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日本旅行編
可愛い嫉妬
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「ねぇ、エヴァン。あっちの部屋に連れて行って」
「ん? ああ、そうだな」
パピーに紅茶を頼んで戻ってきたエヴァンに頼むと一瞬困った表情をしたように見えたけれど、僕を抱き上げてリビングに連れて行ってくれた。
ソファに座らせてくれて、テーブルを設置してくれる。
ちょうどそのタイミングでパピーが紅茶を持ってきてくれた。
パピーは僕の顔を見て何かいいたげに見えたけれど、すぐに笑顔で僕の前に紅茶を置いてくれる。
さっきのは多分見間違いだろう。
『パピー、ありがとう』
『おかわりもございますよ。ごゆっくりお過ごしください』
僕は紅茶を一口飲み、パピーがくれたスノーボールクッキーを口に入れた。
「んー! 美味しい! 桜の香りがふわってして、口の中で溶けていくね」
あまりの美味しさに日本語になってしまった。
『パピー、すっごく美味しい』
ちゃんとフランス語で伝えると、パピーは嬉しそうに笑ってくれた。
「エヴァンも食べて」
僕がつまんでエヴァンの口に運ぶと、当然のように指まで食べられる。
ちゅっと舐められただけでドキドキしてしまう。そんな反応を見てエヴァンは嬉しそうに笑っていた。
何個かクッキーを食べた後で、パピーに気になっていたことを尋ねてみた。
『ねぇねぇ、パピーは一人でえっと……桜、カフェに行ったんでしょう? そのお話聞かせて!』
僕が頼むと、パピーはそっとスツールに腰をかけて話をしてくれた。
僕がわかるように、優しいフランス語だったけれど、時折わからない言葉はエヴァンが通訳して教えてくれた。
駅で切符を買うのに悩んでいたら声をかけてくれて、一緒にカフェまで連れて行ってくれたらしい。
そして、一緒にお茶をして帰ってきたんだって。
『えー、すごい! 沖縄の人が教えてくれたんだ! いい人だね。ね、エヴァン』
『ああ、そうだな。ジュール。その人の連絡先は聞いたのか?』
今、連絡先って言った?
もしかしたら、エヴァンからもお礼を言うのかな。
エヴァンのこういう義理堅いところが日本人ぽくて好きだな。
『えっ、そうなのか?』
パピーが何か説明すると、エヴァンはものすごく驚いていた。
「どうしたの? 知り合いだった?」
「いや、知り合いというか、知っている人ではあるよ。ジュールを助けたのは、以前ここのホテルで働いていたマツカワのようだ」
「まつかわ、さん?」
「ああ、彼は優秀なスタッフだったからよく覚えている。ここで数年働いたのちに、イシガキジマにあるここの系列ホテルに異動して支配人になったと聞いていたが、今は、イリオモテジマにできた新しいイリゼホテルで支配人をしているようだ。そのマツカワが恋人と一緒にジュールを助けてくれたみたいだな」
石垣島とか、西表島とかって、沖縄本島よりもずっと離れたところにある島だよね、確か。
「ホテルの支配人さんって、すごい! そっか、だからフランス語も話せるんだね!」
「ああ、彼は他にも英語、イタリア語、スペイン語、中国語も流暢に話せたはずだよ。日常会話レベルなら他にも話せるだろう」
「そんなに? まつかわさんって、すごいんだね」
自然にその言葉が出ただけだったけれど、エヴァンはサッと僕を抱きしめた。
「私もマツカワと変わらないくらい話せるぞ」
少し拗ねたような口ぶりで言ってくる。
えっ、これってもしかして……嫉妬、してる?
僕が、その人をすごいって褒めたから?
本当にエヴァンは、どれだけ僕を好きでいてくれるんだろう。
ここまで愛されると嬉しいしか言葉がない。
僕は笑顔でエヴァンの頬にちゅっと唇を当てた。
「すごいね、エヴァン。大好きだよ」
そういうと、エヴァンは一気に笑顔になって機嫌は治ったようだった。
「ユヅル。ジュールのお礼も兼ねて、今度は沖縄に旅行に行こうか」
「えー、本当? 嬉しい!」
明日からの北海道も初めてでウキウキしているのに、今度は沖縄?
