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なんともいえない気持ち
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「うわっ、こんなすごい資料もある!」
図書館では持ち出し禁止のかなり貴重なやつ。
順番待ちになることはざらで運よく借りられてもあまりゆっくりは見られない。
コピーができる箇所もあるけれど、希少本専用のコピー機を使うから普通より少し高い。
だから必死に書き写したりしてたけど、それがここでは時間を気にせずゆっくり見られる。
なんて最高なんだろう。
「私はお風呂に入ってくるから、好きに見てていいよ」
「はい。ありがとうございます」
俺が夢中になって見ていたからだろう。
先生は俺を書斎に置いて風呂に入りに行った。
静かな書斎で、俺は時間が経つのも忘れて次々に読み耽っていた。
「んっ……」
あれ?
俺、寝てた?
書斎にいたはずだけど、なんだか熟睡しちゃってたみたいだ。
このベッドが気持ち良すぎるからだろう。
でも、あれ? おかしいな。
すごく広かったはずなのに、なんか目の前に壁がある。
こんな壁なんてあったっけ?・
寝ぼけたまま、目の前の壁をペタペタと触ると頭上から「くっくっ」と笑い声が聞こえる。
「えっ?」
びっくりして見上げると、そこには先生の顔。
「はっ? えっ? なんで?」
頭がうまく働かない。
なんで俺、先生と一緒に寝てるんだ?
「隼人くん。落ち着いて」
大きな手で背中をさすられて、その温もりが布越しに伝わってくる。
それだけで安心する気がしてきた。
「大丈夫?」
「は、はい。でもまだびっくりしてますけど……俺、どうしたんですか?」
「昨日書斎で読み耽っていたのは覚えている?」
「はい。でもそこからの記憶がなくて……」
気づいたらこの状態だったんだ。
だから余計にテンパってる。
「俺、何かしちゃったんですか?」
「私が書斎に見に行ったら、座った体勢のまま眠ってたよ」
「えっ!」
確かに途中で眠たいなとちょっと思ってたけど、資料を読みたいほうが上回ってしまっていた。
「電池が切れて力尽きたって感じだったな。隼人くんは集中すると周りが何も見えなくなるから危ないよ。今までにもこういう経験あるんじゃない?」
「そういえば……」
昼から図書館にいて、気づいたら飲まず食わずで閉館時間になっていたことがある。
あの時は立ちあがろうとしても足が震えてしばらく立ち上がれなかった。
それを告げると、先生は小さくため息を吐いた。
「危ないな。仮にも医学部にいる子が」
「すみません」
初日から先生に迷惑をかけてしまった。
もうこれで一緒に暮らす話はなくなっただろう。
アレックスと一緒に暮らす夢も終わりか……
あまりにも悲しい現実に思わずため息が溢れた。
でも自分がしでかした結果だ。
どうしようもない。
「もしかして、うちで住むのをやめようと思ってる? そんなことを思ってるなら見当違いだよ」
「えっ? だって、俺……初っ端から先生に迷惑を……」
「そこが見当違いなんだよ。隼人くんみたいに一人にできないタイプだとわかって一人にさせるわけないだろう? ここで一緒に住んだほうが安心だよ」
当然のようにそう言われて、なんだか急に恥ずかしくなる。
っていうか、今頃気づいたけどなんで俺、先生と一緒に寝てるんだ?
「あ、あの……」
「どうした?」
「いや、あの……どうして先生と、その……一緒に?」
「ああ、それか。昨日、ゆっくり見させてあげようと思って、風呂から出た後も洗濯やら朝食の準備やら終わらせて書斎に行ったら、さっき話したように座ったまま寝ていたから、抱きかかえて部屋のベッドに寝かせたんだ。そうしたら腕に掴まってきて無理やり外したら起こしてしまいそうだったから、一緒に寝かせてもらったんだよ」
俺、一体なんてことを……
予想外の事実を知らされて一気に顔が熱くなる。
「すみません、俺……何から何まで……」
「気にしないでいいって。たまにアレックスとも一緒に寝たりしているから同じようなものだよ。むしろ隼人くんのほうがもふもふしていない分、抱きやすかったし」
「っ!」
抱きやすいって……そういう意味じゃないってわかってるけど、なんか恥ずかしくなる。
俺、まるでそういう言葉に興味を持ち始めた中学生みたいだ。
「ほら、今日も学校だろう? そろそろ準備したほうがいいんじゃないか?」
「あっ! そうだ!」
解剖学の発表の打ち合わせを比呂とやるって約束してたんだ。
「そこの洗面室で身支度整えてから、ダイニングにおいで。朝食を準備しておくよ」
「ありがとうございます」
「あ、そうそう。着替えも準備しておいたからその服を着るといいよ」
「えっ? 服?」
「ああ。私の服だが、サイズは隼人くん仕様にしておいたから」
さらりとそんなことを教えてくれるけれど、俺のサイズにしてくれたって、先生が?
いつの間に?
俺が寝ていた間に?
