イケメン御曹司の初恋

波木真帆

文字の大きさ
9 / 16
初恋  葵side

僕を好きになって!

しおりを挟む
僕なら5人くらい寝られそうなくらい広い天蓋付きのベッドが置かれた寝室は遮光カーテンが閉められていて、昼間だというのに真っ暗だ。
何も見えないなと思っているとベッドに寝かされた瞬間、ベッドサイドに間接照明が灯った。

仄暗い間接照明の光に僕と恭一郎さんが包み込まれているみたいだ。
彼の蕩けるような優しい瞳を見ているだけですごくドキドキする。

「葵くん、ゆっくり教えてあげるね」

そう言って、彼は僕の頬にそっとキスをしてくれた。

あっ、そうだ。僕……女の子に好きになってもらえるように格好良くなる方法を教えてもらいにきたんだっけ。
凛花ちゃんにフラれて、格好良くなりたくて恭一郎さんに頼んだんだ。
恭一郎さんは優しいから僕に実地で教えようとしてくれているだけ。

なんだろう……すごく寂しくなってきた。

僕は女の子に好きになってもらえるようにじゃなくて、恭一郎さんに好きになってもらいたいんだ。

彼に僕を見てもらいたい。
練習なんかじゃ嫌だっ!

「恭一郎さん……うぅっ……」

溢れ出す涙を止めることも出来ずに彼の名前を呼ぶと、恭一郎さんは驚いた顔で僕の目を見つめた。

「葵くん? キスが嫌だった?」

僕は泣きじゃくりながらフルフルと顔を横に振ることしかできない。
恭一郎さんは僕をそっと抱き上げ胡座をかいた膝に僕を乗せ、
『落ち着くまでこうしていよう』とぎゅっと抱きしめてくれた。

恭一郎さんの胸元に耳が押し当てられ、ドクドクッと若干早い心臓の鼓動が聞こえてくる。
その音を聞いているとだんだん気持ちが落ち着いてきた。

ようやく涙が止まり、『恭一郎さん、ごめんなさい……』と声をかけた。

恭一郎さんはそっと腕の力を抜き、僕をゆっくり胸から引き離した。
恭一郎さんの鼓動が聞こえなくなったのがなんだかとても寂しくてイヤイヤと頭を振り、もう一度恭一郎さんの胸に顔を擦り寄せた。

「……葵くん?」

「ごめんなさい……でも、離れたくない……です」

「でも、私とこうするのが嫌なんじゃないのか?」

「ち、違うっ!」

僕は慌てて顔をあげると、心配そうに見つめる恭一郎さんと目があった。

「葵くん……」

「あの……僕、格好良くなれなくて良いです」

「えっ? 格好良く?」

「僕……練習なんかじゃ嫌なんです! お願い、僕を好きになって!」

「ええっ?」

「だめ、ですか……?」

「練習って……いや、そうじゃなくて……ちょっと待って。何か話が噛み合っていないみたいだ」

「えっ?」

広くて大きなベッドの上で2人抱き合ったまま、キョトンと見つめ合う僕たちはきっとよそから見たら不思議な光景だっただろう。

「葵くん、ちょっと話そう」

恭一郎さんにそう言われて、僕は小さく頷いた。

「練習ってどういうことだ?」

「だって……僕、恭一郎さんに格好良くなれる方法を教えてほしいって頼んだでしょう?」

「格好良くなれる方法? そんなことは言ってなかったと思うが……?」

「えっ? だって……あの時……」

僕はあの時のことを必死に思い出した。

――あの、僕……実はあなたに一目惚れしてしまって……。
もし、よかったらその……僕に手取り足取り教えて欲しいんです!!


パニクっててよく考えもせずにしゃべってしまっていたけど、これじゃあ僕……恭一郎さんに出会ってすぐに告白しちゃってるじゃないか。

えっ? でも、ちょっと待って。

恭一郎さんは、僕の告白に『喜んで』って言ってくれたよね?

ってことは……恭一郎さんは僕を好きってこと???

急にいろんなことを考えすぎたせいで、頭の中がぐるぐるしておかしくなってしまっている。
えっ? えっ? どういうこと??

恭一郎さんは本当に僕のことを???

パッと恭一郎さんの顔を見上げると、蕩けるような笑顔で僕を見つめながら、

「葵くん、中庭に佇む君の姿が私の目に映った時から、これは運命だと思っていた。
君を愛してるんだ。ずっと私の傍にいて欲しい。愛してる」

と言ってくれたんだ。

恭一郎さんの言葉が僕の頭の中で何度も何度も繰り返される。

『愛してる』

これが恭一郎さんから出た言葉だと思うだけで途轍もない喜びが込み上げる。
ああ、やっぱり僕……恭一郎さんのことが好きなんだ。

僕だって、あんな形じゃなくて、ちゃんと言いたい。

「恭一郎さん……僕もあなたが大好きです」

今まで何度もした告白だけど、いつも同じセリフでフラれてた。
恭一郎さんは一体なんて言ってくれるだろう……。

「ああ。私も葵くんのことが好きだ」

ずっとずっとこの言葉が欲しかった。
僕のことを見て好きになってくれる人がやっと現れたんだ。

僕は嬉しくて恭一郎さんに抱きつくと、彼は長い腕を僕の背中に回してぎゅっと力強く抱きしめてくれた。
それがとても心地よくて僕たちはしばらくの間、抱きしめあっていた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

交際0日婚の溺愛事情

江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。 だから緩やかに終わりを探して生きていた。 ──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。 誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。 そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。 ■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。 ■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

処理中です...