「本当に連れて行ってくれるの?」
「ああ、もちろん。せっかく沖縄に行くのなら夏がいいか。いや、暑すぎるとユヅルの肌が心配だな。春になったら行くのもいいかもしれないな」
エヴァンはいつだって僕のことを一番に考えてくれる。
日焼けすると、すぐに水ぶくれになっちゃう僕の肌を心配してくれるんだ。
「エヴァンと一緒なら、僕はいつの時期だっていいよ。パピーともまた一緒に旅行に行けるなんて嬉しい」
今回の旅行が終わってもまた次の楽しみがあると思うと、なんだか楽しくなっちゃうな。
「ん? ああ、そうだな」
パピーに紅茶を頼んで戻ってきたエヴァンに頼むと一瞬困った表情をしたように見えたけれど、僕を抱き上げてリビングに連れて行ってくれた。
ソファに座らせてくれて、テーブルを設置してくれる。
ちょうどそのタイミングでパピーが紅茶を持ってきてくれた。
パピーは僕の顔を見て何かいいたげに見えたけれど、すぐに笑顔で僕の前に紅茶を置いてくれる。
さっきのは多分見間違いだろう。
『パピー、ありがとう』
『おかわりもございますよ。ごゆっくりお過ごしください』
僕は紅茶を一口飲み、パピーがくれたスノーボールクッキーを口に入れた。
「んー! 美味しい! 桜の香りがふわってして、口の中で溶けていくね」
あまりの美味しさに日本語になってしまった。
『パピー、すっごく美味しい』
ちゃんとフランス語で伝えると、パピーは嬉しそうに笑ってくれた。
「エヴァンも食べて」
僕がつまんでエヴァンの口に運ぶと、当然のように指まで食べられる。
ちゅっと舐められただけでドキドキしてしまう。そんな反応を見てエヴァンは嬉しそうに笑っていた。
何個かクッキーを食べた後で、パピーに気になっていたことを尋ねてみた。
『ねぇねぇ、パピーは一人でえっと……桜、カフェに行ったんでしょう? そのお話聞かせて!』
僕が頼むと、パピーはそっとスツールに腰をかけて話をしてくれた。
僕がわかるように、優しいフランス語だったけれど、時折わからない言葉はエヴァンが通訳して教えてくれた。
駅で切符を買うのに悩んでいたら声をかけてくれて、一緒にカフェまで連れて行ってくれたらしい。
そして、一緒にお茶をして帰ってきたんだって。
『えー、すごい! 沖縄の人が教えてくれたんだ! いい人だね。ね、エヴァン』
『ああ、そうだな。ジュール。その人の連絡先は聞いたのか?』
今、連絡先って言った?
もしかしたら、エヴァンからもお礼を言うのかな。
エヴァンのこういう義理堅いところが日本人ぽくて好きだな。
『えっ、そうなのか?』
パピーが何か説明すると、エヴァンはものすごく驚いていた。
「どうしたの? 知り合いだった?」
「いや、知り合いというか、知っている人ではあるよ。ジュールを助けたのは、以前ここのホテルで働いていたマツカワのようだ」
「まつかわ、さん?」
「ああ、彼は優秀なスタッフだったからよく覚えている。ここで数年働いたのちに、イシガキジマにあるここの系列ホテルに異動して支配人になったと聞いていたが、今は、イリオモテジマにできた新しいイリゼホテルで支配人をしているようだ。そのマツカワが恋人と一緒にジュールを助けてくれたみたいだな」
石垣島とか、西表島とかって、沖縄本島よりもずっと離れたところにある島だよね、確か。
「ホテルの支配人さんって、すごい! そっか、だからフランス語も話せるんだね!」
「ああ、彼は他にも英語、イタリア語、スペイン語、中国語も流暢に話せたはずだよ。日常会話レベルなら他にも話せるだろう」
「そんなに? まつかわさんって、すごいんだね」
自然にその言葉が出ただけだったけれど、エヴァンはサッと僕を抱きしめた。
「私もマツカワと変わらないくらい話せるぞ」
少し拗ねたような口ぶりで言ってくる。
えっ、これってもしかして……嫉妬、してる?
僕が、その人をすごいって褒めたから?
本当にエヴァンは、どれだけ僕を好きでいてくれるんだろう。
ここまで愛されると嬉しいしか言葉がない。
僕は笑顔でエヴァンの頬にちゅっと唇を当てた。
「すごいね、エヴァン。大好きだよ」
そういうと、エヴァンは一気に笑顔になって機嫌は治ったようだった。
「ユヅル。ジュールのお礼も兼ねて、今度は沖縄に旅行に行こうか」
「えー、本当? 嬉しい!」
明日からの北海道も初めてでウキウキしているのに、今度は沖縄?
「本当に連れて行ってくれるの?」
「ああ、もちろん。せっかく沖縄に行くのなら夏がいいか。いや、暑すぎるとユヅルの肌が心配だな。春になったら行くのもいいかもしれないな」
エヴァンはいつだって僕のことを一番に考えてくれる。
日焼けすると、すぐに水ぶくれになっちゃう僕の肌を心配してくれるんだ。
「エヴァンと一緒なら、僕はいつの時期だっていいよ。パピーともまた一緒に旅行に行けるなんて嬉しい」
今回の旅行が終わってもまた次の楽しみがあると思うと、なんだか楽しくなっちゃうな。
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