俺、そんなに寝てたのか……
「私は先に下りておくから」
俺が自分の失態に呆れている間に、先生は部屋を出て行った。
途端にベッドがものすごく広く感じる。
なんだろう、この感覚……
図書館では持ち出し禁止のかなり貴重なやつ。
順番待ちになることはざらで運よく借りられてもあまりゆっくりは見られない。
コピーができる箇所もあるけれど、希少本専用のコピー機を使うから普通より少し高い。
だから必死に書き写したりしてたけど、それがここでは時間を気にせずゆっくり見られる。
なんて最高なんだろう。
「私はお風呂に入ってくるから、好きに見てていいよ」
「はい。ありがとうございます」
俺が夢中になって見ていたからだろう。
先生は俺を書斎に置いて風呂に入りに行った。
静かな書斎で、俺は時間が経つのも忘れて次々に読み耽っていた。
「んっ……」
あれ?
俺、寝てた?
書斎にいたはずだけど、なんだか熟睡しちゃってたみたいだ。
このベッドが気持ち良すぎるからだろう。
でも、あれ? おかしいな。
すごく広かったはずなのに、なんか目の前に壁がある。
こんな壁なんてあったっけ?・
寝ぼけたまま、目の前の壁をペタペタと触ると頭上から「くっくっ」と笑い声が聞こえる。
「えっ?」
びっくりして見上げると、そこには先生の顔。
「はっ? えっ? なんで?」
頭がうまく働かない。
なんで俺、先生と一緒に寝てるんだ?
「隼人くん。落ち着いて」
大きな手で背中をさすられて、その温もりが布越しに伝わってくる。
それだけで安心する気がしてきた。
「大丈夫?」
「は、はい。でもまだびっくりしてますけど……俺、どうしたんですか?」
「昨日書斎で読み耽っていたのは覚えている?」
「はい。でもそこからの記憶がなくて……」
気づいたらこの状態だったんだ。
だから余計にテンパってる。
「俺、何かしちゃったんですか?」
「私が書斎に見に行ったら、座った体勢のまま眠ってたよ」
「えっ!」
確かに途中で眠たいなとちょっと思ってたけど、資料を読みたいほうが上回ってしまっていた。
「電池が切れて力尽きたって感じだったな。隼人くんは集中すると周りが何も見えなくなるから危ないよ。今までにもこういう経験あるんじゃない?」
「そういえば……」
昼から図書館にいて、気づいたら飲まず食わずで閉館時間になっていたことがある。
あの時は立ちあがろうとしても足が震えてしばらく立ち上がれなかった。
それを告げると、先生は小さくため息を吐いた。
「危ないな。仮にも医学部にいる子が」
「すみません」
初日から先生に迷惑をかけてしまった。
もうこれで一緒に暮らす話はなくなっただろう。
アレックスと一緒に暮らす夢も終わりか……
あまりにも悲しい現実に思わずため息が溢れた。
でも自分がしでかした結果だ。
どうしようもない。
「もしかして、うちで住むのをやめようと思ってる? そんなことを思ってるなら見当違いだよ」
「えっ? だって、俺……初っ端から先生に迷惑を……」
「そこが見当違いなんだよ。隼人くんみたいに一人にできないタイプだとわかって一人にさせるわけないだろう? ここで一緒に住んだほうが安心だよ」
当然のようにそう言われて、なんだか急に恥ずかしくなる。
っていうか、今頃気づいたけどなんで俺、先生と一緒に寝てるんだ?
「あ、あの……」
「どうした?」
「いや、あの……どうして先生と、その……一緒に?」
「ああ、それか。昨日、ゆっくり見させてあげようと思って、風呂から出た後も洗濯やら朝食の準備やら終わらせて書斎に行ったら、さっき話したように座ったまま寝ていたから、抱きかかえて部屋のベッドに寝かせたんだ。そうしたら腕に掴まってきて無理やり外したら起こしてしまいそうだったから、一緒に寝かせてもらったんだよ」
俺、一体なんてことを……
予想外の事実を知らされて一気に顔が熱くなる。
「すみません、俺……何から何まで……」
「気にしないでいいって。たまにアレックスとも一緒に寝たりしているから同じようなものだよ。むしろ隼人くんのほうがもふもふしていない分、抱きやすかったし」
「っ!」
抱きやすいって……そういう意味じゃないってわかってるけど、なんか恥ずかしくなる。
俺、まるでそういう言葉に興味を持ち始めた中学生みたいだ。
「ほら、今日も学校だろう? そろそろ準備したほうがいいんじゃないか?」
「あっ! そうだ!」
解剖学の発表の打ち合わせを比呂とやるって約束してたんだ。
「そこの洗面室で身支度整えてから、ダイニングにおいで。朝食を準備しておくよ」
「ありがとうございます」
「あ、そうそう。着替えも準備しておいたからその服を着るといいよ」
「えっ? 服?」
「ああ。私の服だが、サイズは隼人くん仕様にしておいたから」
さらりとそんなことを教えてくれるけれど、俺のサイズにしてくれたって、先生が?
いつの間に?
俺が寝ていた間に?
俺、そんなに寝てたのか……
「私は先に下りておくから」
俺が自分の失態に呆れている間に、先生は部屋を出て行った。
途端にベッドがものすごく広く感じる。
なんだろう、この感覚……
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