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笑顔がいっぱい
「ユヅルの言葉、嬉しいよ」
「エヴァンさん……」
「だが、他の者へのハグは禁止だからな」
エヴァンさんの独占欲。
少しびっくりすることもあるけれど、それでも嬉しいと思ってしまう。
こんなにも大人なエヴァンさんが、僕の行動だけで焦ったり不安そうになったりするのがたまらなく嬉しいんだ。
ああ、僕は本当に幸せだ。
「ふふっ。ユヅル、大胆な愛の告白だったね」
ミシェルさんがセルジュさんと共に近づいてきた。
「やっ、もう恥ずかしいですっ」
「ふふっ、ごめん、ごめん」
「なんだ、お前たちわざわざ揶揄いにきたのか?」
「いえ、違いますよ。ユヅルさまからミシェルへの贈り物ですが……」
あれ……気に入ってもらえなかったのかな?
もしかしてやっぱりもう持ってたり?
少し不安になってしまう。
そんな僕とは対照的にエヴァンさんは何故か嬉しそうに笑っていた。
「ああ、やっぱり気づいたか?」
「んっ? エヴァンさん、気づいたってどういうこと?」
僕がミシェルさんへの贈り物に選んだ物はスカーフ。
栗色の髪をした天使がヴィオリンを弾いている可愛い柄が入っていた。
あの天使がとっても可愛くて、ミシェルさんにはこれがピッタリだって思ったんだ。
「あのスカーフをユヅルが見つけた時、どうもあの柄が気になってスカーフの柄を手がけたデザイナーに直接連絡をとったんだ。そうしたら、あのスカーフのうち、一枚だけ天使の顔をミシェルをイメージして描いたと教えてくれたんだ」
「えっ……!」
「ほんのいたずら心だったようで、しかもそっくりに描いたわけではなく雰囲気を似せて描いただけだから誰にも気づかれなかったと話していたが、まさかそのスカーフがロレーヌ家にあるなんてと本人も驚いていたよ」
「それって、僕がプレゼントしたものだけ、あの天使がミシェルさんだったってことですか?」
「ああ、そうだ。だから、ユヅルがあれを選んだことを、純粋にすごいと思ったよ」
あのヴァイオリンを弾いている天使がミシェルさんに似ているなとは思っていたけれど、まさか本当にミシェルさんをイメージしてたものだったなんて……。
すごい! こんな偶然あるんだな……。
「ねぇ、セルジュ。ということは、このスカーフの天使は僕ってこと?」
手に持っていたスカーフを広げながらセルジュさんに尋ねるミシェルさん。
うん、やっぱりこの天使……ミシェルさんに似ていて癒されるな。
「ああ、そういうことだ。よかった……」
「よかった?」
「ああ、だって、スカーフの柄とはいえ、ミシェルが誰かの手元にいるなんて嫌に決まっているだろう?」
「セルジュ……」
「ユヅルさまが見つけてくださったおかげで、私たちの元に天使のミシェルがやってきてくれたんです。本当に素敵な贈り物をありがとうございます」
「そんなに喜んでもらえてとっても嬉しいです」
あの時、偶然見かけたお店だけど、ミシェルさんだけでなくセルジュさんまで喜んでくれる贈り物ができてよかったな。
「弓弦くん! このブックカバー、とっても綺麗!!」
「こんな綺麗な色初めて見た!! 本当にありがとう!」
理央くんと空良くんがほっぺたを真っ赤にして駆けてきてくれる。
「よかったー! 気に入ってもらえるか心配してたんだ!」
「気にいるよ! これに本を入れたらどんな本でも自分だけの本だって気がして特別なものに思えそう!」
自分だけの……特別……。
ああ、そうかも。
そう思えるのって素敵だな。
「弓弦くん、このバッグすごく使いやすそうだよ!」
「本当、これすっごく重宝しそう!」
「わぁ! よかったです」
「僕、本当にこういうバッグを探していたから、希望通りのバッグが出てきて……弓弦くんが魔法使いかもって思っちゃったよ」
「うん、うん。わかる!」
魔法使いって……秀吾さん、意外と可愛いこと言うんだな。
秀吾さんも、佳都さんもそんなに喜んでくれると一生懸命選んだ甲斐があったなって思える。
プレゼントって相手のことを考えながら買う時も楽しかったけど、やっぱり嬉しそうな顔を見るのが一番楽しい。
「ユヅル……これ……」
「あっ、リュカ。どう? 使えそう?」
リュカのはクリスマスマーケットで偶然見つけた可愛いコーヒーカップ。
エヴァンさんが2つで1つの絵になるカップだって教えてくれて、ジョルジュさんとお揃いで選んだんだ。
「……」
「リュカ? どうかした?」
ずっとカップを見たまま、動かなくなったリュカが気になって声をかけるとジョルジュさんがさっと横から現れて教えてくれた。
「このカップ、リュカを育ててくれていたおばあさんが大切に使っていたカップと同じものなんだ」
「えっ……」
「リュカがユヅルくんくらいの年におばあさんに贈ったものでね、それはそれは大切にしてくれたらしい。それと同じものを久しぶりに見て嬉しかったみたいだよ。しかも、私とお揃いなんてな。本当にいい贈り物だよ、ありがとう」
ジョルジュさんが嬉しそうに笑ってくれる。
リュカも少し涙を潤ませながら笑ってくれる。
そんな二人を見て僕も自然と笑顔になってくる。
贈り物って本当……人を幸せにしてくれるんだな。
「エヴァンさん……」
「だが、他の者へのハグは禁止だからな」
エヴァンさんの独占欲。
少しびっくりすることもあるけれど、それでも嬉しいと思ってしまう。
こんなにも大人なエヴァンさんが、僕の行動だけで焦ったり不安そうになったりするのがたまらなく嬉しいんだ。
ああ、僕は本当に幸せだ。
「ふふっ。ユヅル、大胆な愛の告白だったね」
ミシェルさんがセルジュさんと共に近づいてきた。
「やっ、もう恥ずかしいですっ」
「ふふっ、ごめん、ごめん」
「なんだ、お前たちわざわざ揶揄いにきたのか?」
「いえ、違いますよ。ユヅルさまからミシェルへの贈り物ですが……」
あれ……気に入ってもらえなかったのかな?
