのを微笑ましさ半分、羨ましさ半分で見つめながら、揃って家を出た。

モニタールームのある階に降りて、入り口に手をかざすと遥くんから感心したような声をかけられる。
このマンションのセキュリティの高さにホッとしてくれたのかもしれない。

ここは共有施設だからいつでもどの施設でもこのマンションの住人ならば使用は可能だが、前もってコンシェルジュに伝えておけばその時間を貸切にすることもできる。
パーティールームやカラオケルームだけでなく。モニタールームやプールなども貸切の対象だ。

そうでないと遥くんが子どもたちと一緒にプールなどを楽しんでいる場合に他の住民と鉢合わせになってしまう。
ここの住人には悪い奴はいないが、私がいない間に、私の遥くんと一緒の時間を楽しむなんてことがあってはならない。
だからこそ貸切にすることは重要なことだ。

今日のモニタールームも私たち家族の貸切。

子どもたちが集中できる映画は何がいいかを久瀬くんに聞き、碧斗たちくらいの年齢の子どもが絶対にハマる映画を手に入れておいた。

遥くんにそれを見せると、琳くんもまだ見たことがないという。
それならバッチリだ!

映画館さながらの大画面に興奮気味の碧斗と琳くんがふわふわのラグが敷かれた席に駆け寄って行く。
これも計算通りだ。碧斗たちなら絶対にそこを選ぶと思っていた。

「遥くんは私とあの席に座ろう。あそこなら、映画を見ながら子どもたちの様子も確認できるよ」

どこの席に座ろうかと辺りをキョロキョロしていた遥くんの手を取って、二人掛けのソファーに連れて行った。
わざと隙間なくくっついて座り、遥くんの温もりや匂いを楽しむ。

そうして映画が始まった。

「わぁー! もふもふー!」

「おっきぃーっ!」

碧斗と琳くんの楽しげな声は聞こえるが、正直言って私は映画の内容は全く入っていない。
どこで作戦を仕掛けようか、そればかり考えている。

映画が半分ほど過ぎたところで、意を決した私はようやく作戦を実行した。
その名も『寝たふりで遥くんの膝枕をゲットしよう大作戦!』

上手く行くかは五分五分だが、なんとかやってみるしかない。

ここぞというタイミングで遥くんの肩にもたれかかった。
優しい遥くんなら絶対に私を起こしたりはしない。そんな確信があった。

肩に頭を乗せることには成功したが、ここからどうやって膝枕に持っていくか。
この二人掛けのソファーが思いの外狭くて動きづらい。

計算ミスだったかと思ってがっかりしていると、遥くんが私を抱きしめるように身体を動かしてくる。
どうやら私の椅子のリクライニングを倒そうとしてくれているようだが、遥くんの手はそこまで届かない。
必死に私の身体を抱き止めながら格闘しているが、私にしてみれば遥くんの柔らかな身体に抱きしめられてただただ興奮しかない。

「んっ、くっ……っ」

遥くんの可愛い声まで聞こえて興奮がピークに高まった時、遥くんが身体をずらして私の身体を倒し、頭を膝に乗せてくれた。

思いがけず遥くんのほうから作戦を成功させてくれたが、こうなるともっと試してみたくなる。
しばらく遥くんの柔らかな感触を楽しんで私は次なる行動に出た。

遥くんが映画に集中し始めた時を見計らって、身体の向きを変えてみたのだ。
膝側に向いていた顔を遥くんのお腹側に変えると同時に足もソファーに乗せて体全体の向きを変えることに成功した。

今、私の顔の前には遥くんの股間がある。
柔らかい感触と遥くんの甘い匂いがして誘われるがままに顔を擦り寄せた。

すると、柔らかかったそこが少し芯を持ち始めた。

これは……もしかして、遥くん……勃ってる?

私の与えた刺激にどうやら反応してくれたようだ。
これは絶対に私に好意をもってくれている証拠。

嫌な相手にこんなことをされても気持ち悪いとしか思えないのだから。

私は映画が終わるまでのしばらくの間、そのなんともいえない心地よい感触を楽しみ続けていた。
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