もしかしてやっぱりもう持ってたり?
少し不安になってしまう。
そんな僕とは対照的にエヴァンさんは何故か嬉しそうに笑っていた。
「ああ、やっぱり気づいたか?」
「んっ? エヴァンさん、気づいたってどういうこと?」
僕がミシェルさんへの贈り物に選んだ物はスカーフ。
栗色の髪をした天使がヴィオリンを弾いている可愛い柄が入っていた。
あの天使がとっても可愛くて、ミシェルさんにはこれがピッタリだって思ったんだ。
「あのスカーフをユヅルが見つけた時、どうもあの柄が気になってスカーフの柄を手がけたデザイナーに直接連絡をとったんだ。そうしたら、あのスカーフのうち、一枚だけ天使の顔をミシェルをイメージして描いたと教えてくれたんだ」
「えっ……!」
「ほんのいたずら心だったようで、しかもそっくりに描いたわけではなく雰囲気を似せて描いただけだから誰にも気づかれなかったと話していたが、まさかそのスカーフがロレーヌ家にあるなんてと本人も驚いていたよ」
「それって、僕がプレゼントしたものだけ、あの天使がミシェルさんだったってことですか?」
「ああ、そうだ。だから、ユヅルがあれを選んだことを、純粋にすごいと思ったよ」
あのヴァイオリンを弾いている天使がミシェルさんに似ているなとは思っていたけれど、まさか本当にミシェルさんをイメージしてたものだったなんて……。
すごい! こんな偶然あるんだな……。
「ねぇ、セルジュ。ということは、このスカーフの天使は僕ってこと?」
手に持っていたスカーフを広げながらセルジュさんに尋ねるミシェルさん。
うん、やっぱりこの天使……ミシェルさんに似ていて癒されるな。
「ああ、そういうことだ。よかった……」
「よかった?」
「ああ、だって、スカーフの柄とはいえ、ミシェルが誰かの手元にいるなんて嫌に決まっているだろう?」
「セルジュ……」
「ユヅルさまが見つけてくださったおかげで、私たちの元に天使のミシェルがやってきてくれたんです。本当に素敵な贈り物をありがとうございます」
「そんなに喜んでもらえてとっても嬉しいです」
あの時、偶然見かけたお店だけど、ミシェルさんだけでなくセルジュさんまで喜んでくれる贈り物ができてよかったな。
「弓弦くん! このブックカバー、とっても綺麗!!」
「こんな綺麗な色初めて見た!! 本当にありがとう!」
理央くんと空良くんがほっぺたを真っ赤にして駆けてきてくれる。
「よかったー! 気に入ってもらえるか心配してたんだ!」
「気にいるよ! これに本を入れたらどんな本でも自分だけの本だって気がして特別なものに思えそう!」
自分だけの……特別……。
ああ、そうかも。
そう思えるのって素敵だな。
「弓弦くん、このバッグすごく使いやすそうだよ!」
「本当、これすっごく重宝しそう!」
「わぁ! よかったです」
「僕、本当にこういうバッグを探していたから、希望通りのバッグが出てきて……弓弦くんが魔法使いかもって思っちゃったよ」
「うん、うん。わかる!」
魔法使いって……秀吾さん、意外と可愛いこと言うんだな。
秀吾さんも、佳都さんもそんなに喜んでくれると一生懸命選んだ甲斐があったなって思える。
プレゼントって相手のことを考えながら買う時も楽しかったけど、やっぱり嬉しそうな顔を見るのが一番楽しい。
「ユヅル……これ……」
「あっ、リュカ。どう? 使えそう?」
リュカのはクリスマスマーケットで偶然見つけた可愛いコーヒーカップ。
エヴァンさんが2つで1つの絵になるカップだって教えてくれて、ジョルジュさんとお揃いで選んだんだ。
「……」
「リュカ? どうかした?」
ずっとカップを見たまま、動かなくなったリュカが気になって声をかけるとジョルジュさんがさっと横から現れて教えてくれた。
「このカップ、リュカを育ててくれていたおばあさんが大切に使っていたカップと同じものなんだ」
「えっ……」
「リュカがユヅルくんくらいの年におばあさんに贈ったものでね、それはそれは大切にしてくれたらしい。それと同じものを久しぶりに見て嬉しかったみたいだよ。しかも、私とお揃いなんてな。本当にいい贈り物だよ、ありがとう」
ジョルジュさんが嬉しそうに笑ってくれる。
リュカも少し涙を潤ませながら笑ってくれる。
そんな二人を見て僕も自然と笑顔になってくる。
贈り物って本当……人を幸せにしてくれるんだな。
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